第44話 閑話6 あの三人が帰ってキター!
A「まったく。キャトルの対象が消えてしまったのは我々のせいではないというのに。課長ときたら何が『チップの損害は給料から天引きしておくからね~。開発さんも怒ってるし~、そもそも異世界召還の対策中に目の前で召還されちゃうなんて恥ずかしい~』だ!」
C「相変わらず課長の真似が上手ですが、仕方がないのでは? 実際どうにもできなかったのですから」
B「上手の手から水が異世界召還で乙www」
A「違うぞ同志Cよ。そもそも、というのなら、チップの行方はこちらから追跡できてこそ意味があるのだ。我々はそのつもりでいたはずだ。なぜ追えなかった? 優秀な同志B」
B「原因不明でござるwww」
A「見ろ。この優秀な同志Bでさえわからんのだ。責任は開発部にあると思わないか?」
C「確かにそうですが、残りの9個のチップには問題がないと言われましたから、現物がないと話にもなりません」
A「これが現場の悲哀というものか……」
C「まあ、不運だったのは認めましょうよ。幸い備品の紛失という扱いになりましたから、ペナルティーが製造コストのみの弁償で済むのはありがたいですよ」
B「モルモットも紛失しますたイェーイ! www」
A「同志Bはいつも楽しそうでいいな……ところで、見かけない星座だな。ここはどこだ?」
C「え? そういえばそうですね。ちょっと待ってください……Aさん、空間跳躍の座標弄りましたか?」
A「私がそんな面倒なことするはずないだろう? 現場の空間座標をコピペするだけの簡単なお仕事だ」
C「ですが、これ見てください。亜空間航路の反対方向ですよ?」
A「どれ……マイナス@51.6088743,15.4019249,5z?hl=ja ……マイナス? 何だこの座標は? いや、どこかで見たような……」
B「Aニキが見てたニュースwww」
C「ニュースですか?」
A「ああ、あれか。星間連盟から緊急速報でな、何でもスペース・ゴーストというわけのわからん怪獣が出たそうだ」
B「スペース・ゴーストwww訳すと宇宙幽霊イェーイ! www」
C「勤務中にそんなの見ないでくださいよ」
A「何を言う。緊急なんだぞ、緊急。しかも見ていたのは勤務時間直前だ」
C「はいはい。それで?」
A「うむ。懸賞金が出るというので出現場所をチェックした。思わずそのまま船の跳躍場所にコピペしてしまったらしい」
C「らしい、じゃないですよ! じゃあ、なんですか? ここにそのわけのわからない宇宙怪獣が出るというんですか!?」
A「理論上はそうなるかもな」
C「冗談じゃありません! すぐに戻りましょう!」
A「う~む。同志Cがそこまでいうのなら……」
B「Aニキ、Aニキ、緊急救難信号、ゲットだぜっ! www」
C「Bさん、何してくれるんですか……」
A「これはあれだな、船乗りとしての義務がどうのこうのってヤツだな」
C「……宇宙船舶航行時における相互救援救難条約です……」
A「さすがは同志C、インテリだな。だが、知っているか同志Cよ。懸賞金には討伐と捕獲と撃退があってな、撃退でも相当な額が出るらしいぞ?」
C「まさか、最初から狙って……」
A「なんのことかな? 我々は入力ミスで偶々空間跳躍に失敗し、偶々救難信号をキャッチしてしまっただけなのだよ」
C「聞かなかったことには……」
B「自動で記録は拡散済みイェーイ! www」
A「そういうことらしいぞ、同志C。諦めて我々の輝かしい懸賞金、もとい、要救助者を助けに行くのだ! モタモタしていると専門のハンターに掻っ攫われてしまう」
C「やはりそれが狙い……ハァ……仕方ないですね、義務ですから……」
A「うむ。同志Cがやる気を出してくれたところで、優秀な同志Bよ。信号発信地点まで空間跳躍だ」
B「いえっさ! 亜空間入りますた。ウィ~ンウィ~ンwww」
C「何でしょう? 悪い予感がするのは私だけなんでしょうか?」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
A「アレがスペース・ゴーストか?」
B「幽霊乙www」
C「どう見ても高位の精神生命体ですよ!?」
A「だが、間違いなく連盟から通達が来ている」
C「いえ、問題はそこではなく、相手が高位の精神生命体であれば殺害も捕獲も不可能ということです」
A「ふむ。反物質ミサイルならいけるんじゃないか?」
C「どうしてそんな物騒なものがあるんですか!? もし本当にあったとしても要救助船ごと対消滅ですよ!?」
A「では、反陽子砲ではどうだろう? あれなら狙いはコントロールできる」
C「いや、だから、どうしてそんな物騒なものがあるんですか!? この船、調査専門の小型船舶ですよね!?」
A「我々が調査に赴くといえば未開の辺境なんだぞ? 備えあれば憂いなし、こんなこともあろうかと、の精神で開発部から新型をモニターの名目で分捕って……預かっている」
C「ハッキリ分捕ったって言いましたよね? ハァ……道理で開発部が辛く当たってくるわけです」
B「Aニキ、Aニキ、救難信号が途絶えたwww」
C「Bさん、それは笑い事ではないですよ!? しょうがない。今回はAさんに先見の明があったということで、救助優先です」
A「うむ。反陽子砲発射準備。目標スペース・ゴースト」
B「あいあいさ~wwwぽちっとなwww」
C「あ、救難信号が再びキャッチできました。どうやら空間的に囚われていたようですね。道理で空間ジャンプもしなかったわけです」
A「うむ。さすがは我が社の開発部。効果抜群だな。こうなったら反物質ミサイルも……救助対象に通信してくれ」
C「何か物騒な言葉を聞いた気がしますが、何て声をかけますか?」
A「うむ。俺にかまわず先に行け、だな」
C「いや、それはどうかと……」
B「ぽちっとなイェーイ! 送信完了www」
C「Bさん、また何してくれるんですか……記録に残るんですよ? あっ、本当にジャンプしてしまったじゃありませんか!?」
A「いいじゃないか。これで彼らも助かったんだし、我々も懸賞金を独り占めできる。これぞ三方一両損というものだ」
C「損してどうするんですか!? それをいうなら……もうどうでもいいです。それで? これからどうするんです?」
A「無論反物質ミサイルを撃ち込む。同志B、優秀なところを見せてくれ」
B「あいあいさ~wwwぽちっとなwww」
C「ちょ、ちょっと近いんじゃないでしょうか……」
A「あ……」
B「Aニキ、Aニキ、さっきの船からリーマンのチップの反応があったwww」
A「なにぃ!」
C「このタイミングでそんなこと! き、緊急離脱!」
その後、その空間に存在するものは何もなかった。
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