愛すべき
「お前たち。よく頑張ったな」ヘイムダルは両手を広げて腰に抱きつくオリアナとエレノアの頭を優しく撫でて、首尾を褒めた。「ジョアンナが壊れたのは惜しいが、替えの女中頭などいくらでも作れる。それよりも、先月お前たちを不死者にしておいて良かった。オリアナ。戦闘においては危機感を忘れないままで臨むことを覚えておきなさい」
「はい、お父様」オリアナが頬ずりしながら頷いた。
姉ばかりに構うと妹がむくれるので右手側も褒めておく。「エレノア。この子の復活を手伝ってあげて偉かったな。瘴気も上手くなったんじゃないか?」
「はい、お父様」エレノアが頬ずりしながら微笑んだ。「でも、私の催眠魔法はあまり効き目がなかったわ」
「癒し手の巫女だ。状態魔法に耐性があっても不思議ではない。それでも魔牛のステーキに含ませた眠り粉とで丸一日意識を奪えたのだ。これで抵抗されずに彼女をヘランハルメ様へ献上できる」
「心配だわ。港町に着く前に起きてしまわないかしら」と、オリアナ。
「大丈夫だ。今から三人で巫女をヤスミンへ運ぶぞ。浮遊魔法なら朝方には彼の許へ馳せ参じることができる」
「お兄様はきちんとお役目を果たせたのかしら」と、エレノア。
「先刻、お師匠様から念話で連絡があった。カイルは見事に生涯を捧げた。私の恩人が信仰する女神様に」そこでヘイムダルは、愛娘たちに訊く。「悲しいかい?」
「いいえ、平気よ。そうよね、リア?」
「ええ、寂しくなんかないわ。ノラ。だって新しい、遊び相手ができたから」
カイル。本当に、本当に良くやった。私はお前を、家族で一番愛していたのだ。
ヘイムダルは双子の娘を伴って、そしてロベリア・シドニィ・ラッセルを宙に浮かばせて、夜空へと屋敷を飛び発った。




