↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/159

第89話 琴音、家の写真投稿するのやめなさい

「……っ!!」


 せいちゃん宅にて続くリミット限界楽曲制作お泊まり会。

 ゴキブリ目覚ましによる起床をキメた天鬼りあはハツカネズミの座布団になってるスマホを手に取って何気なく自分のSNSアカウントを確認した…


 ……ら、荻窪はぁとからフォロー食らってた。


「しかも…………DMまで……っ!!」




 はじめまして。フォローさせて頂きました。

 TRY AGAINの荻窪はぁとと申します。

 路上ライブ拝見致しました。

 感動しました。

 これからデビューされるとか。頑張ってください。

 応援してます。

 沢山リポストさせて頂きますし、Y〇uTubeチャンネルとかも宣伝させてください。

 あと……琴音さんの事とか沢山知りたいです。

 メンバーだけの裏話とかもしあったら……

 あっごめんなさい。いきなり失礼でしたね。忘れてください。

 まずはお友達からはじめませんか?

 返信待ってます^^♡♡♡



「だ……ダシに使おうとしてる…!?琴音ちゃんに近づく為に!?!?」


 震える手からスマホがこぼれてハダカデバネズミが潰れた……


 もしかして……


「みんな!SNSアカウント見た!?」

「見た見た。見てよりあちゃん。私のフォロワー、一万人」

「すごいねせいちゃん。あと、部屋掃除した方がいいよ。ネズミがすごいよ?紗良ちゃんは見た?」

「見た見た。見てよこれ。フォロワーが6500人。琴音に勝っちゃったもんねー。がはは!!」

「……私9000人だよ?」

「は?」

「……ちょっと待ってよ。いくらなんでも急に増えすぎじゃない?」


 ドン引きするはーちゃんが異常事態に気づく。私にもその答えは察しが付いてた。そしてもう一人…


「答えはこれよ」


 我らがリーダー、万理華さんが見せてきたのは問題のねっちょり系、荻窪はぁとのSNSアカウント。

 そのホームには大量にリポストされた私達の投稿が並んでた。

 んで、間に挟まるのは……



 ぽいずんちゃん♡ちゅき♡


 ぽいずんちゃん改め琴音ちゃん♡ちゅき♡


 歯ブラシお揃いのにしたよ♡


 ちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅきちゅき

























 …琴音ちゃんのお風呂の残り湯、飲みたいな♡




「うぎゃあ!?!?」


 紗良ちゃんがひっくり返ってアフリカチビネズミをお尻で潰しちゃった…


「琴音ちゃん?ダメだよ…歯ブラシなんて投稿しちゃ…」

「いやしてねぇって…」

「この画像かな?端っこに洗面台が写ってるけど…ここに歯ブラシ写ってる…」


 はーちゃんと琴音ちゃんが顔を見合せて青くなって、一拍置いて足下からブルルッて体を震わせる。

 それくらいのインパクトがあった。


「琴音、家の写真投稿するのやめなさい」


 万理華さんがかつてない程真剣な顔で琴音ちゃんに厳重注意だ。

 それくらいのインパクトがあった。


「…これは…りあの言った事も案外大袈裟じゃない…かも?」

「そうでしょ!?万理華さん!!この人ヤバいよ!!あとさ!みんなのところにフォローとDM行ってない!?」


 みんなが一斉にスマホを見た。その目は動揺と恐怖に揺れている。琴音ちゃんはフォローされてるとして…残りのメンバーは……


「されてる…(汗)」

「なんで?」

「なんかすごい長文のDM来てんだけど!?怖っ!!まさか箱推しか!?」

「…私にも……(汗)」


 やっぱり…


「琴音ちゃんの秘密のお話聞きたいって書いてるよ」

「ねーよ秘密のお話なんて!?ないよね!?はーちゃん!!なんか怖くなってきたんだけど!!」

「琴音、あんたのところにDMは?」


 訊かれて自分のスマホを確認した琴音ちゃんはキョトンとした顔で万理華さんとスマホを交互に見る。

 頭にカイロトゲマウスが乗ってたけどそれどころじゃなかった。


「来てないよ?」

「えぇ…」


 困惑する万理華さんに紗良ちゃんがポンって手を叩いて「わかったぞっ!」ってふざけた顔をしたよ。いや、ふざけた顔なのは元々か…


「本人に話しかける勇気は無いんだ!つまり陰キャだ陰キャ。だから周りに絡んだり本人の見そうなところで構ってちゃんアピールしてる湿度高めの陰キャストーカーだ。良かったな琴音」

「何がいいんだよ!余計怖いわ!!私これ刺されないよね!?」

「目刺されたら二人で独眼竜ユニット組もうな?」

「組まねぇよ!一人でやってろ!!」


 狭いアパートの中でわちゃわちゃやってたら…玄関の扉が開い…じゃなくて音を立てて倒れた。

 やって来たのは風呂敷担いだ星熊さんだった。


「みなさん、聞いてください。とうとうテナント代払えなくなって事務所を追い出されました。ので、ここを今日から仮事務所にさせてください」

「そんな事より星熊、かくかくしかじかなのよ…」

「夏祭さん…かくかくしかじかでは分かりません」


 分からないらしいけど一から説明するとダレるのでここはかくかくしかじかで…


「なるほど…」

「事務所として対策した方がいいんじゃないかしら?」

「でも夏祭さん、その人が宣伝してくれてるおかげでバズってるんですよね?良くないですか?別に」

「何呑気な事言ってんのよ…風呂の残り湯狙われてんのよ…?」

「だって琴音さんには直接絡んできてないんでしょ?」

「フォローはされてんのよ」

「鏑木さん、相互フォローしといてください」


 駄目だこいつ…早くなんとかしないと…


「そんな事より楽曲の進捗はどうですか?」


 ねっちょり系ストーカーという現実逃避に浸ってた私達はその一言であっという間に現実…この六畳一間に散乱した脈絡のない単語ばかりが書き殴られた歌詞アイディアノートを突きつけられた。


 もう時間は残されてない……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。