第45話 愛してる♡
「…冷静になれよ。琴音がへそ出し乳だし肩出し脚出し衣装なんて着てステージに上がってみろよ…私らはいいよ?うん。私らと並ばされる琴音の気持ち、考えた事ある?」
「なんでだよいいだろ別に!どういう意味だ紗良!!」
「…逆に琴音ちゃんの衣装に合わせたら全員幼稚園児スタイルになるんだよ?」
「だからなんでだよ!おい星羅!!私だってセクシーな服着れるだろ!!」
「…僕は全然いいよ?幼稚園児スタイル」
「はぁぁちゃぁぁんっ(涙)擁護して!?私をロリ枠に押し込めないでっ!!」
「…でも琴音ちゃんが露出過多だと流石にコンプライアンスが……」
「だから!!私はロリじゃないっ!!りあ!張り倒すぞ!!」
「じゃあウチらはセクシーな服着てセクシーなダンス踊って琴音だけ幼稚園児スタイルで阿波踊りとか……どや!?」
「どや!?じゃねぇよ!!なんで幼稚園児スタイルで阿波踊りなんだよ!!お前の地元ではそれが普通なんか!?朋花ぁ!!」
「かわええやん。園児が夏祭りで阿波踊りしとったら……!!」
「夏祭りじゃねぇアイドルやってんだよ!!」
「……どうすんのよ」
私達の目指すアイドルの方向性…
カワイイ系とカッコイイ系で完全に意見が分裂して、争点は稀代の天使、琴音ちゃんに絞られた…
「……琴音、お前もう脱退しろ」
「紗良ぁぁぁっ!!!!」
ケラケラ笑う紗良ちゃんと琴音ちゃんが掴み合ってじゃれ合ってる。琴音ちゃんを揶揄うのが楽しくて仕方ないって紗良さんの顔を見てたら、こんなやり取りにも思わずほっこりしちゃう。
「ついでにモッコリしちゃうよ」
「なにがや!?」
「このままじゃ埒が明かないわね」
我らがリーダー、万理華さんがため息と共に取っ組み合う二人を引き離して手を叩く。
「はい注目……まぁみんなやりたい事は違うっぽいけど……グループとしての方向性は決めた方がいい。ここは遺恨が残らないようにゲームで決めましょう」
「万理華ちゃん、遊びたいだけだよね?」
「違うわよ陽。息抜きとY〇uTube用動画の撮れ高を考えての結論よ。それにこれが一番白黒ハッキリするでしょ?」
「ゲームは?何すんの?」
決まってるよせいちゃぁん♡
「ヌルヌルローションまみれのツイスター「愛してるゲームで」
えぇー。万理華さん……
「天鬼お前…今何言おうとしたん!?」
愛してるゲームとは。
ペアになって交互に「愛してる」って言っていく。先に照れた方の負け。言う方も言われる方も鋼の精神で耐えなきゃいけない。まさに究極のメンタル勝負。
そして百合を尊ぶ私にとってはただのご褒美…
言われて嬉しいんじゃない。言われて「えへへへ///」って照れてる美少女を眺めるのが至高。
「でゅふふふふふっ」
「りあちゃん始まる前から照れちゃってるよ?」
「これは照れてんじゃないよぉ?コーフンしてるの♡いくよ?はーちゃん♡」
ジャッジは万理華さん。
初戦は天鬼りあVS一陽。
「勝ち残りトーナメント制で優勝者の希望するグループの方向性で決定ね。じゃあいくわよ。じゃんけんで勝った方が先行ね」
先行ははーちゃんだ。
「かーんっ」
せいちゃんが口でゴングを鳴らして、仁義なき戦いの幕が上がる。この戦いで琴音ちゃんの運命が決まる。
はーちゃんが至近距離から目を合わせてくる。黒色の瞳がキラキラ輝いてて、優しげな眼に包み込まれる。この包容力がはーちゃんの魅力だ。
肌白…きれーだなぁ……じゅるっ。
「…りあちゃん、愛してる」
「……(ピクピク)」
なんてあっさり……恐ろしい子っ!!
「……りあちゃんの番だね(ヒクヒク)」
「口元がにやけてない?」
「にやけてないよ?ニヤケテナイニヤケテナイ」
…では。
はーちゃんを見つめながら吐息を感じる距離まで密着。この時点ではーちゃんの動揺が息遣いに表れてるけど、その上で私は耳元まで口を持って行って……
「愛してるよ」
「ふぁぁぁぁんっ///」
「かんかんかんかーん。りあちゃんの勝ちー」
「やったぁ」
はーちゃんが床に倒れてプルプル震えてた。
そして残ったメンバーはその光景に戦慄。万理華さんが体を抱いてくねらせながら一言。
「あなたの声で耳元は……ずるい……っ///」
2戦目は琴音ちゃんと紗良ちゃんだったけど…
「愛してる♡琴音♡」
「……ア、アイシテル」
「私の方がもーっと、愛してる♡」
「…………ワタシモ…モットアイシテル…(プルプル)」
「ん〜〜♡愛してるぅ♡こーとちゃん♡」
「なんかっ!?ムカつくんですけど!?!?」
照れ隠しなのかな?可愛いね。琴音ちゃん敗退。
3戦目は朋花ちゃんとせいちゃんだけど…
「愛してるぅぅぅ…ぶちゅぅぅぅぅっ」
「いぃぃやぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
キスしようとしたせいちゃんは反則負け。
「あ、私はシードだから」
奇数人数故余った万理華さんはなぜか偉そうだったよ。
……さて。勝ち残った私と紗良ちゃんと朋花ちゃんだけど…
「……愛してるよ紗良ちゃぁん」
「おっ……ふぅっ……っっ(ブルブル)」
勝負にならなかった。
私の特別な声。その破壊力は相当らしくて耳元で一言囁けばそれだけで敵は溶けた。もう面白いくらい腰砕けだった。
……私の囁きを前にビクンビクンしながら崩れ落ちる乙女達の姿になんか…よくない欲望が湧き上がってくるのを感じたよ。
「ASMRはずるいやろ!?」
「朋花ちゃぁぁん♡」
「やめろ!?寄るな!!ウチは……っ!!」
「ふぅーーーー……っ」
「あんっ♡!?」
「愛してる♡」
「あぁぁんっ♡!?!?」
やはり話にならなかった……
「あとは万理華ちゃんだね。りあちゃんやっちゃって!!」
「万理華ちゃん……すんごいから……///」
天鬼りあASMR敗北者の会、紗良ちゃんとはーちゃんに拘束された万理華さんとの一騎打ち。
自らシードを名乗り出るくらいだしこのゲームを提案した張本人だし絶対強いはず。
「んっんんっ!……いくよぉ…万理華さん」
「きっ!来なさいっ!!///」
「……万理華さん。愛してるよぉ」
「(ピクピクピク)///」
「かんかんかんかーんっ!!優勝はりあちゃんでーすっ!!おめでとぉ!!」
「やったあ。ありがとうせいちゃん」
なんか目覚めそう。これ楽しい。
「……ねーねー。そんなにすごいん?りあちゃんのASMR」
「気になるの?せいちゃん」
「……(ゴクリ)」
「……いいよぉ…♡」
そこからは酒池肉林だったよ。
「すーき♡すーき♡」
「ああっ///」
「リア……マッテ……」
「ことちゃ〜ん♡恥ずかしがらなくていいんだよぉ?ほら。ふーっ」
「(ブルブルブル)」
「ことちゃんだぁい好き♡」
「アッ///」
「……あの、りあ…おかわりいい?///」
「万理華!?どないしたんや!?」
「いいよぉ♡朋花ちゃんも♡」
「いやウチは要らん!!なんかおかしいであんた!?落ち着けやっ!!」
「でゅふふふふっ。両手に花だぁ♡か〜ら〜の♡」
「いややて!!それ!なんか頭フワフワして……嫌やねんっ!!///もうややねん!!」
「す………………きっ」
「ああああぁぁぁっ///」
みんなあんまりエロ…じゃなくていい反応するもんだからつい熱が入っちゃって……
「好き♡」
「あぁ〜〜っ。耳奥クるぅ///」
「好き好き好き好き好き好き好き好き好きだぁ〜い好き♡」
「お゛っ!?♡」
「ふーーーっふーーーっすぅき♡ふぅーーっ」
「あぁぁ〜〜〜〜〜///」
「それぇ。さわさわしちゃうよ?」
「ソレチガウ……ソレジャナイ……」
「分かってるよぉ。こっちだよね?そーれ…すぅぅぅきっ♡ふーーーっ」
「んぁぁぁ///耳奥ゾワゾワしゅるぅ///」
……私、セクハラは好きみたいだ。
『あぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!///』
「……なに…やってるんですか?(ドン引き)」
その夜の宴は本来の目的も忘れて…床に倒れ伏したみんながビクンビクンしてるのを星熊さんが見つけるまで続いた。




