第5章 09
銀色の髪がかすかに揺れた。色白で優雅な雰囲気を持つ端正な顔立ちの男が、顎に手を添え、眉間にしわを寄せて心配そうに佇んでいた。馬車の窓から見える景色をじっと見つめる彼の姿は、まるで息を呑むほど美しい肖像画のようで、見る者すべてを魅了した。
「ああ、エイダは相変わらず美しく魅力的だ。」
夏至祭の時期だったため、人出は例年以上に多く、御者は遠回りをしたため、いつもより時間がかかっていたが、その端正な顔立ちの男は気にする様子もなかった。
「ああ、早く父上の許可をもらわなければ。早く結婚したい。」
ルアストの皇太子ウェンシウ王子は、弟のカイルと共に馬車に乗り、都へ戻る途中だった。彼は、先日東王女と密会した時のことをまだ思い出していた。
「兄上。」
向かいに座っていた第二王子、カイル・ルアスト王子が突然声をかけたが、王の承認をいかに早く得るかに気を取られていたウェンシウは全く気づかなかった。
ウェンシウ王子の反応のなさに気づいたカイルは、今度は少し大きめの低い声で再び声をかけた。
「……兄上。」
「な、何だ、カイル?」
カイル王子の不機嫌そうな声を聞いて、ウェンシウ王子はようやく我に返り、慌てて彼をなだめようとした。そのせいで、せっかくの美しい肖像画はたちまち台無しになってしまった。
「兄上はまだ先ほどの出来事を思い出されているようですね。」
カイル王子は微笑みながら言ったが、ウェンシウ王子はそれが作り笑いだと分かっていたので、背筋に寒気が走った。弟は彼より数歳年下だったが、幼い頃からの経験から、弟は想像以上に大人びていて、まるで大人と話しているようで、常に気を配らなければならなかった。
「あ…すみません。」
ウェンシウ王子はぎこちなく微笑み、カイル王子に謝罪した。王族にふさわしい威厳は全く感じられなかった。カイルは小さくため息をつき、ウェンシウはさらに恥ずかしくなり、鼻を掻いた。北方の血を引いているせいか、あるいは気さくな母親の影響か、ウェンシウ王子には皇太子らしい風格が全くなかった。彼はそれを自覚していたので、それを表に出さず、神秘的で近寄りがたいイメージを保つように努めていた。
「兄さん、もう決心は固まったんだろ?」
「あ…ああ…ああ!頑張るよ。」
カイル王子の視線に、まだ少し不安げながらも、ウェンシウ王子は拳を握りしめ、カイル王子の目をまっすぐに見つめ返した。先ほどの完全な迷いと比べれば、これは大きな前進だった。
「よかった。」カイル王子はそう言い終えると、窓の外に目を向けた。
カイル王子がそれ以上追及しないのを見て、ウェンシウ王子は苦笑いを浮かべた。弟は幼い頃から並外れた知性を持ち、生まれながらにして英雄王の風格を備えていた。まだ若いとはいえ、間違いなく自分よりも王にふさわしい――カイルが才能を発揮し始めて以来、その思いは揺るぎなかった。
(いつからこうなったんだ?)
ウェンシウ王子は、カイル王子が表舞台に現れ始めて間もなく、彼への称賛が急に減り、行動も以前よりずっと控えめになったことに気づいた。彼の評判は今やほとんど王妃側からのものだった。影響力は依然としてあったものの、以前よりはるかに控えめになっていた。
ウェンシウ王子が考え込んでいると、カイル王子が突然再び口を開いた。
「母上の様子は引き続き見守るが、兄さんも気をつけてくれ。」
「気をつけます……ありがとう、カイル。」
「お礼なんていらないよ、兄さん。やるべきことをやってくれ。」カイルは苦笑いを浮かべながら文秀を見た。
ウェンシウ王子は弟の表情を見て、またいつもの癖が出てしまったことを悟り、照れくさそうに鼻を掻いた。
いずれにせよ、この弟は明らかに自分を支えてくれている。多少の緊張感はあったものの、少なくとも今は彼こそが最大の切り札だった。だからこそ、この機会を逃すわけにはいかなかった。
「ロバーツ卿に速やかに報告せよ。」
「エヴァン卿がこれほど動揺しているのを見るのは初めてです。実に驚きました」と、ある役人が驚きながら言った。
「初めてですか?二度目ですよ。前回はエヴァン夫人がいらっしゃった時でした。」
都に戻った二人の王子は、宮殿内を人目を忍んで歩いていると、すぐに何か異変を感じ取り、貴族たちが重要な人物について話しているのを耳にした。
「エヴァン様は…」
ウェンシウ王子が反応しようとしたその時、カイル王子が少し憂鬱そうな表情で父の方へ足早に歩いてくるのが見えた。その速さに文秀は驚いた。女王のこと以外いつも冷静沈着なカイル王子が、これほどまでに激しく反応するとは、ウェンシウ王子の目は確かに開かれた。
〈カイルは私が思っていた以上に婚約者のことを大切に思っているようだ。〉
ウェンシウ王子は微笑み、鼻を掻くと、父親のいる方へ足早に歩いていった。




