第21話 閑話1 第1話の裏側にて
翔太郎が病院で癌宣告を受けた時より少し後、日本の上空に隠れて浮かぶ存在があった。
宇宙人A「さて同志諸君。わ゛れ゛わ゛れ゛は~うちゅうじんだ~で御馴染みの宇宙人である。この度我が連盟の新プロジェクト『日本って異世界召喚多すぎるから監視体制整えるついでに召喚対象の傾向と対策調べて、できれば召喚先でもサポートできるように身体にマイクロチップ埋め込んでおこうぜ』作戦、長いので『プロジェクトJ』のメンバーに幸運にも選ばれたわけだ。張り切って行こうじゃないか」
宇宙人B「説明セリフ乙www」
宇宙人C「Aさん流石、よくプロジェクトの名前覚えてますね。さすAです」
A「まあまあ。だがしかーし、このプロジェクトJ、ぶっちゃけ日本人全員にマイクロチップを埋め込もうという果てしない作業を我々3名で対応できるか、というとぶっちゃけ不可能である。
では何故我々がここにいるのか? それはプロジェクトJの前段階、名付けて『実際こんな小さなマイクロチップに機能盛りすぎ~。確実に動くかどうか確認よろ~』長いので『プロジェクトJ』を課長から仰せつかってきたのだ!」
B「実際押し付けられたイェーイ」
C「プロジェクト名というか課長のセリフそのままですけど。いや、物真似上手いです。それからプロジェクトの省略名被ってます」
A「何! それでは『実際』のJと『こんな』のKで『プロジェクトJK』でどうだ?」
B「ウェ~イ。JKでござる~。個人的にはJCでよろ~」
C「女子高生……いや、女子校生……」
A「とにかく我々の任務は日本人の中から10人選び、人知れず拉致してマイクロチップをインプラントしてだな、その後放流して各種機能をチェックすることだ」
B「知ってま~す」
A「うむ。では目標の捜索開始だ。うむ。今日は天気も良く絶好のキャトルミューテーション日和ではないか」
C「微妙に古いです。それから正確には『キャトルミューティレーション』です。さらに言えば我々が行うのは『アブダクション』が正解です」
A「……地上班に比べ我々が情弱気味なのはしかたがない。今後に期待だ。それより、あまり細かすぎると結婚できないぞ」
C「セクハラです! 宇宙労基に訴えますよ!」
A「えー、お前男じゃん……いや、謝罪して訂正します。それより目標は……」
B「Aニキ、Aニキ! あそこは?」
A「おかしな呼び方をするな。どれ……公園か。現地時間で午後三時。昼休みも終わり、学校の放課後もまだ。いいかもしれんな。ここで目標を物色しよう」
B「Aニキ! あのリーマン、サボリーマンでござるwww」
A「うむ。黄昏ているな」
B「まだ夕方前www」
C「話が進みません。幸い周囲に人気がないですから、あれにしましょう」
A「う、うむ。同志Cがそう言うなら……よし、ドローンに光学迷彩、意識を奪ったら船内に転送だ。キャトル開始!」
C「アブダクションです。では開始します……回収終了しました」
A「よろしい。次のシークエンスに移行! インプラントだ」
C「了解……インプラント成功しました。同期確認作業に移ります」
B「Aニキ、Aニキ! これ見て!」
A「何だ? 同志Bよ……これは……癌……」
B「ガーン! www」
C「笑い事ではありません。どうしますか? 対象を破棄しますか?」
A「怖いこと言うな。記念すべき一人目のキャトルだぞ。これが失敗したって報告書の1ページ目に書くのは縁起悪いじゃないか」
C「あの、キャトルという言葉を自然に使うのはやめてください。せめてモニターと。それで、どうしますか?」
A「チップの機能確認の一環で治療してやろう。サポート機能で治癒力アップとかいうのがあっただろう?」
B「それバレる~。コイツ今日病院行ってる~。世界不思議発見でニュースになる~www」
A「では自己治癒のスピードを癌の進行の1.01倍に設定しよう。病院で治療するも良し、ほっといてもそのうち治るだろう。我々が調査する時間があればいい」
C「調整が面倒なのですが……私がやるんですか?」
B「Aニキ、Aニキ! も一つこれ見て!」
A「今度は何だ! 何? 前頭葉に髄膜腫? この男、病気のデパートか!」
C「これは……奇跡のようなサイズですね」
A「同志C。説明を」
C「たぶん、この男性が子供の頃に頭を強打して、その時に頭骨の一部が欠けたんだと思います。それで身体の防衛本能が骨片を異物として取り除こうとした結果腫瘍化したのだろうと考えられます。
そのサイズが奇跡なんです。このサイズより小さかったら自然に体内に吸収され消滅したでしょう。逆にこのサイズより大きかったとしたら、その時点で脳内出血、でなくてもハッキリとした症状が出て地球の医療レベルでも発見できたと思います」
B「BJ乙! ドクターCウェーイ!」
A「で、結局治療したほうがいいのか?」
C「はい。こちらは多分発見されてないでしょうから。ただ、性格が少し変わるかもしれません」
A「それって我々の調査に関わるか?」
C「……関わらないでしょうね。脳波を見てみると内向的な傾向が見られます。治療後はかなりポジティブになりますが、考えてみれば元の性格に戻っただけともいえますね」
A「ならキャトル第一号を記念して治療してやろう。この際だ、騒ぎにならん程度に他の不具合もチェックして改善してくれ。同志Bも頼んだぞ」
C「またキャトルって……」
B「いえっさ! 完了しますたwww」
A「……あれだな、同志Bは言動がアレだが、優秀だな。それとも他に病気はなかったのか」
C「いえ。慢性疲労に慢性の睡眠不足、頭痛、不眠症、眼精疲労、肝機能の低下、軽い腸炎、自律神経もやられて鬱に……」
A「もういい! 聞いてて次は我が身かと恐ろしくなる。全部ストレス障害じゃないか! ウチの社員は大丈夫なんだろうな?」
C「アフターケアは万全のはずです」
A「はずってところが若干気になるが……まあいい。チップとの同期は終わってるな? なら次のシークエンスに移行! 各機能が干渉し合わないかチェックする。各項目を全てオープンに」
B「Aニキ、Aニキ! これ『神バリア』だってwww」
A「何だこの機能は? なになに、『異世界の神からの加護という名の首輪から対象を保護。例外として異世界言語スキルは受け入れます』だと? ワケがわからん。どうやってチェックするんだ?」
C「相互干渉の有無の確認ですから気にしなくてもいいのでは?」
A「うむ。そうだな。では全項目オープン状態で対象者を元の位置に転送する。周りの人間に注意せよ!」
C「現在人通りが増えてきました。日暮れを待ってはどうですか?」
B「ベンチにカップル発見! 爆ぜろwww」
A「仕方ない。ベンチが空くまで待機。いや、次のキャトルの対象を探すか」
C「お言葉ですが……いえ、もういいです。それで、どこを探しますか?」
A「うむ。調査の範囲は広い方がいいだろう。次は北からだ!」
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C「一人でぼんやりベンチに座っている人、いませんでしたね?」
A「まあ、寒い時期だからな。これはこれで『キャトルのタイミングに難点あり』と報告書に書いて提出すればいい。それより公園の様子はどうだ? ベンチは空いているか? あまり時間を置きすぎると問題じゃないか?」
C「暗いので視界が狭まっています。今ならベンチも空いています」
A「よし! 転送開始! 転送終了後覚醒モードに。これはチップの機能でできるな?」
C「転送成功。機能正常。覚醒しました。バイタルオールグリーン。いえ、焦っているような……音声機能で状況を確認します」
翔太郎『何でもう夜!? 寝てた? あっ、会社! うわっ! 電源切ったままだ!』
A「……大丈夫そうだな……」
C「バイタルも安定してきました。どうやら髄膜腫治療の効果もあるようです」
A「効果早いな!」
B「Aニキ、Aニキ! これ聞いて味噌www」
C「……これは、カツ上げですか?」
A「この男、どこまで運が悪いんだ? 今時オヤジ狩りって……」
C「あっ、反抗するみたいです」
A「おいおい。キレた若者は容赦ないよ? 大丈夫か? 殺されたら今までの苦労はどうなる? 報告書の1ページ目にキャトル実験開始後数分で対象死亡って書くのか?」
B「Aニキ、Aニキ! 光ってる!」
C「これは、魔法陣、ですか?」
A「あっ! 消えた! こ、これって……」
ABC「「「異世界召喚キター!!!!」」」
A「はっ、チップとのリンクはどうなってる? 繋がっていさえすれば何の問題もない!」
B「キレてま~すwww」
A「うわーっ! 最悪! どどどどどうする?」
C「どうするも何も、ありのままを報告すればいいのでは?」
A「……それしかないか……有能な同志B、報告書を頼めるか?」
B「いえっさ! Aニキ、課長から連絡~『すぐに帰って報告よろ』だってwww」
C「Bさんはホント優秀ですね。Aさん、これからどうします?」
A「……同志Cよ。いい言葉を教えてやろう。こういう時はな、『俺たちの戦いはこれからだ!』と言うんだ!」
C「はあ……」
B「ウェーイ! 連載打ち切り乙www」
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新作始めました。二作品あります。是非よろしくお願いします。
『鋼の精神を持つ男――になりたい!』 https://ncode.syosetu.com/n1634ho/ 月水金0時投稿予定。
『相棒はご先祖サマ!?』 https://ncode.syosetu.com/n1665ho/ 火木土0時投稿予定。




