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迷宮第五層アモス

 迷宮の扉の空間から、足をふみだしてでた場所は階段のある風景だ。


 いまは階段の踊り場で、看板がたっている。

 上か下か、それが気になるところだ。



 こちら出口、上に。

 こちら出口、下に。



 看板には、両方出口と描いてあるため、結果よくわからない。

 上と決めて上ることにした。

 下に向かって、出口が上だったとき、絶望してしまいそうだからだ。



 少し階段を上ると、踊り場にでて、右に曲がる。

 またまっすぐ上ると、踊り場になる。

 踊り場で右に曲がり、またまっすぐ上ると、また踊り場だ。


 これまでやこれからのことを想いだしては、上るを繰り返す。


 アモスはたしか、妖精の召喚士だときいた。

 召喚獣から、召喚魔物、精霊まで、幅広い契約をとっているらしく、召喚では何をだしてくるか、楽しみなような、怖いような。



 ここの階段もリンヤは歩いただろうか。


 次のスキルは、何を選べばいいかな。


「ふう」


「はぁ」


「ふぅ」



 踊り場をいくつか過ぎると、床に回復アイテムが落ちている。

 体力も魔力も充分にあるが、カバンに集めていく。

 また上る。


「はー」



 リンヤは、わたしが転生修業をしている間、教会都市で、ずっといたのだろうか。

 でも、リンヤは旅好きで、実際は動きまわるのが好きなのだから、数年もしたら、また、旅や詩流しを再開しただろうか。



「ふぅー」



 また踊り場にきた。

 少し休憩する。



「わたし、リンヤと何を話すんだっけ」



 ふいに、こうした空き時間になると、想い出してはみるが、はっきりとした答えを持っていたか不安になる。

 でも、まずは会ってみなければ。


 また立って歩きだす。




 二時間経ち、三時間経ち、この塔だか、ビルだかわからない、この縦の空間に慣れてきたころ、ようやく出口らしい扉がみえた。


「ふぅーー。やっと」


 この先に、アモスが待っているはず。

 カバンから拾い集めた回復アイテムで、回復してから扉をあけた。


「う、まぶしぃ」



 開けた先は、広く(はて)まで見渡せる草原だ。

 赤みがかった長い髪、切れ長の赤い目、黒いマント。

 なかはグレーのズボンに、グレーのシャツのような、ローブのようなものを着ている。



 召喚士のアモスがそこにいる。



「リリアだね。階段、あきらめなかったね」

「うん」

「改めて、召喚士アモスだ」

「はい」

「ここでの試練は、わたしが召喚する一体をたおすこと。いいね」

「はい」

「さっそくはじめようか」


 アモスは、召喚をつかった。

 現れたのはミニドラゴンだった。


「あ、可愛い」

「さぁ、リリアも召喚をしたまえ」

「えっ」


 リリアは考える。

 わたしが、召喚できるのは、たしかリンヤに紹介されたトラニャス、クラゲ、あとは緑羽鳥くらいだ。


「どうした。そのまま戦うかい?」

「少し、まって」


 リリアは召喚で緑羽鳥をだす。


「ククルッグ」

「ごめんね、でも戦闘じゃないからね」

「ククル」

「この荷物預けるね」


 リリアは持っていたバックと、入っている回復アイテムを預ける。


「しばらく、逃げてて!」


 緑羽鳥は、バックをかけて、空中に舞う。


「ふぅ」

「他の戦闘のはいいのかい」

「ええ、大丈夫。わたしが戦うから」

「ほう。二十四時から二十五時で休憩。あとは、自由に戦えばいい」

「はい」

「じゃはじめよう」



 広い草原のなか、アモスの横にいるミニドラゴンが襲いかかってくる。

 戦闘の開始だ。


「たしか、ルーレ師匠が、言ってたのは」


 思い出そうとするが、それより前にドラゴンが攻撃してくる。

 炎がくる。

 氷の粒が降ってくる。

 土のかたまりが、飛んでくる。


「どうやら、あなたは火と氷、それに土属性なのね」


 また炎だ。


「そう、たしか、ドラゴンにMSP切れを期待してもダメとか言ってたな」


 今度は氷の粒が向かってくる。

 これは、やばい。

 防戦ばかり。


「はは、ミニリュウに攻撃しないと、やられるぞ」

「わかってるわよ!」


 転移で側により、一発ニ発と、拳を繰り出す。


「かたい!」


 そうだ、竜の鱗はかたい。

 逃げてる間に、また岩が飛んでくる。

 三回くらい繰り返しているうちに

 岩に当たってしまう。


「うぐ」


 少し動きを止めてしまうと、氷の攻撃でダメージ。

 もう一度。

 転移から攻撃。

 二連蹴りとばし。

 少しはきいたか。

 一旦逃げないと。


 次の攻撃がくる。


 いくら攻撃してダメージ与えてもこれじゃ弱らない。

 そのうちに、三発ほど氷と岩にあたる。


 K.O


「う、動けない」


 遠くでアモスが笑っている。

 緑羽鳥がすぐに飛んできて、カバンを持ってきてくれる。

 くちばしでくわえて、回復アイテムをつかってくれる。


「うう、ありがとう」


 ミニリュウは、一度アモスのところに戻り、休んでいる。



 二回戦。

 三時間ほど戦闘


 K.O


「うう」


 緑羽鳥が再びきてくちばしでくわえて、回復アイテムをつかってくれる。



 三回戦を終えるころには、二十四時間を過ぎていた。


「二十五時までは、休憩にしようか」


 アモスが笑いながら言う。




 二十四時から二十五時は妖精タイムと呼ばれる、異界や妖精教会で儀式などがおこなわれる。


 その時間は、一般に休息タイムと呼ばれ、時計は二十五時を回ってから、リセットされ零になる。



 体力は回復したものの、精神的にはボロボロで、草原で寝転がったまま、アモスに話しかける。


「ねぇ、ドラゴンはたしか、いずれは異界の扉で、異界送りの仕事につくんでしょ。もう数も少ないし、天使や悪魔の仕事を手伝うって、文献にでてたわ」

「そうだね」

「じゃ、この子もいずれは、異界にいってしまうのね」

「ああ、そうなるだろう」

「その子、どこでみつけたの」

「どこで、かは忘れたな。もう随分たつ」

「そう」



 そろそろ、再びの挑戦をしよう。

 それから、さらに五時間経ち、だいぶ攻撃の方法がわかり、さらに二時間経過して。



「今度こそ」


 転移で飛びうつり、炎と氷をよける。

 一度下に降りると、岩がくる。

 それもかわしながら、岩に魔法をかけておく。

 転移で、さらにドラゴンに近づくと、炎を少しうけてしまう。


「あつい」


 でも、そのまま、上にうつり、ドラゴンがリリアを見失ったところで、さっき転送魔法をかけた岩を上部にまで転送させる。


「これで」


 ドラゴンに頭部に岩をぶつける。


「これで」


 ドラゴンはそのまま落下していき、地面に激突。


「眼を覚まさなければ」


 そのまま、ドラゴンはダウンした。


「やったぁ!」

「よく、やったね。二日がかりだが、よく倒したよ」

「えへ」


 と言いつつ

 もうへろへろだ。


「あーあ」


 服も破け、炎でとけて、肌がだいぶ露出している。


「その服装もお似合いだ。」

「このエ○魔法使い!」

「あまりバタバタすると、さらに破けるぞ」

「いいもん。レイラにもらった服、だすから」


 緑羽鳥に、回復アイテムをだしてもらいながら、転送でレイラ層をでるときに渡してもらった服をだす。


 その場で着替える。


「ふぅ。リンヤは、どれくらいかかったのかな」

「リンヤは、丸一日で、クリアしたかな」

「え! リンヤ強いのね」

「たしか、詩を聴かせていたら、ミニドラゴンがなついてしまってね。あとは、すぐにダウンしてたよ」

「うわー、リンヤの詩強力!」

「そうだね」


 服を着替え終えたところで


「さて、どうする、スキルは何を選ぶ」

「そうね」


 こうして、リリアは、スキルをアップさせる。


「次の第六層は」

「うん」

「たしか、ミラルだね。未来を視ている悪魔だ」

「未来かぁ」

「リリア、リンヤをお願いするよ」

「うん」



 そして、アモスの上空に、転移陣が出現した。


「じゃ」

「じゃね。アモス。ミニドラゴンも」


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