第6章 08
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今朝、マナによる緊急調査の結果、ジーンとリリスが商会を設立し、地元で一定の知名度を獲得し、評判も向上していることが判明した。
まさかこんなことをするとは、想像もしていなかった。
この世界はゲームの世界のようなもので、人々は必ずしもシナリオ通りに行動しないからなのか、それともリリスも転生者であり、世界そのものを改変したからなのか?
不安に駆られながらも、私は解決策を見出せず、リリスの動向をしばらく観察してから判断することにした。
結局のところ、彼女はまだ私に対して何の行動も起こしていないのだから。
……疑心暗鬼になっている。恐ろしい。
しかし、彼女の成績から判断すると、リリスは意図的に高得点を狙っていた可能性が高く、生徒会長でさえも注目している。
…もし本当に生徒会に入るなら、じっくり観察する時間はたっぷりあるわね。
ヒルダ会長はリリスたちを招待する前に、カテラン先輩の件を片付けるつもりみたい。今週中には決めると思うわ。
さて、今日は授業初日――
「危うく見分けがつかなかった!どうした、レティシア?リボンはどこ?リボンがないとあなたらしくない。」
アイリーンと教室に向かう途中、殿下と一行にばったり出くわし、アルジャーがすぐにそう言った。
…アルジャー、この大馬鹿者!
私は冷たい視線を向けた。
「もう大人なんだから、可愛すぎる服は着たくないの。」
やっと母の束縛から解放されたから、今朝アンナにリボンをつけないように頼んだの。アンナはしばらくためらっていたが、同じように説明すると、ついに折れてくれた。
「え?昨日はちゃんと着けてたじゃないか?」アルジャーは困惑した表情を浮かべた。
さっき説明したばかりなのに…!また無視された!
「私の本当の姿はリボンなのか?!」
まるで、以前にも吐いたことをまた吐いているような気分だ。
言葉とは裏腹に、幼い頃からずっと身につけてきたせいか、背中の重みが感じられないのは妙な違和感、一種の不安感だった。
軽く後頭部に触れた。
習慣って本当に恐ろしいものだ…。
思わずため息をついた。
「え?『本当の姿』ってどういう意味?…でも、レティシア、やっぱり着けた方がいいと思い。どうしてアイリーンはレティシアに反対しなかった?」
「どうして?」
彼の言葉には何か裏の意味が込められているように感じた。単に私の真の姿がリボンだということだけを言っているのではないような気がしたので、尋ねてみた。
「兄さん、私も少し違和感はありますが、レティシアさんの気持ちは分かります。男の人って考えすぎですよ。だから、この点に関しては賛成できません。私はレティシアさんの味方です。」
アイリーンは珍しくアルジャーの意見を退けた。
親友は本当に私のことを一番よく理解してくれている!
アルジャーは殿下を一瞥し、ためらいがちに言った。「え…アイリーン、あの…とにかく、もっと自覚を持つべき!」
「…レティシア嬢。」殿下の表情が暗い。
なぜだ!
「…」デュークは考え込むように私を見つめた。
あなたたちまでこんな奇妙な感覚を抱いているなんて、一体どうしたの!?
昨日はスピーチのことで緊張していて、リボンを着けていると勇気が出るような気がして、ずっと着けていたんです。今日は特に何もないので、もちろん解放感を味わいたいんです。
「アル。」
「ああ、あっちへ行く。」
アルジャーはそう言い終えると、くるりと向きを変え、あっという間に走り去り、跡形もなく消えてしまった。
私は呆然として、彼の後ろ姿を見送った。
アイリーンはため息をついた。「…男の人って、本当にこういう些細なことを気にするのね。」
殿下は少し困った様子で言った。「レティシア嬢、そんなに無防備な態度はやめてください…こちらとしては大変困ります。」
困った?困っている?殿下は何を言っているの?
まだ意味が分からない。
えっ!?
やがて、遠くからアンナとアルジャーが現れた。アンナはリボンを手に持っていた。二人が近づくと、アンナはまるで持ち主に何かを返すかのように、素早く器用にリボンを結んでくれた。
えっ!?
あまりにも自然なことだったので、私は驚いてどう反応していいか分からなかった。リボンを結び終えると、アンナは私に微笑みかけ、私たちに一礼してから寮に戻っていった。皆がそれぞれの考えを口々に語り始めた。
「それこそレティシア嬢。」と殿下は微笑みながら言った。
デュークは頷き、「…ええ。」と答えた。
「あう、安心した。」アルジャーは朗らかに笑った。
「…はぁ」アイリーンもまたため息をついた。
一体どういうこと!?どういうわけか、見慣れたリボンがまた私の髪に現れた。
…でも、確かにどこか安心感がこみ上げてきた。
うっ!
その後、私たちはいつものように一緒に教室へ向かった。まるで目に見えない結界に守られているかのように、静かに歩き続けた。私はまだリボンの件が頭から離れず、ここ数日ずっとそのことが気になっていたため、ゲームのオープニングシーンが始まろうとしていることをすっかり忘れていた――
ドスン!
モーセが海を分けた時、一人の女子学生が反応する間もなく転倒し、分かれる道の真ん中に着地したため、一見目立たないその少女に皆の注目が集まった。
あ!
このありきたりで意外なシーンは…!
目の前の光景を見て、ふとあのオープニングシーンを思い出した。多くのプレイヤーが初見で目にするシーンなので、2周目以降はスキップするかどうかを選択できる便利なオプションが表示される。そして私を含め、ほとんどのプレイヤーはスキップを選ぶ。だから、私にとってはどこか遠い記憶になっている。
主人公のリリスは、寝坊してしまい、教室へと駆け込んだ。その途中、彼女は偶然にも誰かにぶつかり、先頭を歩いていた3人のイケメンに発見される。彼女は彼らにとって、身分の低い貴族の娘との初めての出会いとなった。このシーンはゲーム内でかっこいい登場CGとして描かれ、プレイヤーに強い印象を与える。
「どうした?」アルジャーが最初に口を開いた。
「…」デュークは沈黙した。
「…巻き込まれてしまったようだな」殿下は少し困ったような笑みを浮かべながら言った。
おそらく殿下が少女に一番近かったからだろう、彼は自ら手を差し伸べて彼女を助け起こした。
リリスは呆然と彼らを見つめていた。
アルジャーは警戒した表情で近づき、「殿下」と呼びかけた。
あの時、リリスがアルジャーの表情に驚いたのを覚えている。それがプレイヤーとしての私の第一印象だったが、今となっては彼がただ殿下の安全を守っていただけだと理解できた。
「…」
デュークはいつものように無言で、その無表情な顔はリリスにも恐怖を感じさせた。
…無表情と沈黙は確かにプレッシャーを生み出していた。
そんな中、優しい殿下だけがリリスに手を差し伸べた。
「大丈夫よ」と殿下は微笑んだ。
臆病なリリスは手を差し伸べ、殿下に支えられて立ち上がった。
「どうぞお気をつけて」
殿下はリリスを丁寧に立ち上がらせた。身長から判断すると、私と同じくらいの身長で、長く明るい茶色の髪をしており、全体的な容姿は…確かに…ごく普通だった。
わあ…彼女は正真正銘のヒロインだ!
私の心の中の乙女ゲーム魂は興奮で満たされていたが、その一方で、不快な感情も同時に湧き上がっていた。
相反する二つの感情が私の心の中で渦巻き、逃れる術はなかった。
「…はい…はい、大変申し訳ございません。」
リリスは、殿下の端正な顔と目が合うと、恥ずかしそうに頭を下げた。
(殿下の優しく魅力的な高貴な微笑みに心を奪われ、顔が赤くなった。)
正確な描写は忘れてしまったが、そんな感じだったことは覚えている。
物語の展開は、ゲームの筋書きと完璧に一致していた。
すべてがあまりにも突然起こり、私はただ彼らの様子を見守ることしかできなかった。
ゲームでは、彼ら3人しか登場せず、後ろにいる2人のライバルは描写にもイラストにも全く登場しなかったことを覚えている。
これが彼らの初めての接近遭遇であり、後の出会いへと繋がる決定的なきっかけだった。




