第7章 01
「意外にも、かなり衝撃的な女性だったね。」
「あう、でもなぜか、彼女を見るといつも母を思い出してしまう。本当に不思議。」
「アル、ペテルさんに失礼ですよ。」
…え?君たち、仲良くなったの?
殿下とアルジャーはリリスについて話していたのですが、彼らのクラスで起こっただったので、詳しいことはよく分かりませんでした。
今朝、偶然また会ったので一緒に登校したのですが、その途中で急にリリスの話になったんです。
リリスが彼らと出会ってから数日経ちましたが、どうやら二人は仲良くなったようです。特に殿下とアルジャーは。私たちのクラスである2組のデュークとアイリーンは、あまり変わっていません。
…おかしくないですか?
ゲームを振り返ってみると、リリスが放課後教室に残ることを選択した場合、彼女は殿下とアルジャーに遭遇し、少し言葉を交わすことになる。殿下に遭遇する確率は高く、アルジャーは訓練場や西校舎周辺、生徒会館の外周に時折姿を現す。放課後教室に残っていれば、こうした事態は起こりやすかった。
二人の会話を聞きながら、私は考えた。
…様子を見るために声をかけてみるべきだろうか?
私からすれば、問題はないはずだ…。
ただ、少し気まずい。
それに、まだ数日しか経っていない。あまり心配しすぎるのはおかしい。
普通の恋人同士は、こういう状況にどう対処するのだろうか?
恋人同士ではないけと…
私は軽い口調で、「ペテルさんというのは、ヒルダ会長が誘うしたいと言っていた方ですよね?」と尋ねてみた。
彼女とのやり取りをじっくり考えてみると、それが唯一の例だ。
私の質問を聞いて、彼らは立ち止まり、振り返った。
「あう、会長が言っていた一人。」
「レティシア嬢、前回転んだ方です。」
彼らは何気なく答えた。
「なるほど。」私は頷いた。
彼らの表情はほとんど変わらなかったので、私は自然に話を続けた。
「お話からすると、彼女のことをよくご存知のようですね。彼女のことをどう思われますか?…生徒会役員候補として?」
「問題ない。」
「勇気に関しては、問題ないでしょう。」殿下は何度か笑った。
リリスは授業中に何か彼らを感心させるようなことをしたのだろうか?
私はためらいがちに「えっ、そうなんですか?」と尋ねた。
「しかし、専門としての観点から言えば、実際にやってみなければ確かなことは分からない」と殿下は答えた。
私は彼の表情を観察した。いつもと変わらないように見えたので、少し気まずくなった。
私は不安を感じた。まるで被害妄想に取り憑かれているような気がした。
「殿下のクラスはなかなか賑やかなようですね。」
「まあ、そうでもないけど、目を引く生徒も何人かいるわね。」
「あう、リリスもその一人。」アルジャーは微笑みながら付け加えた。
「レティシア嬢のクラスにも一人いますよね?」
「ええ、でも特に目立つほどではないわね。」
ここ数日ジーンを観察している限り、他の生徒と何ら変わりなく、特に変わったことはしていない。唯一変わったのは、授業が終わると跡形もなく姿を消してしまうことだ。
ゲームでは、リリスは廊下でヴィトとよく出くわしていたはずだから、この校舎でもヴィトに会うのは簡単だろう。
……一体どうなっているんの?
これらの疑問を抱き、生徒会の仕事を終えた後、今日の授業後に彼らの動向を追ってみることにした。
「先ほど申し上げた2種類の薬草をすりつぶし、黒板に書かれた重さに合わせて計量し、順番に鍋に入れて、濃い緑色になるまでかき混ぜてください。」
モリス先生の指示と実演に従って、私は割り当てられた2種類の薬草をすりつぶし、秤で重さを量り、重さを確認してから、中和剤の入った鍋に入れてかき混ぜました。
今日の授業は、薬作りの入門実習でした。実習室に入るのは、私たちのクラスにとって初めてのことでした。教室の中には、薬作りの道具がすべてきちんと並べられていました。入ってきた生徒たちの顔には、初めての体験への期待が溢れていました。
私は魔女です!
鍋の中の中和剤が、最初は薄い青色だったのが、かき混ぜるうちに徐々に薄い緑色に変わっていくのを眺めていました。
色が変わっていくのを見て、私の心は喜びでいっぱいになりました。
小さな鍋をかき混ぜながら、私は現状に驚嘆した。
「…何かお手伝いしましょうか?」デュークが突然振り向いて尋ねてきた。
ああ、きっと私が苦戦していると思って手伝ってくれたんだろう。
小さな一体型の鍋だったので片手で簡単にかき混ぜられたのだが、魔女といえば一般的に大きな鍋を連想する。魔女気分を味わいたくて両手でかき混ぜてしまったのだ。
はは……ごめんなさい。
私は慌てて「いえ……大丈夫です、もうすぐ終わります、ありがとう、デュークさん」と言った。
「……」
デュークは私の鍋を一瞥して頷くと、手際よくかき混ぜた薬液を瓶に注ぎ、蓋をして、あっという間に回復薬を作った。
デュークにとってはまるで苦もなく、とても熟練しているように見えた。
ゲームの中では、リリスとデュークは別のクラスだったので、このことは話題にならなかった。
他のクラスメイトを見ると、デュークほど手際よくかき混ぜておらず、まだ作業を続けていた。
ジーンは私の向かいにいて、背を向けて隣の席のクラスメートと話しているようだった。手がまだ動いている様子からすると、まだ作業は終わっていないようだった。
隣のアイリーンも同じで、まだ液体を計量していた。何度か見回してから、ようやくかき混ぜ始めた。繊細な動きなのに、どこかぎこちない様子だった。
…もしかしたら、アイリーンが手伝うべきなのかもしれない。
私は片手に持ち替えてかき混ぜ続けながら、「デュークさん、これ、経験ある?」と尋ねた。
「…ああ。」
デュークは完成した薬をじっと見つめ、音だけを発して黙り込んだ。
ふむ…相変わらず簡潔すぎる。また聞かないといけないのかな?少し躊躇していると、デュークが突然言った。
「…レティシアさん。」
「え?」
「…以前と同じように…どうぞ学校生活を楽しんでください。」
「どういう意味?」
「…楽しんでください。」
デュークの言葉が理解できる前に、先生が突然近づいてきてこう言った。
「フォンスさんは本当に理解が早いですね。フォンスさんの能力を考えると、もっと宿題を出した方がいいかもしれませんね。」
「…先生、大丈夫です。他の生徒の手伝いをします。」
「はは…フォンスさん、申し訳ない。君に迷惑をかけてしまうね。部活動の時間にまた来て、指導と準備をするよ。」
「…わかりました。」
先生は申し訳なさそうに話し終えると、私たちの様子を見てから他の生徒たちのところへ歩いて行った。
先生が去っていくのを見送って、私はすぐに尋ねた。
「デュークさんって、こんなに早く部活に入ったの?」
「…ええ、薬草研究部です。」
ああ、まあ、それほど驚くことでもないか。
「早いですね。」
「…うん。」
「レティシアさん、薬はもうすぐ完成です。」
「あ、ありがとうございます。」
私は急いでかき混ぜ棒を抜き、手を離した。
かき混ぜながら彼らの様子を見ていたので、鍋の中の色が濃い緑色に変わっていることに気づかなかった。これ以上かき混ぜると、薬がひどく苦くなるようだった。
隣にあった薬瓶を手に取り、慎重に薬を注ぎ入れ、蓋をした。
成功!初めての薬ができた!
テーブルの上の薬を見て、私は不思議な感情を覚えた。
でも、液体が濃い緑色…飲むのは少し抵抗がある。
…本当に飲めるのだろうか?
作業を終えたので、アイリーンに目をやった。彼女は今、鍋をかき混ぜながら落ち着かない様子だった。声をかけると気が散ってしまうと思ったので、今は邪魔しないでおこうと思った。
もうすぐ終わるからと、デュークが再び尋ねた。
「…それで、レティシアさん?」デュークは先ほどの話題を続けた。
部活…やっぱりまだどの部活にも入ろうと思っていない。
でも、ほとんどの人が部活に入っているし、私が入っていないのは少し変な感じがするから、用意しておいた答えを言った。
「文芸部です。」
どうだ!なかなか芸術っぽいでしょ!
ちょっと得意げな気分になったところで、デュークが尋ねた。
「…そういう部活ってあるのか?」
「…」
「…」
…デュークはもううちの学校の部活について何でも知っているみたいだ。早いな。
「…もしかしたら将来はね。」
すみません、自分でそう言ってしまいました。
急にすごく恥ずかしくなった。
「…うん、部活を作りたいなら、会長に申請しないといけないし、始める前に満たさなきゃいけない条件もあるからね。」
「…わかった。」
あぁ!次はもっとはっきり「入るつもりはない」って言った方が良さそうだ!




