勝者と敗者
「出来た!」
「出来ましたわ」
制限時間2分前、ひとみ様とイソス・フランティーは声を上げた。
やっと私を縛られていたこの拘束からさよなら出来る。
私は息をふぅと吐くと、それを見計らってか恋人である可憐が両手の縄を解いてくれた。
「お疲れ様」
「おつかれー、もうあのイソス・フランティーひどすぎるよ」
「そう? 私には楽しそうに見えたけど」
「それは目の錯覚、まやかしにすぎないよ」
がくっと疲れを取るため私は張っていた肩を下ろす。
「ふふふ、でも」
「でも?」
可憐は楽しそうに話してるイソス・フランティーを見つめ言った。
「私の大事な愛花が取られて少し悔しいかも」
「ないない、イソス・フランティーが私のこと好きなんて」
「そう、だよね」
「1番好きなのは可憐だけだよ」
「私も」
私と可憐が会話をしていると少し離れた所で絵の勝者と敗者が決まっていた。
勝ったのはもちろんひとみ様で、何故勝ったかというと私とイソス・フランティーの絵を描いたからであった。
そして、その絵も呪いかと思われるような悪魔らしい感じでそれを見た生徒誰もが悲鳴をあげていく。
私は見ないほうが吉と思った。
そういうイソス・フランティーの絵とはいうとへのへのもへじから髪を描き、胴体は棒線でそこからめちゃくちゃな洋服を現した感じになってる。
漫画で読んだ通り、何もかも下手なんだなっていうことが理解できた。
「さぁ、私が勝ったんだからあなたは全校生徒の前で土下座しなさい」
くっと顔にイソス・フランティーは力を入れる。
とても悔しそうだ。
「…いいでしょう、その代わりこの儀式が終わったらあなた達全員ゼンサ界の王妃に会ってもらいますわよ」
少し気になる。
ゼンサ界ってなんだ?
王妃って?
漫画にはそういうことなかった、ただ単にイソス・フランティーが女子生徒と恋をするラブコメ話しかなかったから私は予想も付かない出来事に出くわしていた。
「ゼンサ界?」
ひとみ様は首をかしげた。
「この国のことであり王妃である私のお母様があなた方に会いたがってるんですの」
「随分と大きい展開になってきたわね」
「私もそう思う」
ひとみ様に続いてころ様も同感する。
「なるべく早く会ってもらいたいですからさっさとその土下座とやらをしますわよ」
私はイソス・フランティーに近づいた。
「まずその前にみんなの名前を知ったほうがいいんじゃない? いつまでも私のことを小娘呼ばわりされたくないし」
「そうですわね、で、あなたの名前は何ですの?」
「根愛花、愛花って呼んで。それで隣にいるのが恋人である可憐」
「恋人?」
「そう、ボールを磨くのが好きな子で少しおかしいけどね」
むっと可憐は私に対して不満そうな表情をした。
「へぇ、あなたに恋人…」
「だから名前で呼んで」
「分かりましたわ、あなた…愛花」
「イソス・フランティー」
「んっ!? その呼び方はよくないですわね」
「じゃあ、なんて呼べばいいの?」
「イソスで良いですわよ」
「イソス?」
「ええ、その方が親しみがあるでしょう?」
「分かった! イソス!」
最大の笑顔をイソスに見せると本人は頬を赤く染め恥ずかしそうにしていた。
「何?」
「な、何でもありませんわ!」
「変なの」
私は首を傾げる。
だが、イソスの心の中は自分では理解出来ない異変を感じ取っていた。
体育館内に全校生徒が集まるとイソスはころ様に対して土下座をした。
その表情はとても屈辱そうで、いかにも怒り満杯な態度の仕方であった。
とてつもないオーラを何故か私だけが感じ取っていた。




