幸さん退院後初合流
朝は、まだ忙しいということで、幸さんと待ちあわせは、十二時になっていた。
くみさんに、そのことを伝えると、わたしも一緒がいいということになり、三人で待ちあわせだ。
幸さんは、病院のときは一緒にいられたが、
住んでいる場所は、学園から少し離れていて、電車を使ってくるようだ。
最寄り駅に迎えにいくよ、と伝えたら、わたしが行きたい、と言われて、学園に近い駅で合流だ。
十一時半くらいに、駅にいくと、もうくみさんは来ていて、駅の待ちあいで、眼鏡をかけ本を読んでいた。
「おはよ」
「あ、おはよ、りーあ。てか、りーあ早くない?」
「わたしは、ここから近いから、くみさんより先かと思った。少し、待ちあいでゆっくりしようと思ったんだ」
「そっか」
くみさんは、本は閉じないで、眼鏡だけはずす。
「ふう」
「なに読んでた?」
「魔導書だよ」
「そっか」
この前に渡した新魔導書を読んでいたようだ。
「お邪魔かな」
「ふふっ。りーあが邪魔なら、ほかの世界中のすべて邪魔者だね」
思わず、顔が赤くなる。
くみさんは、なんていうか、こうロマンを越して、ハードな恋愛をしている、ような気がする。
「お、お世辞ならいいし!」
「あら、本気だよ」
頭が一瞬クラっとしてしまう。
やっぱりルーレ師匠の影響か。
「ルーレ師匠め」
「ふふっ。別にルーレ師匠の影響じゃないよ、りーあ」
「そうなの?」
「そう。転生前から、りーあを愛してる!」
「えーー!」
「それで、この、預言者レポートってさ」
話しているうちに電車がきた。
なかの乗客はこの時間でまだらだけど、さちさんらしいひとが見えた。
「あ、さちさんだよね」
降りてくると肩にバックを下げている、幸さんは、かけてきた。
そのまま、りりあに抱きつく。
「りあ。会いたかった」
「うん。わたしも」
抱きついたまま、話すと、くみさんも二人の肩にしがみつく。
降りてきた何人かは、三人を横目でチラチラみていく。
「さちさん、わたしも」
「くみ、くみ、くみ、ぐみ、くみ」
「ぐみ混ぜないでよ」
少し経ってから、離れる。
「ふふっ。三人で集まれたね」
幸さんは、少し嬉し泣きをしているようだ。
丸和 幸さんは、白のワンピースで、胸元が少し開いている。
利凛雨は、短パンでシャツに、薄手の羽織をかけている。
来美さんは、長ジーパンに、シャツ、少し厚めなダメージジャンパーだ。
「さちさん、ワンピースかわいい」
「ありがとう。りあとくみに逢えるからおしゃれしたよ」
くみさんが話す。
「もっとスカート短いのでも似合うよ。白いいなぁ」
「えー。これでも、がんばってるよ」
「胸はいいね。さちさんけっこうあるなぁ。
ね、りーあ」
「う、うん。そうだね」
りーあは、自分のはあまり気にしないようにしている。
「じゃ、いこ」
まずは学園を見たいというので、歩いて学園までいく。
「なかは見られないよ」
「いいの。りあとくみの場所が見たい」
「そっかぁ」
学園まではすぐ近くだけど、ゆっくりと歩いていく。
「りあ、変わってなくてよかった」
「まだ、そんなに経ってないよ」
「わたしには、けっこう経ってるように感じるんですぅ」
よかった。
さちさんも元気だ。
「どう、くみは、テニスがんばってる?」
「うん。もう少ししたら大会だよ」
「そっかぁ。いいなぁ」
「よくない。大変なんだから」
「でも、楽しそう」
「これから暑いよ!」
「体育館も、もうかなり暑い」
「そうだよね」
「あ、演劇だよね。体育館での練習なんだあ」
「うん」
学園の門近くまでくると、さちさんは、スマホで写真を撮っている。
「ほら、りあとくみも並ぶ」
門のところで、ポーズをとって、写真にうつる。
「あ、さちさんもとろうよ」
三人で、画面に入るように、写真をとる。
「ふふ。今日たくさん撮ろう」
学園の門から、塀の端まで、うろうろすると
「さ、次はどこいくの?」
元気に聞いてくる。
「少し歩くけど、どうしようか?」
「買いものしてから、りーあの歌ききたい。カラオケ」
「えーー。とりあえず、ショッピングセンターで、お昼食べよう」
「うん」
ショッピングセンターにつくと、
Mzバーガーで、三人して注文する。
りりあはてりやきバーガーを食べる。
くみさんは、ハムチーズバーガーで、
さちさんは、てりやきたまごバーガーだ。
席につき、ドリンクを飲みながら、相談する。
「ねぇ、ゲームセンターもいこう」
「洋服もみたいなぁ」
「カラオケは、じゃ、そのあとね」
「りーあの歌、わたしけっこう好きだよ」
「くみさんは、歌うまいよね」
「そうなんだぁ。二人でカラオケもいくんだね、いいなぁ」
さちさんは、羨ましそうだ。
「さちさん学校は」
「うん。入院長かったから、半年分の課題提出でなんとか」
「そっかぁ」
「出席は大丈夫だったの?」
「ほんとぎりぎりだったよ」
「そっかぁ」
りりあが、てりやきバーガーを食べはじめると、少しの間だけ、話しがとまる。
くみさんが、スマホをチェックしているのは、ななちからの連絡だろう。
「ねえ、さちさんはさ」
「うん。なに?」
「彼氏とかは、できないの?」
「えー。うん。中学のときいたくらいで、それからは」
「そっかぁ」
「入院も多いからね」
「そうなんだね」
食べおわり、ゴミ箱に捨てると、ゲームセンターにいった。
クレーンゲームをいくつかみてまわり、
リリクラを撮る。
「ふふぅ。これで、目標ひとつ達成」
「目標」
「そうリリクラをとる。あと、カラオケ」
「はーい」
荷物を持ったまま、すぐ近くのカラオケにいく。
「三人で、お願いします。二時間かな」
「うん」
受付から、カラオケルームに通される。
三○一号だ。
「この前、連休もカラオケきたじゃん」
「今度は、さちさんも一緒だから、いいんだよ」
「わたし、歌えるのあるかな」
「さちさん、くみさんエキスパートだから」
「そうなんだ!」
「ふふん」
三人で、飲みものを取りにいき、
戻ると、まずは再会の祝いをする。
「はい。さちさん、退院おめでとう!」
「はい。くみ、今日もかわいいね」
「はい。さいかーい!」
さいかーい! と乾杯する。
カラオケで、たっぷり二時間。
くみさんは、前から間があいていないのに、また新しいのを歌う。
わたしは、新しいのはないが、くみさんに教えてもらうやつと、その他いつもの曲を入れた。
さちさんは、アニメやロック、ポップなのと、少し前の流行りでも、歌はうまい。
「ふぅ」
「今度は、ななちも呼ぼうよ」
「え、ななち?」
「くみさんの彼氏なの」
「そうなんだ」
カラオケをでると、夕方だ。
「まだ、帰りたくないなぁ」
「じゃ、りーあの寮にいこ」
「くみさん、自分の家みたいに」
「クラゲには、エサあげたの?」
「食事は、とってるよ」
「え、クラゲ飼ってるの?」
「うん。いきがかり上」
「見たい」
「じゃ、少しならね」
三人で、寮までの道を歩いていく。
六月のまだ暮れきる前の道を歩いている。
「りあは、さ」
「うん」
「今度は、わたしのところにくる?」
「え、うん。いくよ」
くみさんも行きたそうに言う。
「わたしもいきたい」
「ありがとう」
「あ、じゃ、ななちも仕方ない、いくかも」
「うん。会いたいな」
寮につくと、管理人にあいさつする。
「わぁ、りーあの部屋かわいい」
「さちさん、何飲む?」
「じゃ、アイスティーでお願い」
くみさんが、台所をつかい、アイスティーとレモンを用意する。
りーあは、その間に、棚からお菓子をだす。
「くみさん慣れてるね。住んでるみたい」
「それは、りーあとの仲だもん」
「あ、クラゲの様子みてるね」
「あ、わたしも見たい」
「あ、えと、そのぉ」
「さちさんびっくりしないでね」
「え、うん」
部屋の扉をあけて、電気をつけると、
水槽の周りは武器や雑多小物ばかりだ。
「え、りあ、この辺のって、その」
「あ、えと。そう趣味で、クラフトのほかに武器集めてるの」
「えーー、そうなんだ」
「うん」
一瞬、くみさんと目を合わせると、くみさんも少し落ちつかないようだ。
「ふーん。変わってる」
「あ、クラゲ」
「あ、ほんと。なんか、変わってる」
「うん」
さちさんは、元の位置に戻り、
少し黙っている。
やっぱり、武器関係は見せないほうが、よかったな。
レモンのついたアイスティーをさちさんは飲む。
「今日、楽しかった」
「うん」
「くみの彼氏のななちにも、会ってみたい」
「わかった」
「あ、りあ、今度は、わたしの街にもきてよね」
「うん」
アイスティーを飲み終えると、さちさんは、じゃ、と立ちあがる。
「送るね」
「うん」
三人して、また外にでると、夜になりかけていた。
歩いて駅までつくと、
「じゃね。りあ。くみ」
「うん。気をつけてね」
「はーい」
さちさんと、わかれると、くみさんも疲れたようだ。
今日は、そのまま帰る、という。
「うん。じゃね」
「うん」
わたしは、買いものしそびれていることに、気づきこのまま、ショッピングセンターで、買いものをしていく。
寮に、つき食事をとって、クラフトをしてから寝ることにする。
「ふう。歌い過ぎちゃったかな」
「武器、見せないほうが、よかったかな」
寝る前に、さちさんから、簡単なメッセージが届く。
「りあ、楽しかったね。また会おうね。クラゲかわいかった」




