第7章 05
「今お見せした動作を繰り返し練習してください。次の動作は後ほど教えます。」
手に水が集まり、徐々に水の球体へと変化していくのを眺める。
集めた水を手に持ち、数分後に放して再び集める、これを何度か繰り返す。
…なんて簡単なんだ。
アンナの以前の指導のおかげで、基礎は特に問題なく習得できた。今回の授業は基礎から始まるので、先生のペースに合わせて進めていく。まるで復習のようだった。
練習しながら、周りの生徒たちをちらりと見た。彼らの進捗状況は明らかに異なっていた。私のように楽しそうにおしゃべりしている生徒もいれば、苦戦していて先生が手厚い指導をしている生徒もいた。特に混乱している様子はなかったが、レベルの差は歴然としていた。
実技魔法の授業は合同クラスだったので、先生の説明が終わると、皆知り合い同士で集まって魔法の練習を始めた。私たちのグループも、当然ながら何人かの知り合いで構成されていた。
「つまらないな。」
向かいに座るアルジャーはあくびをしながら私と同じ動作を繰り返していたが、彼の渦巻きを集める速度は私よりも速かった。彼の渦巻きは次々と現れては消えていく。
こいつ!
負けを認めたくなかったので、私も自分の渦巻きを集め始め、静かに速度を上げた。
「効率が悪いな。」
隣の王子も同じ動作を繰り返していたが、アルジャーとは違い、速度は私とほぼ同じだったものの、彼の渦巻きは非常に密度が高く、実体があるように見えた。
……当たったら痛いだろうな。やはり腹黒い王子だ。
私は心の中でツッコミしながら、自分の元素球の密度を調整した。
「……」
デュークもまた、ぼんやりしているかのように、一言も発さずに水の球を繰り返し集めていた。
「兄さん、声を小さくして。」
アイリーンはアルジャーにそっと声をかけた。アルジャーは炎をしばらく維持してから消した。まるで炎の耐久性を練習しているかのようだった。
「今年の校長先生は本当にやる気満々ですね。」
「まあ、所詮は代理校長ですからね。うまくやれなければ、必ず批判されるでしょう。」
後ろの席にいた補助教員たちは、校長先生が生徒たちを手伝っているのを見て、おしゃべりをしていた。
……後ろの先生方、手伝いましょう!
実技魔法の授業は校長先生が担当していて、合同授業だったので補助教員も何人かいた。
校長先生が熱心に生徒たちを指導し、今度はリリスにまで指導しているのを見て、私は驚き、実習中もこっそりと様子を伺っていた。
二人のやり取りはごく普通で、まるで普通の先生と生徒が雑談しているようだった。会話の後、リリスは校長先生の指示に従って魔法を唱えようとしたのだろうが、残念ながら魔法は長くは続かず、すぐに消えてしまった。
ゲーム中のリリスの魔法は、実は下級貴族レベル。そのため、ゲームでは彼女が熱心に練習する場面や、恋愛対象キャラクターたちが彼女の努力に感動し励む場面が描かれています。
…というのも、恋愛対象キャラクターたちの魔法力はどれも一流で、ほとんど苦労せずに魔法を使えるからです。リリスの努力する姿は、彼らにとって新鮮で、心を動かされるのでしょう。
そんな時、校長先生がリリスが魔法を唱えるのに苦労しているのを見て、手を差し伸べます。優しくリリスの手を握り、安心させるように声をかけると、リリスは励まされ、魔法を成功させます。
ああ、この場面は…
〈「先生…」〉
〈「リリス、心を落ち着けて、自然のすべてをありのままに感じてごらん。何も恐れることはないよ。」〉
ゲーム中のこの場面を思い出します。校長先生とリリスが初めて親密に出会い、親しくなる、とても心温まるシーンです。そして、心温まるCG画像がここにあります。
ゲームの中の状況は、まるで二人だけのプライベートな世界で、誰にも邪魔されずに過ごしているようだった。
この予想外の定番シーンに、私の乙女ゲーム魂が再燃した。
間近で見られないのが本当に残念!
…とはいえ、現実的に考えると、みんなの前でこんなことをするのは少々不適切だ。
はっきり言って、魔法を使うのに身体的な接触は必要ない!先生、これは明らかなセクハラです!
要するに、これはすべて想像上の話だ。リリスの前でもう一度魔法を披露するだけで十分だろう。
それに、校長の正体を知っている以上、これは明らかに意図的なものだ。
そう考えると、全く心が温まるような気分にはならない。
今は、二人のやり取りをちらりと見ることしかできない。リリスがついに魔法を成功させたので、校長は魅力的な笑みを浮かべている。一方、リリスは状況に戸惑いながらも、少し照れている。そして、二人は言葉を交わし、微笑み合う。もしかしたらこれだったのかも…
〈「使う魔法は、その人の性格を表す。リリスの魔法には、心を温める力がある。大切にしなさい。」〉
〈「はい、先生…」〉
彼らがこのことを話していたかどうかは分からないが、リリスの魔法は、特に強力ではないものの、光魔法の成功率が非常に高い。
光魔法…試してみよう。
手に持った旋風を消し、光の球が集まる様子をイメージしてみた。
初めてなので少し遅かったが、それでもちゃんと集まった。
ふむ、特に問題はない。
さすが悪役令嬢。
「どうしたん、レティシア?急にこれを使うなんて。」アルジャーが尋ねた。
「ええと…無意識のうちに、この属性は使ったことがないと思ったので、試してみようと思ったんです。」
目の前の光の玉を見つめながら、昼間に使われているためそれほど眩しくないことに気づいた。
「光魔法……その用途はかなり限られているな。」
殿下も光魔法を使い、いとも簡単に姿を現した。
「…しかし、それは欠かせない中和魔法だ」とデュークは言った。
私は光の玉を見つめ、考えにふけった。
この世界における光魔法は、薬の調合に使う中和剤のようなもので、将来教えられる混合魔法には欠かせない要素だ。他の魔法に組み込むことができ、様々な形をとるが、最も一般的なのは水と混ぜた治癒魔法だ。
しかし、主に補助魔法であるため、強力な光魔法はあまり役に立たない。
前世で一般的に理解されていた浄化魔法は、この世界では全く役に立たない。浄化すべき悪魔や魔物が存在しないからだ。
私は光の玉に風と水の要素を少し混ぜると、次第に稲妻が走り始めた。
「おお、よくもまあ使えたな。なかなかやるじゃないか。」
アルジャーは私が使った小さな稲妻を見て褒めてくれた後、自分も試してみた。他の者たちもそれに倣うと、騒ぎはどんどん大きくなっていった。
「…君たち、本当に速いな。」
やはり登場人物らしい、高い能力だ。あっという間に作り上げてしまった。
「まあ、他にやることもないですからね」とアイリーンは微笑んで答えた。
私はリリスのグループを振り返った。校長は既に去っていたが、ジーンが彼女の隣にいて、二人は一緒に練習していた。
二人の仲睦まじい様子を見て、私は先ほど殿下の忠告を思い出した。
…どうか、それが現実になりませんように。
私は心の中で祈った。




