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『転生タコチュウチュウ♡』  作者: 亜呂真ほのか


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12/25

【第12話】新たなる限界乳母の溺愛! 〜私の腕は酢味噌で食べると美味しいらしい〜

【オクタビア様の家系図】

【父方:ポセイドン側】

祖父(おじいさま):クロノス

言わずと知れたティターン神族(しんぞく)の王。ゼウスやポセイドンたちの父です。

神話では「自分の子供を飲み込む」という恐ろしい逸話を持つ巨神ですが、本作では「孫娘のあまりの可愛さに、飲み込んだものを全部吐き出してデレデレになる」という、究極の孫馬鹿(まごばか)としての顔を見せてくれるかもしれません。

祖母(おばあさま):レア

クロノスの妻であり、大地の女神。子供たちを夫から守り抜いた強い母親という側面を持ちます。

孫のオクタビア様に対しても、最強の「おばあちゃん」として、リコたち近衛賢母隊(このえけんぼたい)を凌駕するほどの溺愛を見せてくれることでしょう。

【母方:アムピトリーテー側】

祖父(おじいさま):ネーレウス

アムピトリーテー様の父。予言の力を持ち、変幻自在に姿を変えることができる、穏やかで賢い「海の老人(海神)」です。

海の知恵袋的な存在であり、孫娘のために未来予知を駆使して「先回りして最高級の貢ぎ物を持ってくる」ような、知的な孫馬鹿(まごばか)ぶりが期待されます。

祖母(おばあさま):ドーリス

ネーレウスの妻であり、大洋神(オケアノス)の娘。

彼女たちの間にはアムピトリーテー様を含む五十人の人魚「ネレイデス(うみのむすめたち)」が生まれています。

つまり、オクタビア様には**「四十九人の美しい叔母さん(人魚)」**がいることになります。神殿の賑やかさは、もはや避けられない運命です。

【家系の要約】

オクタビア様は、まさに神域のサラブレッドです。

• ポセイドン側: 破壊的で情熱的な「神の力」

• アムピトリーテー側: 穏やかで知的な「海の慈愛」

この二つの頂点の血を引く、唯一無二の「愛の女神」がどのような運命を辿るのか。

いよいよ始まる祖父祖母(じじばば)連合との対峙にご注目ください!

「あー、オクタビア様成分、補給(ほきゅう)しました!」

そう言いながら、リコはまた私に頬擦(ほおず)りしてくる。

「さあオクタビア様、少し窮屈(きゅうくつ)ですが、ご辛抱(しんぼう)してくださいね」

リコはそう言って、自分のローブのような服の胸元(むなもと)を開けると、私をその中にふんわりと包み込んだ。顔までがすっぽりと覆われてしまう。

『外は見えないけれど、リコの体温が直に伝わってきて……あー、優しさに包まれるー。なんだか、すごく落ち着くわー』

服越しに、リコの手のひらによる規則正しいリズム――お尻トントンが優しく伝わってくる。

『あーもうだめ、抗えない……。この赤ちゃんの体が、ついに(ねむ)りに負ける……』

次に意識が覚醒(かくせい)した時には、私は誰かに抱っこされた状態でお乳を飲んでいた。私の大人の精神(せいしん)がハッとして、周りの状況を確認する。

『うん、あの最初の悪趣味(あくしゅみ)な黄金の部屋だ』

『リコ? え!? リコじゃない。あなたはだーれ? どなたですかー?』

そう問いかけつつも、お乳は離さない。相当お腹が空いていたのか、喉がゴキュ、ゴキュと鳴る。両手をしっかりと添えて、無我夢中で飲んでいる私。

『誰だろう。この美味しいお乳を飲ませてくれてる人』

じーっと、その女性の顔を下から見る。

そしてお腹がいっぱいになって、お乳から口を離す。

「さあオクタビア様、ゲップをしましょうね。上手にできますかねー」

女性はお乳をしまい、そう言って肩に私の頭を乗せると、背中をトントンと叩き始めた。

『あーゲップね! あー出る!』

げぶっ!

「おー、オクタビア様、上手に出ましたねー!」

そう言って、今度はお姫様抱っこの体勢(たいせい)にされた。そして私の顔から体全体を、舐めるように見てくる。

「あぁ、オクタビア様ー!」

『めっちゃ嫌な予感がする』

その女性は私のお腹あたりに顔を埋めて、スーハーと深く息を吸い込みながら「グリグリグリー!」と顔でくすぐってきた。

『ちょ、くすぐったーーい!』

「キャッキャ!」

大人の意識とは裏腹に、赤ちゃんの生理的な反応で、たまらず笑い声が漏れてしまう。

それを見て、女性はまた「グリグリグリー!」と顔を私のお腹に押し当てて振動(しんどう)させる。

「オクタビア様ー! ほら! グリグリグリ!」

「キャッキャ!」

『あー、リコと違って、あなたはダイナミックなそっち派なのね』

私はくすぐられすぎて息ができない状態(じょうたい)でありながら、冷静にそんな事を考えていた。

しかし甘かった。今度は猛烈な頬擦(ほおず)りを始める。

『確信めいた嫌な予感……これはくる……』

そして始まる、恐怖のほっぺた吸引(きゅういん)。しかもリコより力が強い。

『いたたた! いたた! ちょちょ、伸びる伸びる! ほっぺた伸びちゃうよー!』

私を散々いじり倒し、そのシャチの人魚女性は満足したのか、最後にまた優しく私に頬擦(ほおず)りをした。

ようやく解放された私は、赤ちゃん用の、包み込むような柔らかいベッドに寝かされる。天蓋(てんがい)のある豪華(ごうか)なベッドだ。

『いまだにここがどこなのか、なぜリコじゃなくこの女性なのか、わからない』

その女性は、私が落ちないように少し高くなっているベッドの(ふち)に手をかけて座るような仕草をした。

『足がシャチだから「座ってる」って言い方で良いのかわからないけど……』

とにかく、彼女は私と目線を合わせて、優しく見つめている。

その満面の笑顔から、私の事が心から大好きだという想いがひしひしと感じられる。

『うーん。よく考えたらこの人、ずっと前から知っているような気がしてきた』

魂の奥底に残っている、この包み込まれるような深い安心感。

『うん、私もこの女性の事が大好きだ』

多分、ずっとこうやって私の世話(せわ)をしてきてくれている女性なんだろうなと、私は思った。

「あー、ルルルルー。海の創造神(そうぞうしん)様と、海の女神(めがみ)様が恋をしたー。ルールールー」

「光の愛の御霊(みたま)が、私たちに愛を教えてくれるー。ルルルルー。ああー、オクタビア様ー。ルルルルー。愛の女神、オクタビア様ー、ルルルルルルー」

『えー! 何その歌!』

至近距離で自分のことを大絶賛する謎の歌を聞かされ、猛烈な羞恥心(しゅうちしん)がこみ上げてくる。

『恥ずかしくて、逆に目が覚めて来たよー! 誰なんだろー? 名前なんなんだろう?』

そう思いながら、私は小さな手を女性の顔に向けて伸ばした。

「あーうー」

『誰ですかー?』

女性が、私の伸ばした手に顔を近づける。そして、手と腕にある赤ちゃん特有の段差(だんさ)……あの『ちぎりパン』のようなムチムチの段差(だんさ)を、指でポニポニと押してきた。

掴んだと思ったら、なんと、私の手をそのまま口の中へ!

『えーー! 手食べられたんだけど!』

あむ、あむと、ベタベタにならないように優しく甘噛(あまが)みしているみたいだ。

「あー、オクタビア様ー! この手、湯掻(ゆが)いて酢味噌(すみそ)で食べたら、美味しそうですねー!」

ニコニコしながら、とんでもなく怖い冗談(じょうだん)を言ってくる。

しかし私は、自分のその白くぷにぷにした小さな手を見てしまう。

『確かに、湯掻(ゆが)いて細く(きざ)んだら、軟骨(なんこつ)が柔らかくて周りのお肉がほろほろっと崩れるかも……』

などと、妙に納得(なっとく)してしまうのだった。それほど、私の手は白くぷにぷにで、小さく、自分で言うのもなんだけど、可愛かった。

『あーそういえば、タコも酢味噌(すみそ)で食べると美味しかったな』

そんな前世の記憶とリンクした斜め上の思考を巡らせていると、女性はまたトントンと胸を優しく叩いて、私を心地よい(ねむ)りに(みちび)いてくれるのだった。

まどろみの中で、私はふと考える。

『シャチの人魚たちはよく甘噛(あまが)みをしてくるけれど、あれがこの人たちの愛情表現(あいじょうひょうげん)の一つなのかもしれないなぁ』

そういえば、リコなんか、口元だけシャチの姿に戻して私の頭を甘噛(あまが)みしてくる。普通なら食べられそうで怖いはずなのに、そこに込められた不器用な愛情が伝わってくるから、なんだか可笑しい。

「ふふふっ」

私は少しおかしくなって、思わず笑ってしまった。

そして、今度こそ心地よい(ねむ)りへと落ちていった。


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