圧倒
相変わらず長くかけない
圧倒
魔方陣より顕現した王の力は圧倒的だった。騎士の攻撃でも一発で飛ぶことのない亜人の首が腕の一振りで粉々に吹き飛んでいく。
「すごい・・・」
「俺たちは助かったのか?」
と村の人々は口々に安堵の声を口にしたが、
魔術師として優秀な父は違った。
「エルミラ。強制顕現は見事だったが。あれは後どのくらい持つ?」
そう顕現に使った魔方陣は汎用性の高い高度魔方陣。王のような上位魔法体の顕現には通常正規の専用魔方陣がある。今回はその構築をする暇がなかったので強制的に顕現させたのだ。つまり、非常に不安定な顕現であるため長時間の現界は不可能なのだ。
「精々後三分といったところでしょう」
「なら次の手を打て。その間の時間稼ぎぐらいはできるさ」
そういうと父は地面に手際よく魔方陣を書いていった。そしてその魔方陣から氷の壁ができて亜人の行く手を遮った。
「今のうちだエルミラ!!」
エルミラは次の呪文を唱え始めた。
「世界の果ての終わりを紡ぐ、敗者の詩に心を惹かれ、現の光は今はなく。世界は闇に包まれる。我が行く手を阻むもの、我が理に仇なすもの、汝が先に当てはなく、現に縛られ死に逝くのみ」
亜人の足元に大規模の特殊用途魔方陣が展開される。
「ならば我は汝らを現の世から救済せん」
魔方陣が光り始め亜人たちは慌てるが氷に先を塞がれて逃げることはできない。
「冥府の鎖『第十三連番我、黄泉へ誘う者』」
突如出てきた漆黒の鎖に絡めとられ一匹残らず魔方陣へ引きずり込まれていった。
かつての大魔術師の片鱗をみせる圧倒的な強さのその中に少女は猟奇的な美しさを醸し出していた。




