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第27話 友好契約

「東の方がマッドスパイダーの縄張りで、この辺りから先がフェンリルの縄張りのはずだ」

魔王が平然と口にする魔物は国を挙げて何百という兵力を投入して倒すような魔物であるマッドスパイダー。

そして神獣として崇められる事も多いフェンリル・・・。

私とアルバートは見たこともない魔物だ。

どう反応していいのかわからない。

昨日までは家の前の森の延長という感じだったが、今日は明確に山に入った感じで、木々が鬱蒼と繁っている。

そして、昨日よりも斜面が急になってきている。

私は若干息があがっているが、魔王とユリウスは歩いているわけではないので涼しい顔で進む。

時おり魔王が前方に魔法を飛ばしているのは魔物を追い払っているようだ……。

魔王まじ万能!

アルバートは私を気遣いながら、私よりも確かな足どりで山を登っていく。

もうちょっとすればお昼になり、休憩となるだろうと私は朝から無言無心で足を動かし続けていた。

が、先頭の魔王がピタリと止まった。

私は歩く事だけに集中していて気がつかなかったが、何やら不穏な空気を感じる。

鳥の鳴き声がしなくなっていた。

アルバートは剣を抜いて私の前に立った。

私も慌てて剣を抜く。

「何?!」

少し先に進んでいた魔王とユリウスが戻って来た。

「うっかり死んだら困るから今友好契約を結んでおこう」

相変わらずやる気のなさそうな魔王がろくでも無いことを言う。

何かまずい敵がせまってるらしい。

魔王はアルバートに手を差し出した。

アルバートは左手を出した。

魔王が何か詠唱して魔王の右手とアルバートの左手の甲に同じ複雑な紋様が浮かびあがった。

魔物との友好契約……王都にもほとんどテイマーが居ないので私はその紋様をしげしげ眺めた。

アルバートだと格好いいが……かなり目立つ。

女性の手には若干禍々しい。

「それは手じゃないと駄目なの?」

「体のどこでも……スカーレットは服に隠れる背中にするか?」

私は大きく頷いた。

後々契約を解除したら消えるのだと知っていても、目立つ場所にさらして歩きたくない。

ユリウスが私の肩の下、右肩甲骨辺りに手をかざした。

多分詠唱しているのだろうと思っていたら、途中からちゃんと声が聞こえた。

「友好契約だと声が聞こえるの?!」

「念話が出来る場合もあるな」

魔王が面倒くさそうに答える。

「じゃあ最初から友好契約しておけば良かった!」

魔王がさらにすごく嫌そうな顔をする。

「その前に名で縛っていたから、お前はユリウスに隷属契約していたからな」

「えっ?! 隷属契約の方が上なのに話ができないの?!」

『前より心の距離が近いからかも知れないね』

ユリウスの口は動いていないのに、ユリウスの声が聞こえるのだ。

男の人にしては若干高い優しい少年の様な声だ。

私は感動してユリウスの手を握りしめた。

ユリウスは二の腕全体に大きく契約の印がでていた。

白い骨に黒の紋様がびっしりと……。

何だか痛ましい。

「ユリウス。いつもありがとう。私はユリウスにたくさんお礼が言いたかったの」

『うん。僕もスカーレットにたくさんお礼が言いたい。ありがとう』

私とユリウスは両手を繋いでありがとうと言いながらくるくる回った。

そんなことをしていたら、犬の遠吠えが聞こえ、遠くで戦闘している音が聞こえてきた。

「こっちに来るぞ」

魔王が言った。

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