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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
121/127

【116】儀式の魔女《ニク》前

「どうして〈対価の天秤〉がこの世界に……」


思わず口にでた呟きは、他ならぬ【ファンタズマ】での…〈対価の天秤〉の所有者であるルドさんに拾われ、理由を知ることになった。


「私がこの世界で目覚めた時、 すぐそばに〈対価の天秤〉はありました、代わりのように他の物は衣服すらありませんでしたが……ドーンさんも同じだったのでは?」


「なる…ほど、自分は課金アイテムがありました」


自分とるしさんが同じようにゲームからの引き継ぎはキャラクターと課金アイテム一つだけの引き続きだったから、ルドさんも同じだと勝手に思っていたけど違ったのか。一番お気に入りのアイテム、或は大切なアイテムをと言うことなのだろうか?……なんというか、るしさんと話し合いでも思ったけど、この異世界転生は誰かの作為的な物を感じる。


「創世機ではなく課金アイテム……なるほど、なるほど。気にはなりますが今は戦闘中です、後にしましょう。〈対価の天秤〉よ、【私の金貨10枚を対価とし】【この場にいる全員を襲撃者から距離100m地点で襲撃者に視界が通った場所かつ、襲撃者の意識の外側の場所に転移】させてください」


ルドさんがそう言うと、〈対価の天秤〉が輝きを増し始めたかと思うと、先程まで釣り合っていた天秤が傾き不均衡になり始めた。


〈創世機〉がその抗力を発揮する所なんて、ゲームでも直に見た事ないから、ちょっとワクワクする。


「…やはり足りないようですね。【追加で私のレベルを3捧げます】」


ルドさんがそう言うと、不均衡の状態に推移しつつあった天秤再び近郊が取れた状態に戻り……一際強い光を放った瞬間、周囲の景色が一変し…地獄に変わった。



「は?」


辺り一面に広がった、血肉の荒野に不規則に打ち立てられた杭に股座から頭まで串刺しにされた上で杭に貼り付けにされた無数の人々…漏れなく全てに凌辱され、ズタズタに切り裂かれており内臓がこ零れ落ち()()()()………そう、続けている、内臓が落ち続けているんだ!

身体を串刺しにされ、内臓がこぼれ落ちるような傷を負って……普通ならとっくに死んでしまって…いや、死ねるはずの怪我を負ってなおも回復され続けている者達の、苦痛に溺れた嗚咽と絶叫が、この狂った場所を強調するように休み無くこの場に反響し、鳴り響き続けている……


「ぅっおぇぇ…」


後ろでカコさんが嘔吐する音が聞こえるが…仕方ない、色々なゲーム(世界)を渡り歩いてきた自分でも、ここまでグロテスクで、冒涜的な光景は見たことがない。正直自分も結構気持ち悪いし、グロ耐性が無いだろうにもかかわらず、発狂していなさそうなだけ大したもの……


「ッ!〈対価の天秤〉よ!【私の金貨10枚を対価】に【敵に相応の衝撃ダメージ】を与えてください!」


そんな自分達とは格の違いを見せつけるかのように、ルドさんは多少の同様こそ見せた物の、即座に〈対価の天秤〉を使って……襲撃者にして十中八九この惨状の首謀者であろう、遠方で祭壇の上に()()()()()人物に対して攻撃をしかけた。


〈対価の天秤〉強い光を放った瞬間、そいつは吹き飛んで…その直後に串刺しにされた人々の絶叫が大きくなり、ズボッと地面から先程の白い根っこが無数に…数十倍が出て来て迫ってくる!!


「【攻撃指示】【強撃】を発動」


そこで流石に正気を取り戻した自分は、【移動指示】を【攻撃指示】に切り替えて大剣、槍、盾、杖の浮遊武具に、付与されている唯一のアクティブスキル【強撃】であるを発動させた。浮遊武具達は付与されている【セミオート】と【連携】のスキル効果によって半自動的に動き出して敵をするためにその身を縦横無尽に振るった。


無数に迫り来る根っこよ大半が集まりながら向かって来ていた為、これでほとんどを撃退出来るだろうが……あくまで()()()どであり、()抜けてくる個体は元の数がかずだけに沢山いる。それを装備している〈戦神の双威(イクサガミのソウイ)〉を勢いよく振り回して切り払う。


浮遊武具はなるべく全員を庇う位置に展開したものの、そこを抜けてきた攻撃への対処は自分に迫って来るのを対処するのが精一杯だ!


とめどなく迫って来る根っこへの対処に追われながらも、どうにかこうにかやり過ごせてるけど、正直結構きつい。ルドさん達は……


迎撃の合間を縫って、ルドさんたちの無事を確認する為に視線を向けるとそこには無事なルドさんとカコさんの姿があったが…ルドさんが必死にカコさんを庇う形になっている上に、そこから巻き返せる作為がある様にも見えない……とにかく足を引っ張ている彼女をどうにかしないと!


自分が今、この状況でするべき事を見つけ行動を開始しようとした直後に、事態は大きく動いた…いや、動かさざる追えなくなった。


「【サクリファイス(生贄を捧げる)】」


悲鳴と絶叫、そして木の根が砕かれる音がうるさく鳴り響く中でその……狂気が滲んだような女性の声は、不思議なことに酷くよく聞こえた。


敵がそう言った瞬間、遠方に見える祭壇から禍々しい紋様や恣意が随所に立体魔方陣が構築され始めて…目に見える速度でその規模が大きくなって行く。


「あの魔法陣は確か……『悪魔の街』!?」


召喚魔術『悪魔の街』は悪魔召喚系の中では『悪魔の門(デーモンズゲート)』に次ぐ規模の大規模召喚魔術だ、その効果はというと地獄に存在している悪魔の街を物理的召喚するというなんとぶっ飛んだもので……今この状況でそんな物を呼びされたら絶対に負ける!


「くっっ」


「ッルドさん!!」


ルドさんの方をみると、根っこの攻勢に押され始めており、カコさんもようやく気を取り直したみたいだけど、この猛攻を前に何もできていない。早く加勢したいところだけど、敵の妨害もしないと……ど、どうすれば?どっちを優先したらいいんだ?


一瞬の逡巡の後、ルドさん達の方に向かおうとして……


「ドーンさん貴方は儀式を妨害しに行ってください!私達の方は私がどうにかします!貴方は気にしないで戦ってください!!」


「くっ」


そう言われると……ん〜


今の自分はめちゃくちゃ渋い顔をしていると思う。助けようとした相手から助けはいらないなんて言われちゃ、ねぇ。まぁ確かに儀式は止めないとやばいし、あのルドさんのことだから奥の手ぐらい残っているだろう、そうでなくても〈対価の天秤〉があるし…………助けが必要っていうのは自分の早合点、うん、そう早合点……よし!気持ちも切り替えて行こう、うん。


視線を根っこに襲われているルドさんたちに背を向けて、祭壇の方に向き直って『長距離転移(ロングテレポート)』…は、対策されているだろうから走って行こう。


「【命の生成(クリエイトオブライフ)】ロックベジホック」


スキルを発動して魔物、ロックベジホックをざっと50体ほどをズラリと生成する。

ロックベジホックは、小型犬ぐらいの大きさをした第三階梯のハリネズミの魔物だ。その名前から類推出来るとおりかなり第三階梯の割には頑丈な魔物で、さらには転がって高速移動も出来る。


つまり何かと言うと、根っこの猛攻をかいくぐって先に進み、はらているであろう罠を踏み抜かせるのに最適な魔物と言うことだ、多分。そして空中にも設置されている罠対策にはウィンドバットを使う、こっちも同じく五十匹ほど生成して先行される。ウィンドバットその名の通り風を纏ったコウモリで同じく第三階梯の魔物で結構俊敏、きっと根っこをかいくぐってその先へ行ってくれるはずだ。


もちろん、罠にかかったら即死するだろうけど、そこは追加で生成すればいい。今のポイント保有料ならば、第三階梯でレベル固定の魔物ぐらい数百匹程度なら浪費しても問題無い。本体である迷宮の方で、毎日コツコツと狩りをしていた甲斐があったというも、あの山脈にはあの時戦った雷龍ほどの個体は居ないものの、竜種が湧き場があるようで毎日それなりの量を狩れているのも大きい。


…まぁ如何に竜種といえど、階梯もレベル低い生まれたての状態の奴を狩り続けてるからレベルは全く上がらなくてポイントを貯めるだけになってしまったけど。


さて、相手はどう来るか……




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