↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/92

第38話 これって、アーたんの計画にあったか?


 翔太郎は魔大陸で首尾よく魔物を退治しエネルギーを集めたあと、メタルドラゴンを回収するためにブレスト王国の王都上空に来ていた。効果があるかわからないが光学迷彩はかけたままである。


 このあとタイミングを見計らって茶番を演じる予定になっているが、どうも王都の様子がおかしいと感じた。


「(これって、アーたんの計画にあったか?)」


 翔太郎は脳内会話で聞いた。


「(いえ。ありません)」


「う~ん。予定じゃ王宮に乗り込むんだよな。なんか王様が外に出てきてるんだけど?」


「どうやら教会で武装蜂起が起こっているようです」


「教会? そこもターゲットなんだよな? 見せてくれ」


「はい。今出します」


「おお、いるいる。これ、スラムの人間ぽいな。神父? 異世界だから神官かね? 捕まえて人質にしてるのか? どうするつもりなんだか……」


「オーナー。国王が教会に到着しました」


「呼びかけてるな。警察かよ。お、中から出て来た……ん? これ、アンドンじゃね?」


「はい。あの人間ですね」


「なんでアンドンが……ん? この神官、知ってるぞ。俺を嵌めてくれた、たしか……パーナードとかいったはずだ。なんでアンドンが立て篭もり犯みたいに剣を突きつけてるんだ? ワケがわからん」


「あの神官のおかげで我々はオーナーを迎え入れることができたのですね? 感謝しなければいけませんね」


「ん? ちょっと違うような……まあいいや。しかし、アンドンてこんな過激な性格だったか? そりゃ檻の中で体制批判はしたけど……これも茶番だな」


「どうしますか? コードネーム・メタルドラゴンはまもなく帰還します」


「んー。時間かけすぎるとプタルカに捕まるかもしれないから、予定変更して……いや、大筋は変わらないか。舞台と出演者に変更があっただけだな。

 うーさん、このまま計画進行で。やっと俺の出番だ。まあ、茶番に乱入してまた茶番を演じるだけだがな。フォローよろしく」


「アイアイサー。これよりオーナーならびに護衛ロボット二体をトランスポートします」


「トランスポートって転移魔法だよな」


「いいえ、科学です」


「呼び方の問題だろ? おっと、舞台の雰囲気も最悪だ。行ってくる」


「はい。お気をつけて。トランスポート開始」


 翔太郎と船長ロボ、鎧兜で顔を隠したゴブリンロボの三人はブリッジから姿が消えた。


 そして教会前、スラムの住人と国の騎士が一触即発になっているその間に三人が姿を現した。


「そこまでだ、アンドン」


 眼帯をし、キャプテンスーツに身を固めた翔太郎はマントを翻しながら叫ぶ。

 いや、翔太郎の意思で翻しているわけではなく、自動で状況に合わせて翻るというアーテラスご自慢のお茶目な機能なのだ。


 マントはともかく、突然人が現れたことに驚いてアンドンも振り上げた剣が止まった。

 国王たちも人質のこともあってか、動きはない。


「だれだ! 妙なカッコしやがって!」


「みょ、みょう……お、俺だ、タローだ。久しぶりだな」


 翔太郎はやはりコスプレなどするんじゃなかったと、勇者5人組がいないから問題ないだろうと軽く考えていたことに後悔した。

 だが、話が進まないと計画そのものがダメになってしまうと判断し、何事もなかったように名乗る。動揺は隠せていないが。


「タロー? まさか、本物なのか? 生きていたのか! その目はどうした!?」 


 トレーニングで鍛えて雰囲気が変わったといっても、数ヶ月では顔の造作までは変わらないらしく、眼帯はあるものの、アンドンは翔太郎と認めてくれたようだ。


「俺の話はまたあとでな。それよりアンドン、何をしているんだ?」


「何って、おめえさんの敵討ちなんだが……本人が来たならてめえでやれよ」


「わかっている。ありがとう。俺のために」


「いいってことよ。半分以上は俺の恨みもあるからな」


「そうだったな。ところでアンドン、皆を連れて逃げないか? ここにいると危ないぞ?」


「こうなったら最後まで付き合うぜ! なあ! おめえら!」


「「「「「「おう!」」」」」


 神官たちを人質にしたままスラムの住人たちは気炎を上げる。


「しょうがねえ連中だ。そういうことで、パーナードさんよ、久しぶりだな。覚えていてくれてるか?」


「い、異端者……」


「おう。だが、ちょっと違うな。お前に与えられた試練、この通り乗り越えてきたぜ? 約束どおり異端者は取り消してくれるんだよな?」


「そ、それは……」


 パーナード司祭は国王に目をやる。

 それに反応してか国王も口を開いた。


「そこの黒髪、そなた真にあの勇者候補なのか?」


「おう。久しぶりだな、クソ国王。相変わらず茶番が好きと見える」


 翔太郎は国王に向き直り、悪態をつく。


「無礼者! そこに直れ! この異端者が!」


 騎士たちが騒いだが、翔太郎はどこ吹く風である。


「俺がてめえらに媚を売る必要があるのか? それに異端者じゃねえって。ああ、そこにいるのは宰相さん。あんただったな、約束したのは。こうして戻ってきたからには取り消してくれるんだろうな?」


「それは……」


「異端者の取り消しなんて、口で言うだけじゃ認めねえぞ? 大陸中に知らせろ。バカな神がバカな間違いを起こして勇者に加護を付けなかった。取り巻きのバカな神官たちもバカ神のやらかしを隠蔽するため難癖つけて異端認定した。試練も口封じのため与えた。その無茶な試練を乗り越えた俺こそ真の勇者である。その勇者を貶める神こそ邪神だ。プタルカこそ真の邪神である。

 そんな感じで触れ回ってくれ。そしたらこれまでのこと水に流してやる」


「何を不敬な! あぐっ」


「うるせえ! 黙って聞け!」


 翔太郎の暴言に司祭は過剰に反応したが、アンドンに殴られた。


「待て。ショータローだったな。一体何が目的なのだ? 異端認定を本気で取り消したいとは思えぬ」


「おめえらの茶番に付き合ってやっただけだ。確かに、本心だが本気じゃねえな」


「では何だ?」


「アンドンも言ってただろうが。恨みを晴らしに来たんだよ」


「恨みか……返す言葉もないな……だが、」


「ああ、多少は縁があるからな、一つ報告がある」


 国王が何か言いかけたが、翔太郎は言葉をかぶせた。


「……言ってみろ」


「大穴の底にな、ダンジョンがあって、そこで神は死んでた」


「は? 何をバカなことを……」


「不敬! 不敬! びがっ」


「アンドン、手間かけさせて悪いな。まあ、これじゃ誤解するよな。俺にとっちゃプタルカのほうが邪神なんだが、死んだのはお前らが言ってる邪神だ。名前はアーテラス。知ってたか?」


「世界の名ではないか!? 何故邪神が? 死んだ? 封印されているのではないのか?」


「異世界人の俺に聞くな。封印中死んだんじゃねえのか? どっちが邪神かなんてガキの喧嘩と同じだろ? 少し考えればわかるじゃねえか。結局神同士で喧嘩して勝ったほうがこの世界の創造神、負けたほうが邪神ってだけだろ? 少しは頭使え。こんな不敬不敬しか言わないバカが多すぎる」


「しょ、証拠はあるのか?」


「なんの? 死体はねえよ? あっても見てわかるのか? 俺が死んだって言った理由は遺産を手に入れたからだ」


「遺産? 神のか?」


「ああ。先史文明のだろうな。それだけでもその死んだ神が元々この世界の神だってわかる。それに遺言みたいなのがあって、自分が死んだ後に遺産は解放されるって書いてあったから、俺が手に入れられたってことは、そういうことなんじゃねえの?」


「そ、その遺産とは、ど、どんなものなのだ!」


「今見せてやる。どうせ復讐するつもりだったからな」


「復讐……」


 翔太郎は左手を挙げ、指を鳴らした。

 義手なので便利機能だ。


 ドン!

 ドン!

 ドン!


 上空から何か大きなものが降ってきた。


「うわーっ! ま、魔物だっ!」


「陛下を守れ!」


「ダメです! 囲まれています!」


「何だと! 何の魔物だ!」


「ま、ま、魔力食らいですっ!」


 現場は神官を人質に取られていたときよりも混乱した。

 十数体のメタルドラゴンに囲まれて生きた心地がしないだろう。


「まさか……これが神の遺産……」


「さあ、俺と同じ目に遭ってもらおうか。神の試練だ。さぞ嬉しかろう?」


【作者からのお願い】

「面白かった」「続きが読みたい」と思われた方は下記にある【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。