間章 06
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私たちは店を出て、私はまだ愛らしいぬいぐるみを抱きしめていました。殿下について次の店へと歩き続け、アンナへのプレゼントを探し続けました。
…腕の中のぬいぐるみを見つめ。まるで猫が私に微笑みかけているようでした。手に持った感触は素晴らしく、弾力性も感じられました。頭を撫で、丸いお腹を軽くつつくと、思わず顔に笑みが広がりました。
…ああ…ああ、可愛い。
もし外にいなかったら、きっとぬいぐるみを夢中でつつきまくっていたでしょう!
つつく、つつく、つつく!
早く家に帰りたい…
はっ!いやいや、大事なことはこれからだ!
あと数軒のお店を見て回ったら、先生がクイン伯爵を連れてきてくれるはずです。その前に、何を買うか決めなければ。
「そのぬいぐるみはレティシア嬢にとてもよく似合いますよ」と、殿下が突然笑顔で言いました。
あぁ…そうだった、あまりにも突然で、お礼を言う暇もなかったわ。
彼の笑顔を見て、私は少し頭を下げて答えた。
「…贈り物、本当にありがとうございます。」
うっ…ちょっと恥ずかしかった。
まさかあんなにあっさり買ってくれるとは思わなかった…。
ちらりと殿下を見ると、相変わらず穏やかな表情をしていた。
これは困ったものだ。
これは大変な問題だ。
…
…殿下にもっと気を配ろうと決めたのに、そうするとますます胸が高鳴り、どうしようもなく無力感に襲われる…。
現実を突きつけられた今、私はどうすればいいのでしょう?
今はただ、自分の気持ちが膨らんでいくのを感じるだけで、相手も同じ気持ちなのか分からず、不安でたまりません。
彼の優しさは責任感からくるものなのか、それとも何か別の意図があるのか?
直接聞いてみるべきでしょうか?
でも、殿下は責任を取るとおっしゃっていました。他に答えはあるのでしょうか?
直接、私のことが好きかどうか聞いてみるべきでしょうか?
知り合ってまだ日が浅いのに、そんなことを聞くのは傲慢に感じます。
殿下に告白するべきでしょうか?
…でも、私たちはもう婚約しているんです!
それに…
私たちはまだ若すぎる。たとえ彼が私を好きだとしても、それは本当に愛なのでしょうか?
…私は温もりと安らぎを求めて、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめました。
…こうして現実を突きつけられた今、自分が何を望んでいるのか分からなくなってきました。
私の心は混乱しています。
恋愛経験が全くない私は、どうすればいいのか分からず、まるで迷路に迷い込んだように、ただ立ち尽くすことしかできず、混乱し始めていました。
今の私にとって、こうした感情と向き合うこと自体が、ほとんど耐え難いほどでした。
混乱の渦に巻き込まれていたその時、殿下の声が私の混沌とした思考を遮りました。
「丸くて可愛い。」
……丸くて可愛い?
何かがおかしいとすぐに感じ、私は慎重に考え直しました。
(「そのぬいぐるみはレティシア嬢にとてもよく似合いますよ」)
(「丸くて可愛い。」)
ぬいぐるみを見てみると、ふっくらと丸いのでかなり大きく、両腕で抱きしめることはできなかった。
……
殿下!まさか、私がぬいぐるみみたいに丸くてふっくらしているってことですか?!
少し不満そうに、「わかりました……殿下は私をそういう風に見てくださっているんですね……ありがとうございます。」と言った。
私はベビーフェイスです!わからないんですか?!
「レティシア嬢がどう誤解したのかはわかりませんが、そういうつもりで言ったのではありません。」殿下の肩がかすかに震えた。
絶対にそういう意味で言ったに違いない!
本当に!無駄に喜ばせてくれたじゃないですか!
顔を背けて、「殿下はそういう意味で言ったのではないとは思いません。」と言った。
殿下は突然ぬいぐるみの顔を突っつき、「本当に、かじりたくなるほどだ」とおっしゃいました。
……かじる?
私のぬいぐるみに何をするつもりですか?!
殿下にこんな趣味があるとは思いもよらず、心臓がドキッとしました。
「アンナ!ぬいぐるみを馬車に持っていって。」
殿下に襲われるのを恐れ、私は慌ててぬいぐるみをアンナに預けました。
「……お嬢様。」アンナは少し驚いた様子でぬいぐるみを受け取りました。
「……殿下にこんな奇妙な趣味があったとは知りませんでした。今、よく分かりました。」
「……時々、レティシア嬢は何を考えているのか本当に不思議に思います。」
殿下は再びくすくす笑い、それ以上何も言わなかった。
一体何を考えているのかと聞こうとしていたところだったよ!あんなに愛らしいぬいぐるみに、よくもそんなことを思いついたものだ!
私たちは次の店に入った。そこはやや高級な雑貨店だった。精巧な磁器セット、ドライフラワー、お茶、香水、その他小物類が、それぞれのコーナーにきちんと並べられていた。ほのかで心地よい香りが漂い、リラックスした雰囲気を醸し出していた。
「いらっしゃいませ!ご紹介しましょうか?」
私たちは店員の申し出を断り、店内をぶらぶらと見て回った。やがて殿下はお茶と土産物のコーナーで店員と何か話し始め、私はただ店内を見回していた。
ふむ……以前は、母や執事が家で商人と必要なものを話し合ったり、彼が持ってきた宝石を見たりするのをいつも見ていた。今、お店で売られているものを見るのは、以前の生活とはずいぶん違う。ここはデパートに近いのかもしれない。
……殿下のお茶の好みは変わっていない。お茶関連の贈り物はぴったりだ!
店員と楽しそうにおしゃべりする殿下をちらりと見て、私は贈り物に目を戻した。
アンナは何が好きだろう?すぐ後ろに立っているけれど、サプライズにしたいから、先に馬車の中で渡そうか。
陶磁器…どれもありきたりで、特別なものがない。
お茶、香水…これらは彼女の好みをよく知っておかないと贈れない。
ドライフラワー…
目の前には、香りのサシェ、花瓶、伝統的な花束、カードなど、ドライフラワーを使った様々な贈り物がずらりと並んでいた。
婚約祝いには、こういうのがぴったりだろう…
このコーナーで立ち止まり、少し迷いながら品々を眺めた。
それに、サプライズにするなら、こういうものを贈っても驚かされないだろう…
前世で、ここにはない品物があっただろうか、とふと思った。
...
そうよ!ハーバリウム!
植物油を詰めた花瓶みたいなものよ。作り方は簡単。ドライフラワーを瓶に入れ、ピンセットで位置を調整したら、ゆっくりと植物油を注ぎ、蓋を閉めるだけ。ポイントは花の配置の美しさよ。
手作りなら、もっと個性的な雰囲気が出るはず!
決心した私は、お店で必要な材料を選んだ。植物油は別に誰かに買ってきてもらい、後で別のメイドに手伝ってもらうつもり。
殿下は私の動きに気付いて、こう尋ねに来た。
「決まったのか?」
「はい!」
さあ、いよいよクイン伯爵の本当の姿を見る時が来たわ!




