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間章 11

 ルアスト王国の首都にある高級宝石店に、数名の高貴な客人が到着した。しばらく店内を見て回った後、店を出ようとした時、小柄で愛らしいプラチナブロンドの若い女性が、突然目を引く品物を見つけた。機転の利く婚約者は、その品物の安全性を確認しながら、すぐに声をかけた。

「…問題ない、レイ!」

「ああ。」

 最初に反応したのは、短い鉄灰色の髪と黄色の瞳を持つ23歳の騎士だった。いつものように主君の任務に同行していた彼は、主君の命令を聞くと、すぐに店主と交渉に向かった。

 レイ・ジョーンズは、カイル王子の親衛隊を率いる騎士の一人だった。親衛隊騎士は騎士階級の頂点に位置し、王家の警護を主責としていた。当然ながら、その名声と給料は最高水準であり、数千人の中から選ばれた者たちだった。騎士を目指す者なら誰もが親衛騎士団の一員になることを夢見ていた。中には、口先ばかりで行動力のない、家柄の名声に頼るだけの「花瓶騎士」と揶揄する者さえいた。

「店主さん、この品はいくらですか?」レイは尋ねた。

「ありがとうございます。こちらは…」

 騎士と伯爵の家系に生まれ、第一騎士団に所属する二人の優秀な兄を持つ彼は、兄たちの跡を継いで騎士となった。しかし、まさか第二王子の護衛騎士となり、カイル王子から厚い信頼を寄せられ、多くの人々の羨望の的になるとは夢にも思っていなかった。

 彼が思いがけず幸運に恵まれたのは、実は彼がカイル王子を崇拝していない唯一の人物だったからだった。彼は平凡な生活を送ることだけを望んでいたので、これは全く予想していなかったことだった。

 傍から見れば彼は人生の勝者に見えるかもしれないが、心の底ではただ平凡な人生を送りたいと願っていただけで、それは計画通りにはいかなかった。

 今日、彼は護衛の任務として王子のお出かけに同行していた。

 レイと店主がぬいぐるみを受け取ると、レイは丸々としたふっくらとしたぬいぐるみをちらりと見て、端正な顔に皺が刻まれた。

「……豚?」丸々としていて、はっきりとした体型がなく、ピンク色で耳と尻尾が付いていることから、レイは豚のぬいぐるみだと判断した。そのため、王子の婚約者レティシア・エヴァンに少々驚いた。

 やがて彼はひざまずき、最近名声が広く知れ渡った聖女レティシアに、買ったぬいぐるみを手渡した。レティシアはそれを受け取り、瞳を輝かせ、口元に微笑みを浮かべた。とても嬉しそうだった。レイは戸惑いながらも、彼女の喜びの表情を見て、それ以上考えるのをやめた。

(…お嬢様はとてもご満足のようですね。)

 微笑んで立ち上がったレイは、無意識のうちにレティシアの後ろにいる侍女アンナに目をやった。彼女の冷たい表情が一瞬にして和らぎ、レイは驚いた。いつも無表情なアンナには、これまで距離を感じていたが、今は彼女の美しい笑顔に心を奪われていた。

(…なんて美しいんだ。)

 この瞬間、レイの侍女アンナへの気持ちが変わった――恋に落ちたのだ。

「レティシア嬢がどう誤解されたのか分かりませんが、私はそういうつもりで言ったのではありません。」

「殿下は、決してそういうつもりで言ったのではないとは思いません。」

(護衛任務は予想以上に平和だった。平和はやはり最高だ……そして……)

 店を出た後、レイは護衛任務を続けた。道を歩きながら、レイはあの笑顔が忘れられず、無意識のうちにアンナの方をちらちらと見ていた。

 先では、レディシアとカイル王子がぬいぐるみについて話し合っていた。レイはカイル王子の普段とは違う穏やかな表情に驚き、そして安堵した。ちらりと視線を向けたアンナの優しい表情にも気づき、思わず口元に笑みが浮かんだ。

 アンナの仕草の一つ一つが、レイの心を打った。

 その後、レティシアとアルジャーは、いわゆる追跡体験活動に出かけ、レイは殿下の傍らに残った。伯爵との最近の出会いを思い出し、様々な感情が入り混じった余韻に浸っていた。

「……大丈夫か?」突然、デュークが殿下に尋ねた。

 少し考えてから、カイル王子はこう答えた。「あなたがどの点について言及されているのかは分かりませんが、アルジャーをはじめとする地形に精通した者たちがいるので、問題はないと思います……もし本当に問題があるとすれば、それはレティシア嬢でしょう。」

「…その通りです。」

「…」

「…」

 レティシアが確かに異様な出来事に遭遇していたため、その場は突然静まり返った。二人とも、これから何が起こるのか見当もつかなかった。

 間もなく、他の騎士たちから緊急の伝令が届いた。レイはすぐに殿下とフォンス若君に報告した。

「殿下、エヴァン嬢とロバーツ若様たちが問題を発見し、クイン卿を追跡しています。」

 殿下とデュークは顔を見合わせ、「追跡せよ。あとはお前に任せる。」と言った。

「はい。」

 そう言うと、レイはすぐに魔法を唱え、素早く追跡を開始した。予想外の選出ではあったが、レイの才能は誰にも劣らず、普通の近衛騎士と肩を並べるほどだった。彼の隠蔽魔法の才能は、ロバーツ家の先天的な能力の一つに匹敵するほどで、それが彼が予想外の選出となった理由の一つだった。

「今日は事故だったが、もう決まったことだ。婚約は今週末に行われる。計画に変更はない。ご安心を!」

 レイは慎重にアルジャーに近づいたが、この言葉を耳にして、大きな衝撃と抑えきれない憤りを感じた。

(クイン伯爵…アンナ嬢に近づく理由がちゃんとあったのか!)

 レイは表面上は平静を装い、アルジャーに近づきながら、すぐにこう言った。

「ロバーツ坊ちゃん、殿下は残りのことは私に任せるようにと仰せです。」

「…お手数をおかけして申し訳ない。」アルジャーは苦笑いを浮かべて答えた。

 殿下の指示に従い、レイはアルジャーの監視任務を引き継いだ。正直なところ、レイ自身もこの何気ない外出がこんな展開になるとは予想していなかった。

 無意識のうちに、レイの顔にアンナの微笑みが浮かび、彼女を守りたいという奇妙な衝動が彼の心に芽生えた。

(アンナさん!あなたの笑顔を救わせてください!)


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