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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
122/127

【117】儀式の魔女《ニク》中

押し寄せる白い根っこをかいくぐり、生成した魔物を地から天から目標地点である祭壇まで進ませる。当然木の根っこの攻撃を避けきれずに散ってしまった個体や、予想通り仕掛けてあった罠に引っかかり、爆散、氷結などを周囲に撒き散らしながら散って行くが……少しずつ罠のない安全圏が広がって言っている。


「ルドさん!襲撃者……ニクが持っている〈創世機〉は〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉です!今は使ってきていませんが、確実に持っています!気をつけてください。」


前身しようとした直前に、大事な情報を伝えてきたルドさんに、こくりと頷いて返して血肉と魔法が飛び交う最前に身を踊らせた。


ニク、ユグドラシルメンバーで、儀式の魔女という2つ名で呼ばれた、プレイヤー中最強の魔女。

その二つ名に相応しく、ゲーム中に存在する儀式魔術を全て網羅しているといわれ、それを持って通常より飛び抜けて強力かつ特別なポーションの生成に魔術の発動をこなしていると()()()()()()



side・ニク


名前 ニク

クラン ユグドラシル所属?

種族 単眼人(オーディン) 第十階梯 レベル?

職業 儀式の魔女 第十階梯 レベル?

武器 〈創世機・〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉〉

道具 ポーション(魔法薬)多数


「……折角…森の白豚ども処せていい気分だったのに……この私に不意打ちとは、いいご身分ね!」


〈対価の天秤〉がある所を見るにルドのやつの一派なのでしょうけど、ユグドラシルの約定は…まぁわけもわからずこんな異世界に飛ばされて、たまたま再会したからそれを履行すべきなんて話は……ないわよね!!


「フフ!うふふふ!!」


いい機会だわ!前からルドも〈対価の天秤〉も気に入ら無かったし、出来る限り凄惨に殺してやるわ!!


迫って来ているのもいるけど、『悪魔の街』に対処出来るほどには見えないし、無視していでしょう。でもそうね、念の為………


「【石化の魔眼】」


私の視界に入っている全て対象が瞬時に石へと変わった。ゴミのように溢れかえっていた魔物はもちろん他の人間も……ルドのやつは兎も角、他の奴らも何とも無さそうね、〈対価の天秤〉で防いだのかしら?この世界で自作する以外の方法で高度な状態異常耐性を得られる装備が手に入るとは思えないし、〈対価の天秤〉でのアイテム生成は効率がとても悪いし。


魔物を大量に召喚したであろう男から高速で槍が飛んで来ている出けれど、その程度の速度と強度じゃ私の所まで届きすらしないわ。ほら、トラップに引っかかって弾かれて……あら?


「ぐぅっ!」


「なんで私が転移封じを来ていないのか、考えが及ばなかったのかしらおバカさん?」


転移先の座標に重ねる様に転移を発生させる結界を貼ってあるから……ふふ、間抜けに壁の中に埋まってるわ。




「【生命の生成(クリエイトオブライフ)】」


ーーーCuullllll!!!!


目を覆う程の青い光が一瞬だけ、辺りを覆い尽くした、その次の瞬間、それは現れた。

この地獄のような場所にそぐわない神聖な雰囲気を纏った純白のドラゴン、その美しい見た目の通りの鈴の音のような咆哮を鳴り響かせなが、ニクの事を睨みつける。


ドーンが【生命の生成(クリエイトオブライフ)】で生成したのは、第十階梯、古代聖浄竜Lv100…トップクラスの反魔力、反魔術特性を持ったドラゴンである。


生成されたと同時に放たれた【浄化の叫び】によって既にこの場に設置されていた魔力に起因するトラップは全て解除、無効化されており。古代聖浄竜は何に憚られる事もなくその力を十全に発揮するために空へと舞った。


当然ニクが妨害に入るが彼女は魔女…スキルも魔法も当然魔力に偏っており、大量に保有しているポーションも魔力を起因とする物ばかり、僅かにあるそれ以外のものも古代聖浄竜を相手にするには些か役不足だ、魔眼は言わずもがな。そしてニクの大名詞たる祭壇は今正に大規模な儀式の真っ最中で、古代聖浄竜をどうにか出来るレベルの魔術を発動出来る程の余裕は残って居なかった。


そして、古代聖浄竜を放置して置けば大事な儀式を強制的に失敗させられる可能性が高く…厄介な相手を作り出したことに、ニクはこの無謀な男を少しだけ見直していた。


もちろん、戦いを辞める程でないが。


ニクはルドの方をチラリと見て、余裕が無さそうな事を確認した後、切り札の内のひとつを切ることにした。


〈創世機天沼矛(あめのぬぼこ)〉である。


ニクが左手に持っていた箒を強く握り締めると、箒の装飾が玉虫色の泥に瞬時に変化してその内側から封じられていた〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉が先程までは一切感じ取れなかった〈創世機〉たる威厳を、撒き散らしながら姿を表す。


「【混沌よ、城壁を】」


ニクが地面に降り立って、足元に〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉を突き刺し、そう言うと突き刺した場所を中心として大地が一瞬で玉虫色に染まり、そこから文字通り城壁がせり上がり、ニクを上空へ押し上げ、さらに既にそれなりに高い位置を飛んでいたはずの古代聖浄竜を()()()()て……


「【混沌よ、鎖を】」


続け様に城壁から放たれた鎖によって古代聖浄竜は城壁に縫いとめられる。〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉によって創造された物質は、1分間不壊を付与されるため決して破壊されることは無い。


とはいえ…拘束された程度で何も出来なくなるほど第十階梯、種の頂点は生易しい存在では無い。


古代聖浄竜が光魔法の『輪光』を発動さた。周囲に無数の光輪が浮かび、その中心から収束するよに光線がニクに向かって放たれる。


が、それはニクが常に貼ってある結界に阻まれて通らない。さらに古代聖浄竜は【竜ノ息吹(ドラゴンブレス)】を発動して攻勢を強める。これに対してニクは少しだけ表情を歪ませた。


ニクが張っている結界は、魔力供給タイプ……いわゆるダメージをHPの代わりに発動者のMPで受ける形式の結界であり、その減少速度は古代聖浄竜の特性もあって今のニクが許容出来るものでは無かった。


「この程度の攻撃、普段なら祭壇からの供給があるからものの数ではないのだけど……」


古代聖浄竜の特性上非物質系の魔術は相性が悪のよね…かと言って土属性を代表とする質量を持った魔術もこのレベルの相手だと多少まし程度にしかならないでしょうね。そうなると……


ニクは古代聖浄竜にトドメを刺すために歩き出した、〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉を構えて。

ニクは迂回することも、牽制攻撃をすることもなく悠々と【竜ノ息吹(ドラゴンブレス)】の中あゆみを進める。当然古代聖浄竜に近続けば近付くほど、ブレスの収束率が上がって威力が上がるが、それをものともせずに〈天沼矛(あめのぬぼこ)〉を振るった。



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