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第152話 絶対向いてないで自分ら!!

「いっけな~い。遅刻遅刻ぅ」


 こんにちは。天鬼りあです。


 琴音ちゃんとはぁとちゃんのデートがてぇてぇ過ぎて大気圏まで吹っ飛んでたらレッスンに遅刻しちゃったぁ。

 …まぁ慌ててもしょうがないので、スタジオ近くのマキシマムナルドに駆け込んでスムージーでも買ってから行こうかなぁ。

 水分、大事。


「ってあれ?星熊さんだぁ」


 店内のイートンコーナーに星熊さんが座ってた。一緒に居るのは…誰だろう。見た事ある気がするけど…

 あっ、思い出した。うちの社長……


「お前、うち辞めろ」


 !?


 ********************


「あっかーん!!遅刻や遅刻!!」


 みんな久しぶりやな!!覚えとる!?ウチや!!桜朋花や!!


 今日バイトやってんけど寝坊してしもて、今全力ダッシュしてんねん!!ちゃんと起きれるように目覚ましかけとってんけど午前と午後間違えてもうたわ!!


「あかんあかん…初日やのに22時間も遅刻してもうたわ…!!ほんまは起きてすぐ走ったら1時間の遅刻で済んでんねんけど…お詫びの菓子折り選ぶのに時間かかってもうたわっ!!見栄張って京都まで買いに行くんやなかったわ!!」


 これでバイトクビになったら洒落ならへん……!!もう生活費ないねん!!


 バイト先のマキシマムナルドに滑り込んだら……なんや見た事ある顔が……!!


「……桜さん?」

「あっ!店長すんません!!遅刻してもうて……!!」

「あなたのシフトは昨日よ?」

「すんません!!京都で信玄餅買うてきたんで…許して!!」

「なんで京都行って信玄餅なの?あなたもう来なくていいわ」


 がーーーん!!


 ********************


「誰かと思ったら朋花ちゃんじゃん。久しぶりぃ。ここでバイトしてたんだぁ」

「してへんねん!!いまクビになってん!!」


 こんにちは。POPプロダクションのマネージャーだった星熊です。


「で?あんた誰や!?」

「お前が桜太夫か…私はPOPプロダクションの社長だ。お前もアイドルにならないか?アイドルにならないなら殺す」

「ならへん!!てか芸人志望のウチより先にボケるんやめてな!?」


 なんですか?これは…


「天鬼さん。早くレッスン行ってください。あなたセンターなんですよ?」

「えっ!?天鬼センターなん!?」

「星熊さん…それより……話、聞こえちゃったんですけどぉ」

「……」

「会社辞めちゃうんですか?」

「え!?なんでやねん!?」


 ……聞かれてしまいましたか。

 頭が痛くなってきた私を指差しながら私の社長だった人が説明します。


「うん。こいつ辞めるって」

「そんな…どうして?お給料ないからですか?」

「方向性の不一致」

「なんかアイドルみたいな理由やな!!」


 まぁもう決まった事です……


「そういう訳なのでお世話になりました」

「こちらこそぉ」

「再就職頑張んねんで!?」

「え?あっさりしすぎでは?引き留めたりはないんですか?」

「星熊さんが決める事なので」

「ウチは関係あらへんしな!!」


 ……


「お前らそれはあんまりじゃないか?」


 どうして私は私をクビにした社長《ひと》に同情されてるんでしょうか?


「どうする?朋花ちゃん。一応何があったか訊く?」

「せやけど読者は何があったかもう知ってんねんやろ?また同じ話すんのダレへん!?」


 ……


「…じゃあ、かくかくしかじかで説明するので…」


 かくかくしかじか…


 時短で説明を終えると桜さんが「あかんわ!!」とリアクションしました。


「社員一人しか居らへんのにタレントばっか増やしてどないすんねん!!」

「でしょう?」

「経営の素人がっ!!社員増やす為に業績上げなきゃいけないんだよ!!その為の戦力が必要だろーが!!」


 経営の素人がなんか喚いてます。


「黙ってください社長。大体会社の経営がこんなに傾いたの誰のせいですか?」

「あぁん?星熊。私のせいだって言いたいんか?(怒)」

「はい」

「喧嘩しないで下さいよ」


 天鬼さんに宥められてヒートアップしかけた言い合いは落ち着きます。

 …が、私の心中は鉛のように重いまま…

 売り言葉に買い言葉で出てしまった言葉の数々…ですが今更取り消せません。


「……なぁなぁ。そもそもあんたらなんで芸能事務所なんて作ろ思たん!?」


 桜さんが問いかけます。


「絶対向いてないで自分ら!!」

「「あ?(怒)」」

「二人とも元々アイドルだったんですよね?」


 天鬼さんの言葉に随分懐かしい思い出が蘇りました。


「……まぁ」


 社長がバツが悪そうに肯定します。


「引退して、今度はアイドル育てようって事務所作ったん?なんやありきたりやな!!」

「ありきたりとか言わないでください。色々あったんです」


 私の一言に二人の目の色が変わった気がしました。明らかに興味を持っています。


 ……過去編に入れという作者《かみ》の声が聞こえる気がしますね…


「…話しませんよ?面白い話でもないですし…」

「えー」

「いけず言わんと話してや!!バイトないなって暇やねん!!」


 ……


「星熊、退職前の土産に話してやれ」

「……命令しないでくれます?元社長(怒)」

「あ?(怒)」

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