第3章 06
緑豊かな自然の中で、木々の葉は陽光にきらめき、静寂な空気の中、私たちの足音はかすかに響いた。
突然、空を切り裂くような吠え声が聞こえた――小さな猟犬の吠え声だった。
「キツネか?任せてくれ。」
アルジャーはそう言い終えると、すぐに弓を引き、魔法で形作られた矢を放った。
矢が標的に命中する音が響き渡ったが、実際には魔法はキツネに届く前に消え去っていたため、命中していなかった。キツネは一瞬のうちに逃げ去った。
結局のところ、これは私にとっては単なる体験に過ぎない。無差別に殺すべきではない。
……矢が標的に命中する音は実にリアルだったが、背筋にぞっとするような寒気が走った。
しばらく馬を走らせると、森の奥に小さな森が現れた。そこはミニチュアの狩猟シミュレーションの場だった。私以外の全員が剣や弓矢を手に取り、小さな猟犬が先頭に立って進んでいった。
私は少し戸惑いながら、愛らしい猟犬が先導する様子を眺めて歩いていた。長い耳と絹のような毛並みは、前世のコッカースパニエルにどことなく似ていて、獲物を探しながら尻尾を嬉しそうに振っていた。
夏至祭の時は中に入って参加する必要はない、外で待っていればいいはずだ?
しかし、皆が私を慣れさせようと熱心に手助けしてくれるのを見て、私は黙ってついていくしかなかった。
夏至祭は本当にあった。要するに、宮殿近くの森に様々な危険な生き物を放ち、人々がそれを狩るという祭りだった。
「レティシアさんは大丈夫ですか?」アイリーンが私の隣に立って尋ねた。
「…大丈夫です。」
「ぐるっと一周したら戻ってきますよ。」
「わかりました。」私は頷いた。
理屈で言えば、王族の婚約者である以上、今後このような状況を完全に避けることはできない。ある程度は慣れる必要がある。あまり露骨に恐怖を表に出すと、軽蔑されるかもしれない。皆がこれほど熱心なのだから、この機会に精一杯適応し、万全の準備をしておくべきだ。
…そして、将来は殺される可能性もある。そんな時にただ呆然と立ち尽くしているわけにはいかない。状況によっては、それ相応に反撃しなければならないかもしれない。
私は右手でそっともう片方の手を握りしめ、自分を落ち着かせようとした。
もっと勇敢にならなければ!
ワンワンワン――
遠くにいた猟犬が吠えながら、急いで戻ってきた。
ウーウーウー――
先ほどの威風堂々とした様子とは打って変わって、猟犬は私たちの目の前で怯え、遠吠えをした。
「どうしたんだ?」
森の奥深くへと進むと、猟犬が突然いつもと違う様子を見せた。
まさか、この先に何か予期せぬことが起こるのだろうか?
そう思った途端、黒い影がこちらに向かって突進してきた。
その姿は、前世で見た豹にそっくりだった。
「殿下!」
護衛たちがすぐさま私たちの前に飛び出した。
ガチャン――
護衛の一人が、豹らしき獣の攻撃を食い止めた。
なんて大きいんだ!
ようやくその顔がはっきりと見えた。前世の豹よりもさらに大きく、丸々としていて、黒い毛皮には斑点が散りばめられ、鋭い爪で襲いかかってきた。
「こんな怪物は、生まれてこの方見たことがない」とアルジャーは頭を掻きながら言った。
「……一体どういうこと?」アイリーンは少し戸惑った様子で見つめていた。
え?一体どういうことだ?
私は目の前の巨大な生き物を、同じように困惑しながら見つめていた。
昨日の会話から判断すると、この森には主に小型動物、せいぜい中型動物が生息しており、概して平和な場所である。だからこそ、彼らは私たちがここで活動することを安心して許可してくれたのだろう。
「見慣れないモンスターだ」と、殿下は少し真剣な表情で言った。
「私も見ていない」とデュークはうなずいた。
最近授業で習ったところによると、モンスターは主に野生の場所に生息している。王都や領地のような支配者がいる場所は水晶の結界で守られており、モンスターの侵入を防いでいる。ここは王都の郊外にあるとはいえ、結界の範囲内だ。そして、殿下の困惑した表情から察するに、これは未知の生物であり、ますます不可解に思える。
殿下は私を一瞥し、「デュークさん、アイリーン嬢、まずはレティシア嬢を連れて行け」と言った。
「はい!」
「デュークさん、連絡を取ってください」
「了解」
「レティシア嬢、彼らの指示に従ってください。」
「わがりました。」
「出発前に試してみよう、アル。」殿下はそう言い終えると剣を抜いた。
「もちろんです。」アルジャーは既に戦う気満々で、戦闘態勢に入っていた。
彼らに目を向けた。少し不安そうな様子ではあったが、いつもとは違っていた。彼らの視線は、正体不明の怪物に釘付けになっていた。アルジャーは言うまでもないが、殿下でさえ口元をわずかに上げ、怪物への興味を湛えていた。すぐに立ち去るつもりはないのは明らかだった。おそらく、怪物と少し戦って、その力を試そうとしているのだろう。
「レティシアさん」とアイリーンが私を見て言った。
「わかった」と私はすぐに答えた。
「…ワンワン…」と小さな猟犬がうめき声を上げ、身を縮めた。
動けないようだった。私は慰めるように頭を撫で、それから急いで抱き上げた。
私にはどうすることもできないので、アイリーンの促しに従い、護衛隊の順番で、アイリーン、私、そして最後尾のデュークと共に、急いで森から走り出した。




