第148話 そっスね先輩
前回のあらすじ!!
琴音ちゃんとはぁとちゃんがデートする事になった!!
てぇてぇ観測隊の私、天鬼りあと錦野星羅は後を尾ける!!
こんな時に突然せいちゃんが次の新曲お前センターな?って言ってきて今までの練習全部無にして来た!!
以上!!
『現在記録的寒波の影響で東京はマイナス20度を下回りました。皆さん、危険なので不要不急の外出は控えてください』
……らしい。
琴音ちゃんとはぁとちゃんがビックフットマスク(防寒対策)でハンバーガーショップから出てきた時には、路上に積もった雪とせいちゃんは凍ってた。
「……(コチーン)」
「せっ…せいちゃぁぁっぁんっ!!」
…さて。
「さっむっ!!氷河期じゃんっ!!」
「…でも、琴音様のくれたビックフットのおかげで温かいです。へへ…」
「おい嘘つけ。マイナス20度だぞ!?」
くそぅ。私の完璧なねっちょりデートプランがこの寒波のせいで台無しに…
二人ともこの後どこ行くんだろ…?
「……帰るか」
!?
まだハンバーガー食べただけだよぉ!?
琴音ちゃんの暴挙に流石にはぁとちゃんもびっくり顔だよ。こんなデートないよ。
「……もう…帰っちゃうんですか?」
「いや当たり前だろ。そもそも外出る天気じゃない」
「……そうですね。マイナス20度っスもんね。琴音様が風邪でも引いたら私、切腹モノですしね…」
「様やめてね?」
「琴音様、今日は自分なんかの為にお時間取らせて申し訳ございませんでした」
「いや…謝るのこっちだね。うちのバカヤロウ共がホントごめん」
はわわわわ…ヤバい。マジでお開きの流れじゃんっ!!
折角距離縮まってきたのにっ!!これからてぇてぇなのに!!
「いやーまじ寒いっスね先輩」
「寒いな後輩」
「パネェっス先輩」
「パネェな後輩」
はっ!?あんなところに野生の新宿区民が!!
私に目をつけられた野生の新宿区民二人もまた、冷凍せいちゃん担いだ私と目を合わせた。
「……先輩こんな日に人歩いてるっス」
「歩いてるな後輩」
……使えるかな。
「あのー…そちらのお二人、ちょっと……」
「?」「?」
……このまま帰すわけにはいかないっ!!
「電車動いてますかね?琴音様」
「動いてるわけないじゃん。星羅呼ぶよ」
「なんかすみません」
「だからこっちがすみませんだから…」
凍り付いたアスファルトの上を慎重に歩く二人。
その二人の前方から歩いてきた野生の新宿区民二名。こんな殺人級の寒波の中人が出歩いてる光景に、人の事言えないのに二人が怪訝な顔した…気がする。顔ビックフッドだから分かんないけど。
……まぁ仕込みだからそのまま通り過ぎるなんて訳なくて……
「あっ!!危ない先輩っ!!」
「後輩っ!!」
つるっ☆
すれ違う瞬間に狙いすましたようにすっコケた先輩の手には某コーヒー店のアイスティーが…
ばしゃっ!!
「あっ!琴音様大丈…」
パキパキ…
「うわぁぁぁぁぁっ!!あまりの寒さに服にかかったドリンクが凍って…っ!?琴音様ぁぁぁぁぁっ!!」
「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
こりゃ大変だ。こんな日にも通常営業してる某コーヒー店のアイスティーがぁ!
「あ、どうもすんません」
「てめぇ!!すんませんじゃねぇぞ!琴音様が凍傷なったらどうすんだこらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「おい大声で名前呼ぶなっ」
「そんなあなたに…実はここだけの話、今すぐそこの某ド〇キで衣料品半額券ってのが使えまして…な?後輩」
「そっスね先輩」
「……某って…ド〇キ言うてるやん」
「琴音様ツッコんでる場合じゃないです。服脱いでください。凍傷になっちゃう」
「マイナス20度の東京のど真ん中なんだが?」
「お嬢さん方これ…その半額券です。ホントは渡したくなかったんですが…な?後輩」
「めっちゃかわいい服置いてましたよね?先輩」
「とにかく服早く変えないと濡れた生地と皮膚が凍り付いて脱ぐ時皮膚根こそぎ持ってかれるよな?後輩」
「俺の地元のツレもそれで人体模型みたいになったっス。うす」
「「こわ」」
無事に某ド〇キに入ったようだ。
「ありがとうございました。これ、約束の報酬」
「なんだこれ?後輩」「なんスかこれ?先輩」
「これ、これから来る超人気アイドルのチェキです」
「……」「……」
「あとこれ、その本人」カチコチーン
「……」「……」
「あげます」
凍っちゃったせいちゃんを野生の新宿区民に押し付けて、こんな日なのに営業してる某ド〇キに私も遅れて入店。
「らっしゃせー」
「……あの、すみませぇん。お願いが……」
「っしゃせー?」
「ビックフットの被り物した二人がなんか手書きの半額券持ってレジに来たらこれ、渡してもらえますぅ?」
「……?」
「あと、半額にしてください。半分は後ほど、POPプロダクションの星熊まで請求してください…」
「……?」
「これ、名刺です」
「……?りあとっしたー」
……よし。
琴音ちゃんとはぁとちゃんは凍傷凍傷騒いでたのに呑気にショッピングしてたよ。
「あんまりかわいいのありませんね?琴音様」
「でもでも…これとか。スパイシーピンキーだよ?」
「なんスか?」
「あの有名なスパイシーピンキー…え?はぁとちゃん知らないの?」
私も知らない。
「すみません琴音様。自分…ド〇キとかで服買わないんで…」
「……そう」
「自分5万以下の布は服と思ってなくて…」
「お前意外と嫌な奴だな」
「えっ…」
「折角だからお前も安物買って行けよ。私が選んでやるよ」
「えっ!?!?」
琴音ちゃんがはぁとちゃんの体に色んな服合わせてみてる。ピンクの骸骨柄だったりガラパゴスゾウガメ柄だったり渡部〇一の写真がプリントされたやつだったり…
「おおお…推しが私の服を選んでる……っ!?」
琴音ちゃんの着せ替え人形と化してる間はぁとちゃんは終始鼻息荒く、挙動不審なビックフットだった。
……ビックフット脱いでくれないかな。
「顔が見えないと分かんないからマスク脱ぎなよ」
「そんな…琴音様の匂いが染みついたプレミアマスク…」
「それ新品」
「えっ……」
無事マスクを脱いで美少女にトランスフォームした二人(琴音ちゃんも脱いだ)は凍傷凍傷騒いでたのも忘れてたっぷり30分くらいかけて……
「……っ!!こここっ!!琴音様っ!!これは…っ!!」
「へへ…ペアルック。これにしよ」
…てぇてぇなぁ。
「いいい…いいんですかっ!?そんな…琴音様とお揃いの服なんて…」
「そんな嫌ならいいよ…」
「ありがとうございますっっっっ!!!!」
……てぇてぇなぁ。
身を隠した商品棚に大量の鼻血をぶちまけながら、あの琴音ちゃんがお姉さん感を出しながらリードしてる光景と、デートで王道なペアで何かを購入という展開に天鬼りあ、大満足でござる。
「でゅふっ!!でゅふふふふふふふふふふふふふっ!!」
「お客様っ!?致死量の鼻血でございます!!」
でもこれで満足するりあちゃんじゃないので……
「お会計16000円でーす」
「あの……この半額券使えます?」
「……」
「……?」「……(汗)」
「(あれ。ビックフットじゃねーや。まいっか)あー、お客さん。今半額券使ってもらったお客さんにキャンペーンでこの映画の…えー…チケット渡してるんで、どぞ」
「「映画?」」
「……どぞ」




