第6章 06
スピーチが終わると、それぞれの教室へ向かう時間になった。みんな講堂を出て、校舎中央にある様々な用途の教室が並ぶ本館へと向かった。一年生の教室は1階にあるので、すぐに到着した。
昨日と同じように、まるで何かの障壁に守られているような感覚だった。誰も近づこうとせず、あるいは道を譲ってくれるだけだったので、私たちは何の障害もなく目的地へとたどり着くことができた。
…道のりは順調だったものの、精神的にはかなり疲れた。
「授業の後で会おう、みんな。」
授業後には生徒会室に報告しなければならないので、殿下はそう言ったのだ。
殿下と私の他に、デューク、アイリーン、アルジャーも生徒会に加わる予定だが、彼らがどのような役職に就くのかは不明だ。ゲームではその点について詳しく説明されていなかった。
生徒会室は、様々な部活動の教室や教員室が入っている本館の西側にあります。ここからそれほど遠くなく、近くには学生食堂もあります。
あ、そういえば学生食堂も見てみないと。マナが美味しいデザートがたくさんあるって言ってたし、裏メニューもあるらしいよ!楽しみ!
「おう、お互い頑張ろう」とアルジャーが言った。
「兄もよ」とアイリーンは言った。
基本的には、授業が終わったら全員生徒会室に集合して、その日の作業量に応じて残るかどうかを決めることになっている。残らなければ、好きなことをしていい。まだ入学して間もないから、先輩たちはすぐにそんなにたくさんの課題を出さないと思う。
ふう、他にやることがなかったら、図書館に行こう!
目標!図書館にある恋愛小説を全部読む!
別れの挨拶を交わした後、殿下とアルジャーは1組へ、アイリーン、デューク、そして私は2組へと向かいました。
このクラス分けは、おそらく重要な生徒たちを各クラスに均等に振り分けるためのものなのでしょう。
ゲームではリリスが1組、ヴィトが2組だったのを覚えているので、それほど驚くことではありませんが……ゲームの設定をそのまま踏襲しているというのは、やはり少し違和感があります。
私たちが教室に入るとすぐに、先に到着した生徒たちが立ち上がり、貴族にふさわしい礼儀をもって私たちに頭を下げました。
教室の設備はごく簡素で、机と椅子と黒板だけ――まるでゲームの背景のようだった。
周りを見渡すと、生徒の約6割が来ていた。ジーンの姿は見当たらない。おそらくまだ到着していないのだろう。
ああ、これがアルジャーが言っていた「お互い頑張ろう」という意味だったのか。
……読書会をしていた頃を思い出すと、私も最初はとても緊張した。
しかし、あの頃は生徒の数が少なかったし、殿下が最初から丁寧に説明してくださったので、すぐに馴染むことができた。想像していたほどストレスは感じなかった。むしろ、ストレスの原因は、ゲームの展開があらかじめ決められていることだった。
この状況を見て、少し考えた。このままでは、みんな疲れてしまうだろう。だって、僕たちはクラスメイトなのだから。
これが私にとって最初の試練になるはずだ!
よし、先制攻撃だ!
私は笑顔を保とうと努め、「皆さん、こんにちは。先ほども申し上げましたが、レティシア・エヴァンです」と言いました。
「…はい」男子生徒たちは慎重に答えました。
「…エヴァンさん」女子生徒たちはためらいがちに呼びかけました。
デュークに目をやると、彼は私の意図を察したのか、頷きました。次にアイリーンを見ると、彼女も頷きました。皆、私が代表として話すべきだと同意したようでした。
よし、やってみよう!私は俳優レティシアよ!
「皆さん、会長がスピーチでおっしゃったように、この学校は皆を平等に扱います。私たちは皆、平等な立場で学ぶためにここにいるのです。」
「…」
私が話し終えると、皆は静まり返り、私の返答を待つように、全員の視線が私に注がれました。
…これはかなり緊張する。
殿下は読書会て、一体何を考えていたのだろう?
「貴族的な礼儀作法を守ることは依然として重要ですが、今後数年間は皆同じ場所で授業を受け、ほぼ毎日ここで顔を合わせることになります。もし常にこのような礼儀作法を行わなければならないとしたら、学校の存在意義が損なわれてしまうと思います。」
「…」
皆、沈黙した。
「では、今後は皆さん、簡単な会釈で挨拶してください。学校ではあまり厳しく要求しませんので、ご心配なく。」
私が話し終えると、皆は顔を見合わせ、こう言った。
「…はい。」
はい…か?
思わず苦笑したが、どうすることもできなかった。急に距離を縮めても、うまくいかないだろう。
きっと時間が経てば慣れるだろうし、それから徐々に態度を変えていけばいい。
今はただ、様子を見るしかない。
「後から来る生徒にも伝えておいてください」と私は付け加えた。
「…はい。」
皆、素早く頷いた。
要するに、今は皆が基本的なことを理解してくれればそれで十分だろう。その後、私たちは場所を見つけて、他の生徒が来るのを待った。教室は静まり返っていた。時間が来ると、先生が挨拶に来て、朝礼のようにこれからの学校生活について簡単に話をし、それから解散になった。
しばらくすると、残りの生徒たちが一人ずつ教室に入ってきた。クラスのほとんど全員が揃った。
教室を見回したが、ジーンの姿は見当たらない。
おかしいな。もうすぐ時間なのに。
そう思っていると、薄茶色の髪の男の子が突然駆け込んできて、空いていた席に座った。続いて先生も入ってきた。
ジーンだ!
わあ――顔ははっきり見えなかったけれど、確かにゲームのヴィトにそっくりだった。不思議な懐かしさがこみ上げてきた。
思わず立ち上がって挨拶しようとしたけれど、先生が入ってきたので行けなかった。
彼の後頭部しか見えなかったけれど、やっぱり私の勘は正しかった。ゲームの設定なのか何なのか分からないけれど、クラスメイトで彼と同じ髪色の人は誰もいなかったので、かなり目立っていた。
落ち着かなきゃ。
よく考えてみると、もうずいぶん時間が経っている。彼はもう私のことを忘れているかもしれない。それに、もしかしたらゲームみたいに、リリスのサポートキャラなのかもしれない。私が突然彼を探しに行くなんて、絶好のタイミングじゃない?
様子を見ましょう!
ふう、ちょうど先生が入ってきてくれてよかった。そうでなければ、飛びついて行ってしまっていたところだった。
落ち着こうとしていると、先生が突然口を開いた。「みなさん、こんにちは。これから数年間、皆さんの担任を務めるモーリス・マーティンです。はじめまして、はは。」
えっ!?
聞き覚えのある名前が聞こえたので、慌てて振り返った。
ジーンに気を取られていたせいで、担任の先生がかつての読書会だったことに全く気づかなかった!
「…」
教室は静まり返っていて、思わず声を出したくなった。
生徒たちが何も言わないのを見て、先生は少し照れくさそうに言った。「はは…君たちのクラス顧問の他に、薬草学と調合実習も担当しているんだ。」
おお!先生は以前と変わらず、優しくて親しみやすい雰囲気だった。懐かしい。
まさかモリス先生だったとは!なんてこと!世間は狭いものだ!
とはいえ、殿下の読書会はとっくに終わっていたし、任期も終了していた。学校に就職を申し込んでいたのも無理はない。
「皆さん、これから先もよろしくお願いします。」
先生、よろしくお願いします!
見慣れた顔を見て、優しい声を聞いた途端、私の心は無意識のうちに喜びで高鳴った。




