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第23話 旅立ち

「アルバート!どうするつもりなの?!」

私は思わず叫んだ。

「このまま魔王城経由でキャバリアに向かう」

アルバートはひどく楽しそうだ。

魔王城に行く途中で森にあるロッシーニ家の山小屋に寄った。

旅の準備は事前に終えて、すべてここに運び込んでいた。

「荷物を事前に用意したのはこの為なの?」

私は呆然とアルバートを見る。

「エリーゼとお継母さまはどうなるの?」

「エリーゼは男爵家の嫁ですでにロッシーニとは関係がない。母も公爵家で割りとうまくやっている。屋敷の方も屋敷を維持する人間以外は当月末で暇をだした。俺たちはキャバリアでうまく立ち回れればレンセントに戻ってもいいし、駄目なら他の国に行ってもいい」

アルバートは最初からこうする予定だったらしい。

私は呆然としたが、アルバートに急かされた。

「王や特使に止められる前にレンセントをでるぞ」

私とアルバートは山小屋で動きにくい貴族服から騎士団服に着替え、愛剣を帯剣した。

荷物は全てアルバートのマジックバックに放り込む。

勇者は国からマジックバックを支給されている。

マジックバックのおかげで、私とアルバートはほとんど手ぶらだ。

そして馬を放して徒歩で魔王城に向かう。

馬は行き慣れたうちの山小屋からなら、ロッシーニの厩舎に自ら戻るだろう。

そして、魔王とユリウスを連れて魔王城から山に向かう。

例の山は魔王城の後方に位置している。

つまり、城をでてそのままうちの前の森、魔王城、山と移動したのだ。

ある程度進んだところで夜営する事にした。

ユリウスが食事の用意をするのを私は手伝う。

「ユリウスは王子なのに何でもできるのね!」

私は感心した。

アルバートはテントを張っていて、魔王はそれを見ている。

夕食はスープとパンと焼いた肉。

夜営にしては豪勢だ。

「それで魔女が評判どおりではないってどういうこと?」

私はアルバートに聞いた。

「特使を見てもかなり女王に忠誠心がある。振る舞いもまともだ。着ていた服のデザインも素材もレンセントよりも良かった。ユリウスの話から悪政を行っていたのは元々の王家で、今は良政だと予想した。だから長く女王の治世が続いている。レンセントに気がつかれると侵略の恐れがある程に豊かな国なんだろう」

「特使は一緒に旅をする間に俺達をどうにかする予定だったんだ。俺が内情を知っている以上キャバリアは許可証を出して、キャバリア側に俺を引き込むか始末するかしか道がない。今ごろ何も知らないレンセント国王と腹の探りあいをして、情報収集に飛び回っているだろう。国王と特使は俺とスカーレットの身柄を確保しようとするだろうし、まさか本当に山を越えるとは思わない。あの剣士辺りは海路で俺達を探しながらキャバリアに戻ろうとしているかもしれない」

アルバートはすごく楽しそうに説明する。

「キャバリアに行ったら命を狙われるということじゃない!?」

私は叫んだ。

「キャバリアがどんな状態でもそれは最初から変わらない」

確かにアルバートはキャバリアで死んでもかまわないと言ったが、私はそんなに大層な話だとは思っても居なかった。

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