第166話 姉は大の男嫌いで昔は男を引っかけておち〇ちんを…(自主規制)
新宿に僕は居た。目的は人に会う為だ。
耳に入れたカナル型イヤホンからは先日リリースされたばかりの『FOOLS』のファーストシングルがリピート再生されている。
やはりレベルが高い。特に錦野星羅。こんな子が今までどこで燻っていたのか…
早くも地上波デビューするって話だし…彼女達の成長速度に危機感を抱いている。
日本のトップアイドルとしての立場が、いつか脅かされるんじゃなかろうかと…
「あの…もしかして白石レオさん?」「『TRY AGAIN』の…」
おやおや…
「もしかして、僕のファン?」
「やっぱりっ///」「かっこいい///」
「ありがとう。君達はかわいいね」
「きゃーっ!!」「あのっ!!一緒に写真いいですか!?」
「もちろん。僕の姫のお願いを断るわけないじゃないか…ところで。写真もいいけど君達…この後暇?実は…」
「なにしてるんですか?」
場所を移して落ち着いた雰囲気の喫茶店に入った。待ち人が来たからだ。
「炎上しますよ?」
ドン引きしながら僕に苦言を呈するのは、今破竹の勢いで飛ぶ鳥を叩き落してる『FOOLS』の一陽君だ。
一という苗字は全国に370人しか居ないレア苗字だそうだ。今日は髪を後ろで結んでる。チョンッて出てる短い尻尾はかわいいけど地毛は復活したのだろうか…?
「かわいいね」
「僕を口説かないでください」
「つれないな…君の方から連絡してくれたのに…」
「お忙しい中申し訳ございません」
「今日は…期待していいのかな?」
「なにを…?(震)」
「この前の続きさ」
「(ドン引き)」
このどう見ても美少女な彼女は実は彼女じゃないんだ。付いてるんだ。以前僕はラブホで女の子だと思っていた彼の股間にチン座してるモノに驚いて不覚を取った。
しかし一度唾を付けた獲物という事でリベンジに燃えている。僕は男でも女でも構わない。
「今日はその為に僕を呼んだんだろう?」
「違います」
違うらしい。
彼は何やら言いにくそうに口をもしょもしょさせて(しゃぶりつきたい)なかなか本題に入ろうとしない。
…まったく困った子ウサギちゃんだ。
「…ここでは言いにくい話かい?」
「いや……」
「ホテル、行こうか?」
「あっ話しますね?」
視線を合わせようとしないまま彼は話し始めた。ちなみに僕はガン見してた。
「じーっ」
「…僕の姉についての相談なんです」
「……ほう(じーっ)」
「……実は、姉が行方不明なんです」
「……そのリップは…何を使ってるんだい?」
「真面目に聞く気ないなら結構です」
「聞く聞く聞く」
どうやら彼の姉はアイドルを目指して家を出たらしい。が、その後どこで何をしてるのか消息が掴めないという。
一陽はそんな姉が芸能界に居ると信じて、姉を探す為に性別を偽ってまでアイドルになったんだとか…
「母は…姉が居なくなった心労でおかしくなって…」
「それは大変だったね…ところで、アイドルと言っても何も女性アイドルユニットに入らなくてもよかったんじゃないのかい?」
「姉は男には興味ないんです」
「……?」
「姉は大の男嫌いで昔は男を引っかけておち〇ちんを…(自主規制)」
……
「…だから、女性アイドルになるしかなかったんです。じゃなきゃ、姉は僕に気づいてくれないだろうから…」
「……それは…大変だね(汗)」
「でも…最近はアイドルも楽しいんです」
彼は少し恥ずかしそうにしながらはにかんだ。
素敵な笑顔だった。
「みんなとステージで歌ったりも楽しいんですけど…みんなと一緒に居るだけで…」
いい顔をするな。
この世界から消えていく数多のタレント達と、生き残っていく子達の差はこの顔ができるか否かだろう。
『FOOLS』はすごくいいユニットなんだな。
「それで?どうして僕にそんな話を?」
「……芸能界に入ってからずっと探してるんです。でも、手掛かりがなくて…」
「うん」
「白石さんはトップアイドルだから…芸能界でも顔が広いんじゃないかと…」
「なるほど」
確かに業界に知り合いは多いけど…
「他に頼める人もいなくて…」
正直そんな相談をされても困ってしまう。けど、深刻そうな彼の顔を見ていたらこのまま突っぱねるのもかわいそうな気がしてくる。
「…難しいね。そもそも、君のお姉さんがホントに芸能界に居るのかも分からないんだろ?」
「きっと居ます」
「でも…無事にアイドルになれたんなら連絡くらい寄越すでしょ?」
「姉は変わってるんです」
「話を聞くにそうみたいだね」
というか危険人物…
「アイドルじゃなくてもどこかの芸能事務の社員とか…」
「……うーん」
「姉は何をするにも器用な人で……姉が自分でやると決めた事をやり遂げられなかった事なんてないから」
「うーん」
「力を貸してください」
……
「条件がある」
悩みに悩んだ末、僕は彼に一つ条件を付ける事にした。
「……なんか嫌な予感がしますけど…はい」
「君のお姉さんを探すのを手伝う代わりに…」
「……(ゴクリ)」
「……僕に抱かれてくれないか?」
待ってくれ。席を立たないでくれ。
「待ちたまえ」
「すみません他当たります」
「あてなんてないだろう?」
「自分で探します」
「待ってくれ。その反応は傷つく。そんなに嫌かい?悪い話じゃないと思うんだけど」
「なんですか?僕の事好きなんですか?」
……
「…好きとか嫌いとか考えながらベッドに入った事ないな」
「じゃあなんなんですか?」
「ムラムラしてるんだ」
「(ドン引き)」
「自分で言うのもなんだけど…僕と一晩、これってすごく素敵な事じゃないかい?」
「ぜんぜん」
「上手いよ?軽く千人は喰ってきたからね」
「さようなら」
「待ってくれ!!もしかしてアレか!?君の性自認は女で、女の子は恋愛対象外とか…」
「離してください」
「いいのかい?僕の協力なしでお姉さんを見つけられるのかい?」
立ち去ろうとする陽君の足が止まる。ちなみに僕は今そんな彼の足にしがみついてる。
蔑むような陽君の眼差しが降り注ぐ。
「こう見えて、顔は広いよ」
「……」
「君の力だけで見つけられるならそうすればいいが…無理だから僕に会いに来たんだろう?君に選択肢はないはずだ」
「……」
「お母さんを安心させなきゃいけないだろう?」
「……(この人なんでこんなに必死なんだ?)」
「芸能界は広い。アイドルだって地下も入れれば千は下らないんだよ?君は一人の力で見つけられるのかい?」
「……」
揺れてるな。いける。
「何かを得るためには何かを差し出さないといけないんだよ?」
「……」
「お姉さんと貞操、どっちが大事なんだい?」
「……」
「約束しよう。君のお姉さんを見つけ出して、君を天国に誘うと」
「……」
「僕のテクは凄いんだから」
揺れる瞳が閉じられ、覚悟を決めた顔になった。僕は勝利を確信した。
頬を赤らめるたまらん顔で陽君は言った。
「……条件があります」
「聞こう」
「…報酬は姉が見つかったら、です」
「……いいだろう」
勝った。
この白石レオ、一度目を付けた獲物を逃がした事はない。全て喰ってきた。
一度一緒にラブホに入ったこの男を逃がすわけにはいかないんだ。
「任せてくれ。お姉さんも、エッチも」
「エッチはどうでもいいです」
「それで、お姉さんの名前はなんていうんだい?」
「はい…上から……」
上?
「松子、竹子、梅子です」
「三人も居るのかい!?」




