第7章 06
今日は生徒会の仕事を終えたので、訓練場へ向かうことにした。攻略キャラに遭遇する可能性が高いし、生徒会に確認したところ、アルジャーも今日は訓練場にいるとのことだった。殿下とデュークは会長と話し合う用事があり、いつもより遅くなるらしいので、今回は期待を裏切らないだろうと思った。
リリスについては、知り合ってまだ日が浅いので、今のところ何を企んでいるのかは分からない。今はただ見守るしかない。
訓練場は予想以上に人が多かった。
訓練場に着くと、様々な練習場があり、多くの生徒がスパーリングをしたり、自主トレーニングをしたり、走ったりしていた。馬小屋付きの乗馬場まであり、いつでも乗馬できる。入学すれば自分の馬を学校に連れてくることもできるそうで、とても便利だ。
子供の頃に練習に使っていた馬は、今は家に置いてある。年老いた馬なので、急な環境の変化が影響するかもしれないと思い、無理はさせません。必要であれば、代わりの馬を探すか、ここから借りるつもりです。いずれにしても、定期的に走らせる必要があります。
アルジャーはどこだ?
周りを見回して探した。彼は私より先に出発したはずだ。もうここにいるはずだ。
鮮やかな赤い髪…鮮やかな赤い髪…見つけた!
私は彼らから少し距離を置き、戦いを観察しながらリリスを探した。
アルジャーはクラスメイトと激しい戦いを繰り広げており、周囲には大勢の観衆がいた。アルジャーが優勢で、相手は息を切らしながら容赦なく攻撃を仕掛けてくるが、アルジャーは難なく攻撃をかわしていた。まるで相手に特別な訓練をしているかのようだった。
…それほど驚くことではない。
ゲームの中で、彼が本当に苦戦する相手は、殿下だけだ。
私は再び周りを見回し、リリスを探した。彼女とアルジャーにまつわる出来事の一つをぼんやりと覚えているが、それは訓練場付近で起こった。学校に不慣れなリリスは迷子になり、訓練場に迷い込んでしまったのだ……
あたりを見回したが、リリスの姿は見当たらない。
私はアルジャーの方を振り返った。彼の対戦相手は、攻撃がなかなか当たらない苛立ちから、必死の攻撃として炎の魔法を放った。アルジャーは既に戦闘態勢に入っていたが、対戦相手は魔法の制御を誤り、わずかな炎が噴き出しただけだった。
「あれは何だ!」
「あぁー!」
「助けて!」
集まってきた生徒たちは走り回り、叫び声を上げていた。叫びながら私の横を走り抜ける者もいれば、魔法で炎を遮る者もいた。現場は混乱状態だった。私は少し離れた場所にいたので、影響を受けなかった。
ふう、びっくりした。
ポケットの中のブレスレットに触れた。
もう少し近づいたら、反応する暇もなかったかもしれない。私は本能的に後ずさりした。
その時、アルジャーが素早く生徒の一人に駆け寄り、炎を遮るのが見えた。
ああ、あそこにいた!
少し離れてはいたが、髪の色と服装から判断すると、リリスに違いない。
いつの間にあそこに現れたんだ?
周りを見渡しても見当たらなかったので、私は困惑した。
私は混乱の中を急いで進み、彼らに近づこうとした。何が起こっているのか見極めようと、歩きながら時折彼らの様子をちらりと見た。
アルジャーが炎を遮った後、彼は振り返って彼女に話しかけ始めた。近くにいなかったので、彼らの会話は聞こえなかった。ゲームの断片が脳裏をよぎった――
〈「あぁっ!」〉
〈突然、炎が私に向かって飛んできた。反応する間もなく、私は悲鳴を上げた。〉
〈助け…助けて!〉
〈恐怖で目を閉じ、声にならない叫び声を上げたが、攻撃される代わりに、目の前から物音が聞こえた。戸惑いながら目を開けると、目の前に鮮やかな赤い髪の男が立っていた。彼の力強く威厳のあるシルエットは、私の記憶に深く刻み込まれた。〉
〈男が突然顔を向けたので、私は彼だと分かった。彼は騎士団長の息子であり、王子の狂犬のような存在、アルジャー・ロバーツだった。〉
〈「君の名前はリリスだよね? 巻き込んでしまって申し訳ない。」〉
〈「いえ…いえ、大丈夫です。」〉
〈「あ…えっと…その…えっと。」〉
〈「はい?」〉
〈「とにかく、相手が殿下ならこんなことにはならなかったのに! 残念ながら、殿下は今日はご多忙なんです!」〉
〈「えっ?」〉
結局、アルジャーは終始殿下のことばかり話していた。最初のクールな態度はすっかり消え失せ、リリスとプレイヤーは物語の最後まで困惑させられた。
以前プレイした時も、彼を奇妙な奴だと思っていて、かなり躊躇していた。
…これは本当に残念だ、とてつもなく残念だ! アルジャー!
…時間がある時に、もっと彼にアドバイスしてあげなきゃいけないみたいだ。
アルジャーたちに近づきながら、私はそう思った。
彼は確かに幼い頃から殿下と共に育ち、読書会だった頃はほとんどいつも一緒だった。学園でも状況は変わらない。英雄王の存在ゆえに殿下を尊敬しているが、私の目にはただの普通の友人同士に見える。
子供の頃の私に対する彼の反応からすると、彼は他の人にはとても率直だ。なのに、なぜリリスに対してはあんなにためらって、話すことが見つからないのだろう?
それに、彼と長い付き合いになり、彼の性格をよく知るようになった今、ゲームの中でのリリスに対する彼の反応が、どうもおかしい気がする。
…もしかして、彼女が主人公だから違うのだろうか?それとも、一目惚れだったのだろうか?
ゲーム中、アルジャーはリリスと遭遇するたびに、彼女と話すことができず、ひたすら殿下について語り続ける。まるで並行会話のようで、ロマンチックな雰囲気は一切感じられない。殿下との最後の戦いの後になってようやく、かすかなロマンチックな雰囲気が漂い始める。これが、プレイヤーのアルジャーに対する好感度が低い理由である。
疑念に苛まれながらも、ようやくかすかな声が聞こえるほど近くまでたどり着き、物陰に隠れて覗き込んだ。
二人はまだ話していたが、アルジャーが半ばしゃがみ込み、リリスと目線を合わせて話しているのに気づいた。
なんと――アルジャーは私の頼みを本当に聞いてくれたのだ!
感動で涙がこぼれそうになった…と思いきや、実際には涙は出なかった。
…でも、どうして後で私に同じことをしてくれなかったんだろう?
…後で文句を言ってやらなきゃ。なんて意地悪なの。
少し悔しい気持ちになりながら、ゲームとは少し違う二人の様子を観察し続けた。
「あ…あ…ここで彼を注意しておきます。それから殿下にも報告しておきます。殿下ならきっと解決策を見つけてくれるでしょう。殿下はとても賢い方ですから。」
…まさか殿下のことを口にするなんて
衝撃を受け、同時に強い残念に襲われた。
…申し訳ありません、この子は根はいい子で、行儀も良い子です。どうか嫌わないでください。
なぜか母親のような気持ちになって、リリスに我が子を熱心に紹介したくなる…心の中でちょっとした葛藤が繰り広げられている。
「…」リリスは黙って頷いた。
何か良いことを言ってください!
「殿下はこのようなことで決して怠慢なことはなさるはずがありません……ハハハ。」
「……」リリスが黙って頷き続けるのを見て。
あ…申し訳ありません。お嬢様があまりにも美しかったので、この子は妙に上の空になってしまいました。どうかお許しください…
アルジャーは頭を掻きながら、「ええと…とにかく、申し訳ありませんでした。無事でよかった。」と言った。
「はい…はい、ありがとうございます!」
その後、リリスは感謝の意を込めて彼に頭を下げ、アルジャーに別れを告げた。
…
どうやらこのブラインドデートは失敗に終わったみたい… 大丈夫よ、いい子、また今度があるわ… 次はもっといいはず。
心の中の独り言はそこで終わった。
なんてがっかり… アルジャー… 本当にがっかり!
彼の母親と同じくらい気まずい気分だわ。
はぁ… 行ってみよう。
リリスが徐々に遠ざかっていくのを見て、私は木の陰から出て、アルジャーに抗議しようとした。
しかし、アルジャーは私よりも早く振り返り、「おう、レティシア、大丈夫か?」と言った。
えっ!バレた?
驚いたものの、私は黙って彼の方へ歩み寄った。
「大丈夫そうだったので、行かなかった。」
そう言いながら、私は歩み寄った。
「ああ、そうだったんですね。」
アルジャーのそばまで行き、私は背伸びをして年上の彼の顔を見上げ、尋ねた。
「アルジャー、どうして前みたいに私に優しくしてくれないの?」
アルジャーは少し間を置いて、「え?優しく?」と答えた。
「ペテルさんと話していた時は、ほとんどしゃがみ込んでいたじゃないか?」
「あ…うん、はは、すごく優しくしたよ。」
アルジャーは頭を掻き、少し顔を赤らめた。少し恥ずかしそうだった。
…この子、まさかリリスに片思いしてるの?
それに、彼はまだ私の方にしゃがんでくれなくて、私は少し悲しくなった。
…ママ、私、すごく悲しい。
…本当に、自分の気分に浸りすぎて、大事なことを忘れてた!
彼から情報を聞き出そうと試みた。
「なんだかいつもと違うね、ちょっと変だよ。」
アルジャーはどもりながら、「あ…えっと、いや、何も変わってないよ。」と答えた。
彼を見つめながら、私はさらに踏み込んだ。
「…もしかして…?」
私が言い終わる前に、アルジャーは遮った。
「そんなはずない!ハハハ、考えすぎだ!」
アルジャーは笑い続け、ますます疑わしくなってきた。
もしアルジャーが本当にリリスを好きなら、私が彼を止める理由はない…
「もし恋愛で何か悩み事があったら、遠慮なく相談してね。」
アルジャーはさらに慌てて、「えっ!?何言ってるんだ!そんなこと…ありえない…」と答えた。
今度は私が遮った。「長年の付き合いなんだから、遠慮しないで、さあ!」
どうぞ、恋愛の達人に相談してください!
様々な恋愛小説から得た知識があれば、きっと対処できるはず!それに、なぜか母性本能が湧き上がってきて、私も自分の子供が幸せになるのを見たい!
必死に反論するアルジャーを見ながら、私は心の中で思った。




