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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
123/127

【118】儀式の魔女《ニク》後

ブレスに襲われながら、ニクが振るった〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉は正確に…捉えたはずだった。


ーーーガキン!


代わりに硬いもの同士がぶつかり合う、硬質な音波が放たれて


ーーーガキン!ガガガキッン!


数度剣戟が躱された後、ブレスが収まって2人の姿が顕になる。


「ニクッ!!」


「ルドぉ!!


古代聖浄竜へと向けられた槍を凌ぎ、弾いていたのはいつの間にかこちらまで来ていたルドだった。


二人は互いに恨みや怒りが募っている事がアリアリと伝わって来る声で、互いの名前を呼びあうと。強く弾きあって互いに距離を取って……城壁のヘリに降り立つ。


……睨み合いが続くかに思われたが、以外にも素早くニクが打って出た。〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉で作り出した物は1分後に破壊可能になる。そうなれば古代聖浄竜が解き放たれて戦闘は完全に2対1になってしまう。

それを嫌ったのだろう、ニクが選んだのは速攻だった。


「【十連魔法(ディカプル)】『地獄之業火(ゲヘナフレイム)』」


十連魔法(ディカプル)】によって次に発動する魔法の発動回数を10回増加せるという下準備をへて発動された魔法『地獄之業火(ゲヘナフレイム)』はニク中心に放射状に漆黒の炎に放たれた漆黒の炎は、ホーミングするかのようにルド方へ伸びて行く!!


「【黄金の手】」


ルドが迫り来る漆黒の炎に手をかざして種族スキル【黄金の手】を発動させると物質、非物質問わず黄金へと変じさせて行く、当然それは決して消えることの無い炎であるも『地獄之業火(ゲヘナフレイム)』も例外では無く黄金へとその身を変じていく。


それはニクとて例外では無いが、これでも元々はゲームで同じクランに所属していた身、当然スキルは把握しているため、既に効果範囲外に逃れている。


「『ライトニング』」


続けざまに放たれた雷魔術も『地獄之業火(ゲヘナフレイム)』と同様に、効果範囲内に入った瞬間に黄金へと変じるが……【黄金の手】の効果はあくまで効果範囲内の対象が黄金に変換されるだけだ。


「うぐっ!!」


地獄之業火(ゲヘナフレイム)』は高い追尾性能と引き換えに速度がそこまで早くなかったため、直ぐに落下して無力化されたが……黄金へと変じた『ライトニング』は速度を一切落とさずに雷速で突っ込む!黄金に変じた『ライトニング』はルドを守っていた結界を容易く貫き、そのまま体も貫通されてしまう。


(そうですよね。一応仲間だった訳ですし、弱点も割れていますよね。)


ルドは自分の体に突き刺さった黄金を操って引く抜きながら、魔法陣を複数展開して次の攻勢の準備をしているニクを睨みつける。


(私の能力は彼女に割れていますし、そうでなくても私のスキルや魔法は戦闘用の調整ではありませんしこの状況をひっくり返すのは不可能でしょう。やっぱりドーンさん頑張ってもらうしかありませんが……今状況だと本命が到着するまでの時間稼ぎが出来るのは私しかいませんからね。


「ここが踏ん張りどころでしょう!」


「死ねルド!!」


ルドが不退転の覚悟を決めて黄金の光を放つ剣を構え直したのと同時に、ドス黒い殺意の思ったニクの声が無数の雷鳴と共に降り注ぐ!


ルドは【黄金の手】を使って壁を作って黄金に変じた『ライトニング』を防ぎる。そして手に持った黄金の光を発する剣を振るいながら、上空で浮いているニクの元に黄金に変じた『ライトニング』を足場に迫る。


「ふっ!」


「バカねっ!?」


ニク目掛けて振るわれた黄金剣…ニクは〈

天沼矛(あめのぬぼこ)〉で、迎え撃った。

ルドが振るう武器は第十階梯の種族スキルによって構成された武器とはいえ、創世機の性能には遠く及ばない、ぶつかり合えば…たとえ受け流したとしてももたないだろ。


創世機とそれ以外では……それだけの絶望的な差がある。もちろんルドもそんな事は百も承知、当然無策で、無謀に突貫した訳では無い。


ーーーガギィィンン!!!


「やっぱり〈対価の天秤〉で強化していたのね?けれど、創世機と打ち合えるレベルの強化なんて………(ニヤリ)貴方は一体何を、どれ程の対価を差し出したのかしらね?」


ルドとニクは互い武器スキルを保有していない、故に戦闘はこのまま単純な近距離での打ち合いには移行せずに……小細工たっぷりの戦いへと以降する事になった。


「プレゼントよルド!たぁ〜ぷりと、味わいなさい!!」


つづ攻撃をルドは、〈黄金の剣〉の耐久値減少を嫌ってこの攻撃を回避したが……それで読んでいた、ニクは片手で武器を降るっており、もう片方の手で〈ポーション袋〉緑と紫が混じった毒々しい見た目をしたポーションが3つを取り出してルド目掛けて投げつけた。


ーーーGaaaaaaa!!!!


それを見た古代聖浄竜が咆哮し、翼を羽ばたかせるとあげると強烈な一陣の風が吹き抜けてルドに迫っていたポーションを逸らして城壁の下へと落とした。


「チッ!やっぱり面倒ね。【三連魔法(トリプルマジック)】『ロックランス』」


ニクは、妨害をした古代聖浄竜を睨みつけて土属性魔術を発動した。土属性魔術は他の多くの魔術と違い、魔力ダメージのみならず物理ダメージも入る魔術であり……如何に魔法、魔術等に高い耐性を誇る古代聖浄竜と言えども無傷とは喰らえばタダではすまない、特に今のように拘束されている状態では尚のこと。


古代聖浄竜は『神聖結界』を貼って攻撃を凌ごうと試みるが、この結界は呪いや闇属性等には比類なき耐久性を発揮するものの、それ以外に対しては、正直片手落ちの性能だ。


当然そんな事は、この場にいる全員が把握していたが古代聖浄竜が使える最も強い結界がこれだったのだ。


ルドはニクの攻撃に割って入って古代聖浄竜を庇い、その剣で迫り来る石の槍を切り裂く。もし古代聖浄竜がやられてしまった場合、ニクは間違いなくトラップを貼り直すだろう。そうなってしまえば、戦闘用のスキルはほぼ持っていないルドでは手が出せなく無くなってしまう。


ルドにとって古代聖浄竜の生存はニクを倒すための生命線だった。


もちろんニクもそんな事は百も承知。今度は防がれないように古代聖浄竜を囲むように『ロックランス』を構築して攻撃を仕掛ける。


ルドは種族スキルの【黄金の支配】と【黄金の一撃】を発動して周囲の黄金を操り、壁とした。もちろんニクの魔術はただの黄金の壁程度で防ぎ切れるものでは無いが……一瞬の隙があれば事足りる。


いつの間にか【黄金の支配】によって輝く黄金の鞭へ姿を変えていた輝く黄金の剣は、【黄金の一撃】の効果を受けて一際強く輝きを放ちながらうねり、舞、そして鋭い一撃を持って『ロックランス』を凌いだ。


ーーーバキンッ!!

ーーーミシミシミシッ!


そして、ついに一分が経過した。古代聖浄竜を拘束していた城壁と鎖にあった1分間の【不破】の効果が切れたのと同士に、自らを拘束していた忌々しい物を派手に壊しながら古代聖浄竜は飛び上がった。


ニクは咄嗟に〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉の力でもう一度拘束しようと考えたが…ルドがこれみよがしに呼び出した〈対価の天秤〉を前にそんな考えは消し飛んだ。


天上天下唯我独尊、一見無敵に思える創世機にも実のところいくつか弱点がある。


1、インベントリ、及びそれに類する物の中にしまうことが出来ない。

2、創世機は装備を解除することが出来ない。

3、創世機が効果発動途中に創成具以上のアイテムから能力による干渉を受けた場合、能力の発動が中止された上で一時間使用不能になり、さらには所有権も一時的に消失する。

4、創世機を複数装備できない。


創世機は能力に差異こそあれど、どれもこれも理不尽極まりない能力を持っている。故に創世機使い同士の戦闘で最も重要なのは如何にして相手の創世機を無力化するかである。


そういった意味では…二対一のこの状況、ニクが方が圧倒的に不利な状況だ。1VS1あれば互いに隙を観せないようにするため慎重に動かざる負えないが……2VS1であれば、多少強引にせめてカバーが入る可能性が高く…そう出なくても数の理というのは大きい。


「諦めたらどうです?」


ルドが勝利を確信して、不機嫌そうな顔で空を飛ぶ古代聖浄竜を睨みつけるニクに問い掛けるが……帰ってきたの嘲笑と狂気的な笑だった。

黄色い瞳の大きな単眼を大きく歪めて笑うその様は不気味としか形容できないだろう。


「ふふ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!ルーーードォーーーー!!貴方にしては!随分と甘かったわね!!…なにか忘れてないから???」


「忘れ……!!まさか儀式祭壇!」


「正解よ!」


高らかにニクがそう宣言し、腕を上げた直後!壊れた体を串刺しにされた状態で行かされていた、エルフを中心とした人々がポリゴンに変化し始めた。


(どんな儀式を行って居るのかは知りませんが……ニクのことですからどうせろくでもない物です!そう出なくても…この規模は絶対にまずいですね!!)


ルドは瞬時に方向転換し、手に持つ創成具の力を解放しながらこの儀式の核であろう儀式祭壇へと迫ったが……


「させる訳ないでしょう!【混沌よ!壁を!】」


当然ニクがそんな暴挙を許すわけもない!〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉の能力によってニクの空間の周囲が混沌へと変じ、そこから伸びた壁がルドの行く手を阻む!


ーーーGAAAAAAAA!!!!


しかしそこに、上空に飛び立っていた古代聖浄竜が勢いよく体当たりをかました。当然【不壊】を持っ壁が壊れるとは無かったが……空中という不安定な場所から生えているせいだろうか?壁はたわみ、ルドの前方を遮っていた壁がしたにズレた……


「ッ!コイツ!!」


「ありがとうございます!」


妨害に怒るニク。ルドは壁を乗り越えて、先程までよりも一際強い輝きを帯びた武器を横に構えて……


「【天地雷鳴剣】」


遂に発現した創成具の能力を発動したルドは、一気に加速して儀式祭壇へと迫り……勢い良く切り裂いた!!


「ふぅ……これで、ガフッ!!そ、そんな、馬鹿な!」


しかし、何故か儀式祭壇は崩れず。さらには急に背後に現れたニクに背中を刺し貫かれるという結果に終わった……ルドは有り得ない、納得が行かないと動揺を隠しきれない様子で目を見開き、逆にニクはしたり顔で怪しく笑みを浮かべる。


天沼矛(あめのぬぼこ)〉に胸を貫かれて()()したルドをゴミのように放り捨てた。


ぐちゃりと地面に叩き付けられて赤い血潮を広げる……かつての仲間の死体を一瞥すらせずに。

全て生贄が捧げられ、禍々しく紫色のオーラを放つ儀式祭壇の頂きを目指して階段を登る。


古代聖浄竜も既に()()()()()()()()殺されており、彼女を遮るものは……最早この場には存在しなかった。


()()()()()

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