妖精リリアの日常(妖精プロローグ編)
郵便を職業としている、風の妖精リリアの朝は、早い。
というか、深夜に動きだす。
三時に起きて、ゆっくり動きだす。
四時には妖精ノートに、自動筆記をはじめる。
軽い朝食をすませて、でかける準備。
六時には持ち場となる郵便室内に入る。
郵便前の仕分け作業と郵便の転送準備作業を終えて七時。
茶色の髪に、朱色が混ざって、髪と同じ朱色の瞳である、リリアは、小柄で妖精の中でも小さい部類だ。
郵便作業のときには、青い帽子に青いスカーフをつけている。
妖精として、性別分類はとくに存在しないが、見た目重視でいえば、女性っぽいと思っている。
おしゃれも好きだ。
そんなことを考えて郵便室内にある鏡をみていると、運び鳥であるワシックルが玄関先に到着する。
玄関を出て、ワシックルに挨拶をすると、行き先をつげて、郵便封をした郵便物を持って各地をまわることになる。
妖精リリアは、妖精種のなかでも小柄で、体重も軽いため、運び鳥に移動は任せてある。
妖精郵便は、かなり複雑でなかでも役に立っているのが、転送契約魔法だ。
大抵の荷物は、この転送契約魔法で、契約地まで送れるのだが、なかには、手で持ってきたのしか、信用しない妖精や、壊れる心配をして、運び鳥に運んでもらう契約者も多数いるのだ。
「ワシックル今日もよろしくね」
「嬢さんを載せるのは、好きだからいいけど、荷物は丁寧に運ばないとな」
「ありがとう。そう。今日も、運びになる荷物たくさんだよ」
「わかった。午前便でひとまず、あるのは飛びでいこう」
ワシックルの背中に載り、空中に飛んだあと、ワシックルは空中で横に一回転して、たくさんの荷物の結んであるカゴを爪で持ちあげて、器用に脚のリングに荷物フックをひっかける。
降りるときには、柔らかい場所を探して、横に一回転して、荷物を着地させたあと、
もう一度、回転しながら、降りてくれる。
「おはようございます。
ワシックルと郵便リリアです」
「ご希望の、夜のリズムナイフです」
「ありがとう。これで森に、探検にでられるよ」
「森では、魔族強盗やビーストたちがでますから、気をつけてください」
「わかった」
「ご利用料金は、ミラカ (チャージカード)でよろしいですか?」
「あ、ではよろしく」
端末でスキャンする。
「リンコン」
音がした。
「はい、大丈夫です」
「では、またお願いします」
「ありがとう、リリアさん」
外で待機していた、ワシックルに載ると、再び、空中に戻り、次の行き先地にいく。
午前中かけて、次から次へと、荷物を届けていく。
ワシックルも、リリアも飛びつかれたころに、午前中の運び分は終わりになる。
ワシックルに、郵便室まで送ってもらい、
そこで一緒に軽い昼食にした。
ワシックルにお礼をいい、見送る。
このあと、二時からの作業は、転送契約魔法で、荷物を順序よく、転送することになる。
郵便室で、契約印を押していき、郵便担当リリアが、魔法で飛ばした荷物とわかるようにする。
室内作業を終えて、今日午後分の荷物を転送順に、外の倉庫に並べていく。
倉庫のテーブルで転送魔法をかけると、契約済の腕輪を持った届け先である妖精の手元か足元に、送られていく。
送られて、成功すると腕輪が魔法返信をして、リリアの持っている端末に、送信履歴と、契約者の名前や利用料金が表示される。
リリアが持っている作業用端末は、郵便公社がつくった魔導アイテムだ。
午後の作業で、MSPの回復休憩をしながら、順番に荷物を送る作業をこなし、ときどき訪ねてくる、荷物の受け取りや、緊急の転送をおこなっていると、もう時刻は夕方近くの四時になってしまう。
五時には、郵便受け取りをしめにして、
六時には作業を終わりにして帰りとなる。
帰りは、自身の時計デバイス、通称トケルンで、IDを表示させて、作業端末で読み込むと、退社手続きが完了する。
そのころになると、配送要員となる、ワシックルとタカッチルが、帰りの挨拶に来てくれる。
この妖精鳥たちは、郵便配送要員ではあるが、正式な会社所属ではなくて、どちらかというと、リリアを気にいって、手伝いにきてくれている。
いつも、リリアが昼食と夕食をわけるため、居着いてしまった。
帰りに、お気に入りショップにたちより、買いものや、自作アクセサリーに必要な素材を集めていると、夜になっている。
家に帰りつき、夜に作業をして、魔法アクセサリーをつくり、それをネットや店頭販売するリリアの副業だ。
他にも、連絡交換している妖精と、副業ネタや情報交換をチャットでおこない、SNSにひと手間の宣伝など、しているうちに、眠たくなってしまう。
そうだ、今日は預言者レポートは使わなかったけれど、魔法スキルの腕もあげないと、いけない、と思いつつ、ウトウトしてしまうのだった。




