りりあ二年生、演劇一年生仮入部
二年生は、進路相談があり、夏休みには、進路の講習会があり、秋に修学旅行があるなど、忙しい学年だ。
授業をうけて、休み時間くみさんと廊下であったときに、修学旅行いまから楽しみという話しになった。
それと、部活も何人くらい、新入生がくるのか、それも話題のひとつだった。
放課後、部活部室にいくと、制服からジャージに着替えてすぐに、見学の子がきた。
さっそく、部活メンバーで接客する。
もう一年生で、入部届けを、手に持ってきた生徒もいる。
逃がすまいと、部長が入部届けを預かり、部活見学をしてもらう。
三人の新一年生には、まず見学してもらうことにする。
女の子が二人に、男の子一人。
自己紹介をしてもらう。
緑川 ゆい
零奈 あかね
五月風 りょう
三年生の部長が、いつもの基礎トレを順番に、説明していく。
二年生のえみさんが、基礎トレに発声が終わったあと、それぞれの自己紹介をした。
わたしも、結花 利凛雨です。
(魔法使いです、はもちろん言わない)
と簡単に、寮に住むことやクラフトが得意なことを説明した。
みんなから、拍手がくる。
副部長のえみさんが、
「これからエチュードやります」
と、次の段取りを話す。
エチュードは、りりあは、入院中、基本のトレーニングはしていたものの、演劇からは遠かったため、エチュードにすんなり入れるか心配になる。
みゆさんが、照明の準備をするために、照明室となっている二階部室にいく。
途中、一年生の質問で、照明室の二階を見学したいという話しだ。
えみさんが、
「みゆっ」
と呼ぶ。
「なにー?」
「見学あとで」
「わかった。部活終わりくらいね」
「わかった」
他のメンバーは、二人組になり、まず始めの組から、演技にはいる。
りりあは、他のメンバーの演技をみながら、考える。
それは、エチュードのことでもあるが、なかなか詳細が思いだすことができない一人のことだ。
今日は、わたしはエチュード組だけど、照明が大変なときは、わたしも手伝う。
だけど、照明係はもう一人いたはず。
たぶん、この記憶のなくなりかたは、魔法による影響だな、と、ここ数日で想うようになった。
転生ショックだけでなく、何かあるんだ。
わたしとめぐやんのエチュードの番になり、二人で、天使と悪魔になる。
善と悪と、それにその裏にある天使たち悪魔たちの苦悩や心の動きをテーマに、めぐやんと演技をした。
わたしが、いくつかセリフを噛みそうなったり、身ぶりが不安なところは、めぐやんがフォローしてくれた。
エチュードのあいだ、照明が照らされていたが、みんなのグループが終わると、普通の蛍光灯のあかりに戻される。
「あとは、照明室の見学をして、解散にしましょう」
部長がそういって、新一年生たちは、部長たちと移動をはじめる。
「りーあ」
「え、うん、なにー?」
「スポットライトも見せようよ」
「うん、わかった!」
照明室で、機具の説明や簡単な操作方法、それにスポットライトがあること、ケーブルの配線に気をつけることなどを説明して、解散となる。
「ありがとうございましたー!!」
こうして、新一年生たちが、帰っていく。
りりあは、その姿をみつつ
あ、もう一年か
まだ転生して一年か
出会って一年
と続けて、想い出をつないでいき、
やはり足りない、と感じる。
部活おわり、テニス終わりのくみさんと、陸上終わりのななちに
「ねえ、早いねもう一年だ」
と話すと、
「りーあは、転入生だから、七月だけどね」
と言われてしまう。
妖精から転生して、まだ一年、
でも、もう一年経つ。
「リンヤ、元気かな。まだ、詩ってるかな」
「なに、りーあ」
「ううん」
「あ、そうだ。りーあ」
「なに、くみさん」
「魔法、今度教えて」
「え」
ななちがいう。
「その話し、聴いてていいの?」
「ななちは、大丈夫」
「うん」
「教えてくれる?」
くみさんは、なにを考えているのだろうか。
学園の寮の近くには、青バラ園という小さな公園がある。
わたしが黙っていると
「あ、りーあのとこ、とまるから」
「え、とまるって?」
「あ、ちょっと、ここよってこ」
「くみさん、あの」
公園に入り、ひとがあまりいないことを確認すると、くみさんがいう。
「りーあ、転生魔法、使ってみて」
「どうしたの、急に」
「向こうの師匠が言ったの。一つ長話しをするより、魔法を見せてもらえばわかるって。その方が早い」
「うん、わかった」
幸い、今日はまだMSPはフルの状態だ。
預言者レポートもつかっていない。
「リリラリルム リミルレレルラ」
意味は妖精たちの、再会の丘。
転生魔法を使った。
すると、くみさんだけでなく、となりのななちにも魔法がかかる。
そっか、この前、スキルが上がったのか。
「やっぱりー! ルーレ師匠の言ったとおり。りーあは、あの転生魔法使いのリリアなんだね」
「え、ルーレ師匠知ってるの」
「わたしの師匠だもん」
「じゃ、くみさんが転生したのは、妖精界のルーレ師匠のところなの?」
「そうだよ。ふふっ。やっぱり驚いた」
ななちが、なにか言いたそうだ。
「ななち、ごめんね。よくわからないよね」
「いや、りりあさんと、くみさんのこと信じてるから。魔法使いなんだね」
やっぱりななちは、信用できる、いいひとだと想う。
歩いて、寮までつくと、管理人にあいさつをして、三人で中に入った。
「おじゃましまーす」
「りーあの部屋キレイ」
「2LDKで一部屋は、荷物 (武器)と寝室ね。はじめは、学園の援助だったけど、魔法教会から、功労の援助金がでてるの思い出して、いまは、寮はその半分ずつでまかなってる」
「そっかぁ」
「あとは、クラフトの代金は、なくてもいいけど、遊びくらいは、自分手持ちのでね」
「じゃ、今日はお泊まりね」
「え!」
「大丈夫。着替えも洗面用具もメイク道具もみんな入ってるから。あ、下着新しいのだよ、みる?」
ななちの顔が赤い。
真っ赤だ。
「ななち忘れてた」
今度は、ななちは若干、むくれている。
「かわいいー! ななち」
今度は照れている。
こういうところがいいのだろうか。
ひとの部屋でイチャつかないでほしい。
ななちをからかって、イチャついて、部屋をぐるぐるして、トランプをしていると、さすがに落ち着かないのか、
「そろそろ帰るよ」
ななちが言う。
「えー! 一緒に泊まろうよ」
この発言はいいのか、とりりあは思ったところ
「そんなわけにいかないよ。管理人さんに言ってから帰るね」
逃げるように、いってしまう。
途中扉のところで、コケてから、扉がしまる。
「か、かわいいー! ね、ななちかわいいよね」
「うーん」
さらに、三十分ほど、ななちの可愛さを力説され、若干つかれてきたところ、買いものにいかなくちゃ、と思い出す。
くみさんと、わたしは自転車を押しながら近くのショッピングセンターまで歩く。
買いものして、おしゃべりして、また帰り道、話して歩いて、寮でも、話して、晩ごはん食べて。
「あ、シャワー入るね」
くみさんが、シャワーを浴びて、わたしも交代して入り、深夜まで話し続ける。
「これが、女子会っていうのかな」
くみさんは笑ってくれた。




