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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
126/127

【121】第二ラウンド・後編

『長距離転移』よる離脱を初めてようとして……


「【反射】」


その直前に頼もしい声が響いた。そして飛来した強力無比な魔術達はるしの【反射】スキルによって全て弾き返され、方向をニクの方へと転換した。


「るしさん!」


「油断するな!」


魔術を跳ね返してくれたるしさんから、激が飛んだ。その直後に先程同等の規模の魔術が再び飛んで来る!


「半分は俺が無効化してやる!もう半分は自力でどうにかしろ!」


そう言ってるしさんは白と黒の翼を力強く羽ばたかせて飛んでくる魔術を迎え撃ちに行ってくれた。

るしはしっかり有言実行してくれるだろうから、半分は良いとして残り半分はどうする?ライフで受けるのは論外、迷宮で受けると祭壇に悪影響が及ぶ可能性が高い!


次元収納(インベントリ)』から《護刃の盾機(ごじんのじゅんき)》を取り出して【防御指示】【防衛指揮】を発動して残り半分の魔術に突っ込ませる。


るしさんは【パリー】で魔術を弾き、【カウンター】【追撃】で撃墜する。

護刃の盾機(ごじんのじゅんき)》はただその攻撃を受ける、二重のダメージ固定軽減の効果は破格ではあったものの…残念ながら素の耐久を含めても御するには至らなかった。1つは完全に防ぎ切り、もう一つには押し負けて、破壊されてしまったものの軌道が逸れて迷宮には届かなかった。


「とりあえず、金華と蘇生……いや」


蘇生してもまた範囲攻撃で……何度も死なせるのは絶対に嫌だけど、今の状況で守り切れる筈が無い。このまま戦いが終わるまで死なせたままの方が良いのでは?


「このままだとるしさんの足を引っ張り続けるだけか」


それにここで金華を蘇生しないのは彼女の覚悟に泥を塗る行為だろう。


道具生成(クリエイトアイテム)】で〈魔導書・リザレクション〉を生成、消費して金華を生き返らせる。


「ん、ん……」


神聖な光と共に何も無い所から蘇生された金華は、蘇生される事に慣れて居ないせいか体に力が入っておらず、バランスを崩してまう。


「金華!大丈夫か?」


「ん……どーん?」


すかさず体を支え、その名前を呼ぶと閉じられていた目は開いて、しっかりと自分の事を認識してくれている。自分の死に耐え切れず発狂とかしてない事に一安心。


とはいえ、今は戦闘中…しかもかなり押されている所かピンチだ。ゆっくりと慰めている場合じゃない。


「金華…まだ戦えるか?」


「戦える?……あれ?私気を失ってたの?足引っ張ちゃってごめんねドーン!私、全然大丈夫だから!気にしないで!」


「そうか…なら、頼む。無理はしないでくれ」


「それは…出来ないよ!ドーンが必死に頑張ってるのに、私だけ休むなんて出来ないもん!」


金華を祭壇の上に戻して。無理はしないように念を押すと、予想外に拒絶されてしまった。しかしその理由は宿で聞いた時と同様で……まだ自分は金華の覚悟を甘く見積もっていた見たいだ……いや。


「(覚悟が出来てないのは自分の方か)…そうか、キツかったら何時でも言ってくれ」


詫びも込めて、覚悟が決まった目と顔で自分の事を見つめる金華の頭を労るように撫でる。


「それじゃ反撃を開始しよう。金華……天候と環境を虚空に変えてくれ」


「わかった!」


和かに元気よく、返事してくれた金華が【環境改変】【天候改変】をしようすると、範囲内が一瞬で真空状態になる。


「虚空は無属性が最も強化される環境で…他の属性は()()無効化までは行かなくもとても大きく弱体化させる。そして無属性の強力な攻撃魔術はどれも燃費がとても悪い。」


真空についてはちゃんと全員に対策装備渡しているから、問題は無い。


「黒蓮、出番だ」


ーーーベタ、ベチョ、グチョ、ボタボタ…


粘性の高い液体が床に打ち付けられる、あるいは滴り落ちた様な音を鳴らしながら、呼ばれて迷宮の中から出てきたの真っ白な人型存在……フリョン全身を覆われた黒蓮だった。


「コレ、フリョンだけじゃだめだったの?」


黒蓮は不満な様子を隠さずに自分の全身をピッチリと隙間なく覆い隠すフリョンの一部をつまみ、乱暴に尻尾を振るう。


「フリョンを纏わせる前にも言ったけど、どうも創世機の影響でフリョンは自力での攻撃…というか、他者に危害を与える行為が出来なくなって居る見たいで、創世機を有効活用するにはこうするしか無かったんだ。」


「それは…わかっているのだけど、貴方以外にこんな……あ、何でもないわ!」


「ふふ、俺には良いんだな」


「う、うるさいわね!」


今の黒蓮は全身をフリョンに覆われているため、その表情を窺い知ることは出来ないが、恥ずかしけどかなり恥ずかしそうだ。尻尾もピン!立って威嚇している。


「ふぅーそれで、必殺技の【閃光一閃】を使えば良いのよね?」


一つ息を着いて心を落ち着けさせた黒蓮は、気を取り直して作戦の段取りを確認してくれる。


「そうだ、俺がニクのすぐ側に転移させるから、その直後に【閃光一閃】で、《天沼矛(あめのぬぼこ)》を切り払ってくれ。創世機と一体化したフリョンが包み込んだ刀で殴り付ければ、《天沼矛(あめのぬぼこ)》を一方的に無効化出来るはずだ。」


「わかった、それじゃ……頼むわ、ドーン」


「ああ…死ぬなよ黒蓮【長距離転移(ロングテレポート)】」


「ふん、ちゃんと生き返らせくれればいいわよ」


「……」


長距離転移(ロングテレポート)】によって黒蓮は転移した、るしとニクが激戦を繰り広げている真っ只中に……黒蓮程度のレベルと階梯では一瞬で蒸発してしまう様な危険地帯だが、創世機と融合したフリョンの権能…力によってこの場に留まることが出てきて。


ニクの魔術を放ち…

『マジックボム』『マジックレーザー』『マジックシールド』


対してるしはスキルを展開して行く…

【盾の章・第四節無】【鎧の章・第四節無】【両刃剣の章・第三節無】


ニクのは放つ魔術は虚無も合わさって強力無比だが、それはるしのスキルも同様であった。

そつなく捌き、弾き、無効化し、【物語(ストーリー)】を進行させて行く。


戦闘の流れはニクが一方的に責め立て、るしが受け続けると言う形で進行しつづけており、一見ドーンに攻撃する余裕すらあるニクが優勢に視えるが、るしは信じ難い事に未だに無傷であり、対して大きくは無いがニクは傷を追っている。【物語(ストーリー)】の性能も合わさって徐々に戦況はるし有利に傾て言っているようにみえる。


黒蓮は、「コレ、私達が介入する必要あったのかしら?」そんなに疑問を抱きながらも予定通り、転移した直後に【閃光一閃】を発動した。


黒蓮がこの戦闘に介入するには攻撃力も速度も防御力もまるで足りていない。例え必殺技を放った所でどちら痛痒にも感じない……まさに今の黒蓮は象の喧嘩に突っ込んで行く無謀な蟻んこそのもので、だからニクは気付いてこそいれどあまり気にしていなかった。


だから、黒蓮を覆っている真っ白の粘液が《天沼矛(あめのぬぼこ)》の気配が充満する場の中で、違う創世機の気配を放っていることにニクは気が付かなかった。


「な!?」


流れ弾、爆発、あらゆる物を無視して一直線。当然被弾しまくるが…身体を覆い隠すフリョンは創世機その物………創世具以下の武具、道具から放たれた攻撃の一切を受け続けない、故に…一切の妨害を受ける事なく直進し……ニクの持つ《天沼矛(あめのぬぼこ)》を強かに打ち付けた!!


フリョンと《天沼矛(あめのぬぼこ)》がぶつかりあった瞬間!接触地点、《天沼矛(あめのぬぼこ)》側を中心に目に見える形で空間が一瞬にしてねじ曲がり、《天沼矛(あめのぬぼこ)》を持っていたニクの腕ごと弾け飛んだ!!


「きゃぁ!?」


「くくっ」


「うっ…」


近くにいた全員が弾き飛ばされて…何が起こったのかを理解するのに、一秒もかからなかった。そして対応も。


「させるか!」


るしさんが何かを阻止すべく翼を素早く羽ばたかせ、ニクへと迫ったが…….発動する事が察せる程度で止められる程の近距離では無いし、かりに届いたしても、それを許す程ニクの戦闘能力は低くない。


るしの攻撃がニクに届くよりも早く!黄色い瞳の単眼が、深紅に染まる……次の瞬間、世界から色が消えた。



創世機同士が打ち付けあった時とは比べ物にならない規模爆発が、突然起こった!

その規模は射程ギリギリの位置にいたドーンの移動迷宮さえ、少しでも下がるのが遅れていたら即死していたレベルであり…地上には元々で森であった等と到底信じられない規模のクレーターが出来上がっていた。


そしてそのクレーターの中央から立ち上がる創世機械の気配。フリョンでは無い……


「〈対価の天秤〉!」


クレーターの中央に居たのは、エドさんが死んだ事で所有権が浮いていた、創世機〈対価の天秤〉を掲げるニクの姿った。


ニクが放ったのは『超新星爆発(スーパーノヴァ)』無属性の最上位()()。あらゆる耐性、状況を無視してダメージを与える、さらに命中対象に必中の極限固定ダメージを与える。


そんなものを食らったのだ、黒蓮はもちろん、るしとて無事では済まない様に思えるが…黒蓮はフリョンが全身を覆っていたおかげで奇跡的に死んでおらず、るしは時空間魔法の『位相次元』によって逃れたようだ。とはいえ……黒蓮は最早死んでいないだけ、このままではもうはや数秒も持たないだろう。フリョンは創世機が絡んだ一撃であったが故に、《天沼矛(あめのぬぼこ)》のように無効化されて動けず。るしの方は『位相次元』の効果で1分無敵ではあるものの1分間ピクリとも動く事が出来ない。


そして…….何故か黒蓮が回復した。これは実はフリョンが生きていたとかではなく……ニクだ、ニクが黒蓮のいる場所に『ヒールサークル』を設置したため、瀕死状態だった黒蓮は一瞬で無傷と言えるレベルまで回復した、して()()()()


「よくも!よくもやってくれたわね!この()()()()ふぜいが!!」


そう言って自分が回復させた、黒蓮の事を…怒りに任せてなぶり殺しにし始めたのだ!


踏み付けて!蹴り飛ばし!持ち上げて、叩きつけ!踏み躙り!踏み潰し!へし折って!砕いて!叩いて!ちぎって!打ち抜いて!!踏み付けて!蹴り飛ばし!持ち上げて、叩きつけ!踏み躙り!踏み潰し!へし折って!砕いて!叩いて!ちぎって!打ち抜いて!!踏み付けて!蹴り飛ばし!持ち上げて、叩きつけ!踏み躙り!踏み潰し!へし折って!砕いて!叩いて!ちぎって!打ち抜いて!!


潰して!潰して!!潰して!!!!


怒りの赴くままに、ニクはそうした。黒蓮のニクのレベル差、能力差は正に月とすっぽんであり、抵抗は全く出来ず、ニクが軽く小突いただけでも黒蓮は死んでしまう…本来ならば。ニクは〈久遠の秘薬〉という、十秒間絶対に死ななくなるというという、ニク程の魔女を持ってしても極めて貴重な薬を使ってまで、回復し続けながら、黒蓮をなぶり殺し続ける。


一体どれ程の…恨み辛み怒りを抱けば戦いを実質的に放棄してまでこのような非道な行為をするのだろうか?


それはきっと、今まさに抵抗しなくなっても関係なく、怒りを黒蓮にぶつけ続ける()()にしか理解出来ない事なのだろう。


「この!この!!雌牛の!分際!で!!女狐の!癖に!!!この私の!!邪魔を!!するんじゃないわよ!!!」


そうヒステリックに叫び散らかすニクは、〈久遠の秘薬〉の効果が切れて、最早物言わぬ肉塊とかした黒蓮を見ながら肩で息をして……その大きな一つ目の眼孔から溢れんばかりに血の涙を流すニクの姿は、何故が悲しげで…本当に泣いている様にみえた。


「この!糞女が!!」


とはいえ、思いが通じあったばかり…最愛の人の片方をこんなふうに必要以上に傷付けられて殺されて、頭に血の登らない男なんていないだろう!!!


超長距離から()()()()()()()ドーンはニクの後頭部に飛び蹴りをかました。飛び蹴りは見事にニクの後頭部にクリーンヒットし、蹴り飛ばされたニクは地面を削りながら数十メートル滑走した。


「ごめん…黒蓮」


ミンチより酷い状態になってしまった黒蓮に…もはや意味が無いと分かっていても謝ったドーンは、余裕の表れか、あるいは怒りの表現か、ゆっくりと起き上がるニクを睨みつける。


「お前を……殺す!!」


ドーンは最早後先など1ミリも考えてはいなかった。



大地を大きな影が覆った。


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