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第16話 改めまして、百合の定義とは?

 おはようございます、天鬼りあです。


 改めまして、百合の定義とは?


 唐突ですけど…百合に大切なのって、なんだと思いますか?

 百合とは即ち女性同士の友情や愛情といった濃密な関係を尊ぶコンテンツなわけなんですが…

 まぁ私はその中でも恋愛感情があった方がてぇてぇになるGL寄りの百合女子なんですが……

 まあそれはいいとして……


 やっぱり、女の子同士のストーリーとか……そーいうのが大事なんですよね?


 ただ女の子同士がイチャついてればいいのかと?違う。そこに至るまでの過程……日常の一コマだったりとか、二人の距離感が縮まっていく過程とか、二人の深い絆とか愛情を感じ取れる何かとかそーいうのがあって初めて百合はてぇてぇんだよ!!


 今まで私、露天風呂で鼻血出したりしてたけどさ……

 昨日まで喜んでたのは『雑な百合』なんだよね。

 あれは百合にてぇてぇしたというより女体にてぇてぇしてました。はい。


 私がこのユニット、ひいてはアイドル世界に求める百合って、もっと高尚な百合なんですよっ!!はいっ!!!!過程が欲しいの過程がっ!!てぇてくなってく過程を見せて!!



 ……なのでみんなにはもっと仲良くなって欲しいんですね。



「……おはようございます(汗)」

「星熊マネージャー、ちょっと話があります」


 かつてない美少女、美女集団の中に放り込まれて獣欲に呑まれてた私だけど、昨夜の星熊さんとの会話で原点に立ち戻る。


 紗良さんが暴露したアイドル合宿の目的……とされていたのは実は誤解で、7人中二人は脱落する、なんて事は……

 決まってないらしいけど7人中6人脱落する事もあるかもよ?って事で…


 星熊さん曰く……

 女の子達がひとつのグループでアイドル活動していくのは、大変なんだって。言い方的に、人間関係の事で間違いない。

 この合宿は私達7人がチームとして纏まれるかを見る為の合宿だった。


 つまり私達は仲良くならないといけない。


 そこで一晩考えたの。


「今のままでいいと思いますか?」

「え?……何がですか?」


 私の気迫に押されたか、星熊さん珍しく狼狽えたような表情と喋り方と距離の取り方。


「私、このままじゃダメだと思うんです…Y〇uTube」

「は?……Y〇uTube?」

「この合宿風景をY〇uTubeに投稿するって話です」

「……ああ」

「思い出してくださいよ。この二日間…どこを取っても……私達ギスギスしてて…これじゃ新ユニット宣伝用の動画として成立しないと思うんです」

「……そうですか…」

「コンテンツとして成立させる為に必要な要素を考えました」

「……はぁ」

「エンタメです」





 朝、食堂に集まったメンバー間の空気は相変わらずどこか張り詰めた感じ。

 万理華さんは責任感に顔を固くし、紗良さんは狡猾な視線を走らせ、陽さんは昨夜の事を考えてるのか浮かない顔つき…


「……オハヨウ」


 で、琴音ちゃんのマスクは虎からフラミンゴに変わってた。多分昨日ご飯で汚しちゃったからかな?


 そんなみんなの前でカメラが回る。


「今日は皆さんにNGワードゲームをしてもらいます」


 星熊さんがデスゲームの開始を宣言するみたいに伝える。それを受けて私以外のメンバーも、デスゲーム開始を宣言されたみたいな顔をした。


「え?なんで?」


 万理華さんが怪訝そうな顔をしながら目の前に配られる紙を見つめる。伏せられた紙にはそれぞれお題となる単語が書かれてるんだ。何が書かれてるかは知らない。星熊さんが用意したから。


「天鬼さんからのリクエストです」


 みんなが私を見る。万理華さんが朝食もまだなテーブルの上で肘をついて「あのさぁ」と今にも面倒臭いと言い出しそうな気配…


「これもY〇uTubeに流しますんで」


 ただ星熊さんのその一言で場のみんなは何かを察したらしく、万理華さんもそれ以上は何も言わなかったよ。


「……エヌジーワードゲームッテナニ?」


 NGワードゲームとは〜♪

 それぞれが自分のお題となるNGワードを選びおでこにくっ付け相手に見せます。この時自分はそのNGワードの内容を見てはいけません。

 相手にNGワードを見せた状態で会話して、いかに相手にNGワードを言わせ、自分は相手の誘導を回避して自分のNGワードを避けるか、という手に汗握る究極の心理戦だよ♪


 ゲームを通じて少しでもみんなの仲を縮める。

 そして彼女らはてぇてぇ百合カップルへと成長していく。その過程も含めててぇてぇして私は尊死する。

 そんな思惑が私の中に渦巻いてます。


 まぁやってみよう。



 それぞれがランダムなNGワードを選んでおでこに貼っつけた。当然みんな自分のNGワードは知らないわけで…


「…ってゲームだよ、分かった?琴音ちゃん」

「……ウン」


 陽さんから説明を受けながら頷く琴音ちゃんのフラミンゴ頭には『変態』の文字が……

 そして陽さんは『外道』

 万理華さんは『逆流性食道炎』

 紗良さんは『うんこ』

 朋花さんは『敗北者』


 どうしてこのワードにしたんだろって面子だね。


 さて…正体不明の爆弾を抱えて乙女達の心理戦が幕を開けるよ。カーンって。


「早速だけど琴音ちゃんってさ、友達とかから何て言われる?」


 早速蛇のように滑り出したのは紗良さんだ。狡猾な眼光を光らせながら琴音ちゃんをターゲットにした。


「……トモダチトカイナイ」


 けど、返ってきたのは悲しすぎる返答…


「……琴音ちゃんさぁ、そのマスク、外に出る時とかずっと付けてんの?」

「……ソモソモソトデナイ」

「じゃあさー、琴音ちゃんが外歩いてて、自分の前から動物のマスク被った変な人が歩いてきたらその人の事、どう思う?」

「……マスクノデザインニヨルカナ」

「ちなみにフラミンゴだったら?」


 横から質問を重ねてくる陽さんに琴音ちゃんは一言。


「カッコイ……アッ…ソレガワタシノエヌジーワードダナッ」


 何かに気づいたように体をぴくんっと震わせて「アブナイアブナイ」と周囲を警戒する鳥頭。確かに……街でこれと遭遇したら変態だった。


「モウワカッチャッタモンネ…イワナイヨ?アレ?コノバアイゲームハ…?」

「大丈夫だよ琴音ちゃん、『かっこいい』じゃないから」


 陽さんの容赦ない指摘は暗に「お前のマスクは別にかっこよくない」って言ってるようなもの…


「てかそれ、かっこいい思て被っとったんやな!!」

「紗良、私達にも話振ってよ」


 万理華さんに言われて紗良さんは彼女を一瞥し…


「……万理華さんは歳とったらそれ、なりそうなイメージ」

「え?」


 歳とったら逆流性食道炎になりそうなイメージってどんなイメージなのかイメージ湧かない。もはやただの悪口じゃん。


「じゃあ、ウチのNGワードのヒント言うてや!!」


 次にトークを引っ張るのは朋花さんだ。朋花さんのキラキラした目が私達を一周する。

 朋花さんのNGワード『敗北者』…そうだなぁ…


「朋花さん、かな?」

「え?ヒントがウチ!?」


 私の出したヒントに紗良さんが乗った。


「そーいえば前はお笑い芸人だったんだよね〜?」

「せやねん!!吉原新喜劇の桜太夫言うたら、聞いた事くらいあるやろ!?」

「どうして辞めたの?」


 万理華さんも詰めにかかる。


「そら……なんや……あれや!!な!?天鬼!!」


 曖昧な苦笑を返す私に二人は「あ〜」って顔をした。そして紗良さんの意地悪な目が光る。


「まぁつまり芽が出ず……って事か…」

「おい、何言うてくれてんねん!!」

「芸能界は厳しい世界だよね……つまり、朋花さんが本当になりたかったのはお笑い芸人って事だよね?」

「……まぁ……ウチにはお笑いしかあらへん思っとったし……その気持ちは……!!」


 朋花さん、やっぱりまだ完全には吹っ切れてないのかな?なんか……残酷なヒント出しちゃった!!


「でも諦めちゃったわけか……」

「紗良、さっきからなんやねん!?ところでウチ今朝快便やってんけど!?」

「朋花さん、私からも朋花さんのNGワードのヒント」

「へ!?」

「白ひげ」

「………………?…………っ!?だっ…!?誰が『敗北者』じゃボケェ!!??」

「ちょっと!?そのネタは危ういわよ!?」

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