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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
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【115】エルフの里へ

「おや?ドーンさんおひとりですか?」


翌日の朝、昨日の約束通り明朝に訪れたルドさんの使者にしたがって傭兵ギルドで件の依頼を受け、そのままの足でこの街の門にやって来ていた。

門の近くには大量の荷物も積み込んだ馬車が何台も並んでおり、パッと見たところ、食料や布系が、多いように見える。


「ああ、2人はこれからの戦いに着いてこられないとおもって…思いましてね」


「それなら…仕方ありませんね。まぁ私の方でしている準備も《創世機》が相手となると、意味をなさないでしょうからね、大切な人達の安全を第一に考えるのは当然のことです。それでドーンさん達の《創世機》は今どちらに?」


「昨夜から移動を開始して…この街まであと半分と言った所です。るしさんとその仲間たちが協力してくださったお陰で予定よりも早く到着出来そうです。」


「おぉ我らがリーダーも協力してくださるのですね。彼が協力してくれればまさに百人力!たとえ《創世機》相手だろうと物の数ではないでしょう。……とは言え、それの到着を待てる程の余裕はありません。救出作戦ですからね、できる限り急ぐべきです。それでは準備が整ったようですので参りましょうか。」


そう言って方々に指示を出しながら馬車に乗り込むルドさん。自分もその後に続いて馬車に乗り込む。

ルドさんが持っているという《創世機》の事を何も教えてくれなかったし、その上で未知の《創世機》が相手となるとことさら不安が大きいけど、ユグドラシルのメンバーであるルドさんもいる訳だしきっとどうにかなるはずだ。


最悪時間さえ稼げは無敵と名高いるしさんが何とかしてくれるはずだし。

それと金華と黒蓮については、どんな戦場でも役に立てるように育てているつもりだけど、流石に《創世機》が相手となる可能性があるとなると間違いなく厳しいだろうから今回はお留守番、二人とも覚えたての快楽と愛に溺れているし、自分の意識を金華、黒蓮、依頼、迷宮に四分割していてもバレないはず………


自分達が乗っている馬車には、自分とルドさんとカコさんが乗っていて、その後ろに鉄で補強された荷馬車がひとつ、そしてそれらを護衛する様に十数人の騎士らしき人達が馬に乗って街道をかけている。窓から外を見れば、既に森に続く林の中に入り込んでいいるが、人が帰って来れなくなる様な異常は見当たらない、当然【魔力探知】にもそれらしい反応はない、かなり範囲を広げてもだ。


「……何もありませんね」


「ええ、不気味なぐらいに、何もありませんね」


とても人が帰って来なかったとは、思えない程に静かな森の中を進んで…そういえば、魔物がいない?月隠れが終わって魔物が再び湧き始めているはずなのに?


「魔物も全くいませんね」


「…エルフの里には魔物よけの結界が貼られていますが、ここは範囲の外のはずです。御者、馬車を止めてください。」


ルドさんはなにか不味いことが起こっていることに気がついた様子で、振り返って御者に馬車を止めるように命令した。


「分かりましたルド様」


御者はそう答え、馬車は直ぐに止まる……かに思われたが止まらない、馬車は速度を落とさずに林道を移動し続けている。


「おい…ッ!?」


そのことを怪訝に思ったルドさんが再び御者にかけたが……代わりに帰ってきたのは白いランスだった!!


「これは!?」


馬車の中心をさし貫くようにして、唐突に現れたランスには、幸いな事に誰も貫かれては……いや、ランスの表面を伝って赤い血が流れているこのちは、御者の物だろう。


ーーーグググッッ!!


硬質な見た目をしているくせに、音を立てながら膨れ上がり始めたそれを見て、当然危機感が湧き上がってくる!ふとルドさんの方を見るとカコさんを捕まえて、一緒に転移する構えだ。自分も転移でこの場から退避を……


転移自特有の光がこの場にいる三人を包んで……しかし、三人を遠方へと飛ばす事なく、霧散してしまった!


「なっ!」


「転移封じ…?」


転移が失敗した事に驚いている間に馬車に突き刺さった白いランスはもはや原型を留めていない程にボコボコと膨れ上がっていて……破裂した!


「『次元収納(インベントリ)』!」


咄嗟に取り出した大盾で、どうにか爆発の衝撃と()()を受け止める事に成功したものの、それでも衝撃がすさまじすぎて馬車が耐え切れず、崩れながら外に置き出されることになった。


「ふっ」


とは言えダメーじは殆ど無い。大盾に付着した何かを振り落として、改めて周囲を見渡した。すると先程までは存在していなかったはずの白いランス……いや、木の根っこが辺りを赤く染め上げていた。


「一応、護衛の彼らはひとり残らずレベル50以上、この世界なら英雄と呼ばれるような強さなんですけどね……」


どうやってかあの爆発から逃れていたらしい、ルドさんが少し悲しそうに顔を歪ませながらそう言った。


「とにかく、これで《創世機》持ちが今回の件に関わって来ているのか確実ですね。ドーンさん、私のそうせいきを取りに行くので、その援護をお願いします。」


そう言ってルドさんは自分達の馬車の後ろを着いてきていた荷馬車…だったものを指さす。ほかの物と同様に白い根っこで貫かれていて、根っこは蠢いている。


「ふぅー…俺が先行します。」


「えぇ、よろしくお願いしますしますね。」


加速(ヘイスト)』を見方全員にかけた後、移動を邪魔させないために『加重(ヘビー)』で白い木の根っこを推し潰そうとしたが……残念ながら、根っこが潰れることは無くピクリとも動かない。威力が向こうの方がかなり上なのだろう。


動きを鈍らせる程度の効果はあると信じて、浮遊武具を先行させながら荷馬車に近付く。すると当然のように根っこが迎撃するために枝分かれを繰り返しながら迫る。浮遊武具に【防御指揮】で攻撃を受け止めさせ、【移動指示】で根っこを押しのけさせる。本来ならとても防げるようなものでは無いし、押しのけられるような差では無いが….スキルの固定値がある。そこに装備の補正を合わせれば、たとえ格上からの攻撃であろうと退ける事が…出来ている!


【攻撃指示】を出してある《鋼牙の大剣機(こうがのたいけんき)》を掴んで、ほかの浮遊武具が押し退けようとしている根っこを、派手に回転斬りで切り飛ばして……道が出来上がった。


「今だ!」


自分が言うや否や、ルドさんは俊敏の身のこなして浮遊武具の間をすり抜けるように跳躍して行く。当然それを阻止するように追加の根っこが飛来したが、ルドさんに追従する様に動いていた自分がこれを防ぎ…ルドさんが壊れた荷馬車にたどり着いた。


「思ったより壊れてしまっていますね……見つけるのに少し時間が…いや。」


ルドさんは壊れた荷馬車の中を見て残念そうに顔を歪めたが、すぐに決意を固めて目当てのものを探し出そうと一歩踏み出した……所で、ふともっと効率のいい手段がある事を思いついたルド。


「ドーンさん、この馬車全部吸収出来ますか?」


「え、出来るとは思いますけど……吸収した物のことは細く分かりませんよ?」


「大丈夫です()()()()()()()()全部吸収しちゃってください。今は何よりも時間が惜しいですから。」


「分かりました。」


ルドがに指示されるままに、壊れた荷馬車に手をかざしてポイントに変換する。壊れた馬車はすべからく青い粒子へと変換されて自分の中に…


ーーードックン!!


大きく、とても大きく、心臓が脈打つ音が聞こえた気がした。しかしてすぐにそれが自らの心臓の音では無い事を悟らされる。


「どうして……それが…ここに?」


顕現したるは超越的力の象徴、或いは具象。神をも容易く平伏させる威光と神々しいまでの神秘的なオーラを放つそれは紛れもない《創世機》……それもこの世界に存在するはずがないゲーム【ファンタズマ】の〈対価の天秤〉だった。

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