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第24話 キャバリア特使1

(キャバリア特使魔術師視点)


女王の治世はすでに300年を越えた。

魔女である王女は何らかの秘術で時を止めているのだろう。

出会ったときと何ら変化の無い18才の外観のままだ。

女王と同じ年であった私はエルフであるがゆえに長命だが……女王とは違い老いた。

私にはすでに残された時間は少ない。

だから、今回の特使に志願した。


レンセントと言う国は我が国にとってみれば害悪でしかない。

300年の間交流をたっていたのはキャバリアには利が無いからだ。

300年の間に隣にレンセントと言う国ができた。

もともとは小さな少数部族の集落の集まりだったらしい。

恐ろしいスピードで街を形成し、周辺の小国を瞬く間に取り込み大国となった。

だが内情は酷いものだ。

貴族、王族による搾取。

王都を離れれば飢えに苦しむ人々に多くの奴隷。

差別に貧困。

文化レベルもひどい有り様だ。

兵力だけは力を入れていて年中国土を拡げる為に戦争をしていて、国民は疲弊しきっている。

まるで女王が革命を起こす前のキャバリアを見ている様だ。

エルフという長命な種族ゆえに、私はこのキャバリアの300年を知っている。

キャバリアは素晴らしい国だ。

だか、それも女王が居るから保っている砂の上の楽園だ。

女王はキャバリアの筆頭魔術師だったターリア様の長女だった。

私はターリア様の最後の弟子だ。

女王とは年が近かった事もあり、昔から知っている。

女王は魔女の母と魔術師の父をもち、膨大な魔力を持っているが大人しい娘だった。

まさか女王になるなどと誰も思わず、彼女自信もたまに何故こんなことになったのだろうと私に嘆いた。

だが、国を放り出す事はせずに今もあの国を守っている。


キャバリアは最初は明確に鎖国していた訳ではなかった。

だが、外から入国してくるのはレンセントに定住できなくなったならず者が多かった為に、国を荒らされる。

次第にレンセントからの入国を拒む様になった。

そのうちに300年前のボロボロで殺伐としたキャバリアのイメージがレンセント内で定着したのだ。

だから、そのままキャバリアは侵略するのに難しく、そして侵略する価値の無い国であると噂を流し続けた。

今もレンセントのあちこちにキャバリアの人間が配置されている。

そのほとんどは自由に動き回れる商人や冒険者であり、レンセント国民に擬態している。

彼らは女王に忠誠を誓い、キャバリアの為に動く密偵だ。


キャバリアにはレンセントの様なダンジョンも無ければ、魔王城もない。

300年の間、レンセントの誰もキャバリアに価値を見出だす事なく、このままの状態が続くだろうと思っていた。


ところが最近になって突然レンセント王からの手紙を携えてレンセントの特使がキャバリアの港に来たのだ。

外からキャバリアに入国しようと思うと必ず船はミザリーの港につく。

女王が潮の流れを操作していて港の許可証がなければ他の港にたどり着く事がないように操作されている。

つまりミザリーの港は対レンセント用のダミーの港なのだ。

ミザリーには警備の兵しかおらず、殺伐として薄汚れていて、更に魔方陣があちらこちらに描かれ、怪しい護符があちこちに貼られている。

そして時折爆発音や叫び声が木霊する港だ。

おどろおどろしい港の状態に、大概の人間は港に降りる事を拒む。

レンセント王からの特使も一歩も船から降りる事なく、王から女王への手紙を盗賊の様な強面の警備責任者に押し付けて去って行った。

警備責任者はその手紙を見ると、慌てて魔法で王城に飛ばしてきた。

そしてレンセントからの情報を集め、王城で緊急会議が開かれた。

レンセント王からの手紙にはレンセントの貴族で勇者である、アルバート・ロッシーニという男がキャバリアへの入国許可と王都滞在を求めている事が簡素に書かれていただけだ。

レンセント内の情報操作は未だ何の綻びもなく、人々はキャバリアは恐ろしい魔女の国だと誰もが口にする。

何の目的でキャバリアに来るのか?


そして勇者に関して調べさせるとろくでもない話しかでてこない。

当代の散財で没落中の伯爵家。

実力のない名ばかりの勇者。

冷酷で笑う事がなく、容赦のない性格。

義理の妹を虐待の末に殺して庭に埋めたらしい。

そしてキャバリアに行くのは魔女である女王を討伐する為だという。

大きな事ばかり言う小物と言う印象だった。


そこで特使として三人を派遣し、できればキャバリアへの入国を諦めさせる。

駄目ならミザリーの港で追い返す作戦を考えた。

最悪ミザリーで殺してしまってもレンセントはキャバリアに責任追及しないように交渉しておかなければならない。

どうとでもできるように少ない人数でキャバリアに入国するようにと要請した。

レンセントからは2人だと返答があった。

少なくとも勇者のパーティーで来るだろうと思っていたが・・・たった2人だという。

どこまでも予想とは違う動きをする。

レンセント王と話をしても、特に大きな功績を求めている訳でもキャバリアについて何か思う所がある訳でもない。

勇者が女王を害せるとも思っていない様子。

キャバリアで勇者に何かあっても責は問わないが、逆に勇者が何かやってもレンセントは責を追わないと言う始末だ。

キャバリアもなめられているが、レンセントの勇者も捨てゴマの扱いだ。

勇者はキャバリアに来る意味が無いと知れば入国を取り止めるかもしれない。

愚かな勇者の行き当たりばったりの思いつきに、我らは振り回されているらしい。

特使の三人はそう結論づけた。

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