ゼンカ城の庭
体育館での騒動やころ様に対しての土下座も終わり、私達は平和な学校生活を送るはずだった。
イソスがいなければ。
今、全校生徒は校舎から離れ外の通学路を歩いてる。
だけど、その景色は今までの物とはかけ離れ異様な雰囲気を現していた。
日本らしい和風な家も存在することなく、外にあるのは、洋風な建物ばかり。
それはまるでお城みたいでその周りに小細い道が延々と続いている。
私達はイソスの後ろを歩き目的のゼンカ城へと向かっていた。
「すごい、というより外変わりすぎでしょ」
「何を言ってますの、私から見たら愛花たちの学校のほうが不思議ですわよ。何もなかった場所に突然現れて」
「どうしてこんなことになったんだろう?」
「そんなの知りませんわ、よほど愛花の先祖が悪い人だったんでしょうね」
「そこ関係ないでしょ」
「あら、私の家ではそう考えられてきましたわよ。先祖も悪ければ現代も悪い、逆に先祖が良ければその家は幸せだと」
「それ本当に思ってるの?」
「ええ」
「めちゃくちゃだなー」
すると、イソスはくるりと振り返り私の顔をじっと見つめた。
「でも、今の愛花はそんな悪い人に見えませんわ」
イソスのきらきらのまなざし。
嫌な奴だと思っていたけど漫画通り案外良い人かも。
「デレた?」
「デレてませんわ。とにかく早くお城まで歩きますわよ」
「はーい」
私はそんなに急いで歩かなくてもとその時思った。
だが、イソスのその異様な速さは何かを物語ってるようであった。
ゼンカ城まであと少しというところ。
突然、イソスは足を止め、周りを警戒し始めた。
その瞬間周辺の建物は一斉に窓を閉める。
「えっ、何?」
「お見えになりましたわね」
そうイソスが言った瞬間突然風が吹いた。
そして、同時に銀色の花びらが舞う。
「いたっ」
その花びらの先はとてつもなく鋭く尖っており、触れた者は傷が付く感じであった。
「皆さん学校で説明した通りこの毛布を被ってください、そうすれば肌に傷が付きません」
そうだ、外に出る前、イソスから渡された毛布があった。
その布はどんな物でも傷が付かないという。
それを早く言ってよと私は心の中で思った。
全校生徒は毛布をかぶり、イソスの様子を見守った。
「ねぇ、一体何がどうなって」
この先のことが不安だ。
銀色の花びらが舞う風が止むとそこに銀色のドレスを着た女性が現れた。
とてつもなく鋭い目つきをしている。
「久しぶりですね、イソス」
「お姉様……」
「あなた、ゼンカ界で噂されていた異国の者を我が城に連れてきたのですね」
イソスは必死に私達をかばった。
「お姉様に関係ないことでは?」
「ふふ、この私に歯向かうとは、昔のお姉ちゃん子だったあなたを思い出すわ」
私はイソスに内緒話で会話を試みた。
「あの人がイソスのお姉さん?」
「ええ、ゼンカ城の周りを支配する涙の女王と呼ばれていますわ」
「どういうこと?」
「実際は花びらを涙のように散らして泣いている可哀そうな姉なんですの」
「泣いてるならイソスが支えてあげればいいのに、昔は仲良しだったんでしょ?」
とても嫌そうな表情でイソスは答える。
「誰があんな姉」
「あら?」
姉が言葉を詰めるとイソスは無言になった。
「誰がなんですって?」
「い、いえ、何でもありません」
「それはそうと、早く王妃に会ったほうがいいわよ。もうお母様を待たせるのはよしなさい」
くっ、と歯を食いしばるイソス。
「そんなこと言われなくても急いでますわ」
「あら、そう? だったらその怖い顔をどうにかしたほうがいいんじゃなくて?」
「誰のせいだと思ってますの」
「さあ、私にはよく分からないわ」
ちょんちょんとイソスの袖を突く。
「何ですの?」
「イソス、大丈夫? もうここは離れた方が」
私は提案をした。
このままいても誰1人良い気分はしないだろう。
「あら、あなた随分と妹を心配してるのね」
「大切な友達ですから、ねっ? イソス」
「え、ええ。これでお分かりになったでしょう? 私達は先を急ぎますので」
ここで会話を終わらせよう。
もちろん、身内ではない私達がいてもこのお姉さんに言われる言葉は気分が悪い。
私は先程のイソスの急ぎ足に付け足すように歩を進めた。




