↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/162

第144話 (←前作主人公)

 BAR『あびす』は都内某所にひっそりと佇む、都会のハードな暮らしに疲れた大人達の秘密の休憩所。

 ここには毎晩様々な大人達がやって来てお酒で心の疲れを癒していく……


 そんな大人達の憩いの場で魔法の液体(カクテル)を作る妖艶なる美女バーテンダー(バイト)黒沢紗良ちゃんとは私の事なんだけど、今宵もまた心に重荷を抱えた大人達が……


「あの…未成年なのでソフトドリンク…ありますか?」


 ……大人達がやって来る。



 明石ミライだぁぁっ!!



 カウンターに現れた三人組のうちの一人は、うちのアイドルりあちゃんとデキてるって今噂のトップアイドル『TRY AGAIN』センター、明石ミライだった!!


「ここは私の行きつけの店です」


 行きつけらしいけど見た事ない(覚えてない)おっさんは……確かヤッテ・ランネー・プロダクションの社長の……ハミ出し銀シャリ…みたいな名前の…………


 んで……


「……バーテンさん。僕はオ〇ナミンCください」


 最後の一人……

 真っ黒な服装に店内でも外さないサングラス…只者じゃない存在感を放つこの男は……??


 ……てか、明石ミライは私に気づいてない?


「……バーテンさんすみません、頭が眩しくて…照明絞ってもらってもいいですか?」


 黒ずくめのサングラスが失礼な事言ってきた。


 ……

 今の私はヅラを外した余所行きスタイルだからか…今日も丸ハゲザウルス状態でスタジオ行ったらはーちゃんから「どなたですか?」って言われたんだよね…

 黒とピンクのツートンカラーの髪色だけで私の事判別してるんだって。


 ……眼帯巨乳だぞ?こんなにキャラ属性モリモリなのに、髪型一つで認知されない事ある????


 てかさ?少しづつ髪生えてきてんだけど。もうハゲって感じじゃないはずなんですど?


『FOOLS』推しですって宣ってた明石ミライも私が黒沢紗良だとは気づいてないみたいだ…


「んっ!んんっ!!ごほんごほんっ!!」

「風邪ですか……?」


 ……気づかない。

 そーですか…所詮私はりあちゃんのオマケに過ぎない……と。


「早川氏は何を飲むのかね?」


 黒ずくめのサングラスがココアシガレット咥えだしたから、灰皿出しとく。こういうのは雰囲気が大事だ。

 ココアシガレットをいつまでも咥えてる奴は自分が今ダンディーにタバコを吹かしてるという妄想に取り憑かれているからね。

 客の世界をぶち壊さない…それもバーテンダーには必要なスキルなんだよ。


「……私は烏龍茶を」


 誰も酒飲まんのかい。



 オ〇ナミンCをシェイカーで振り回しつつ、サービスで腰も振り回しつつ、アイドルを連れ回す二人の怪しい男達の会話に聞き耳を立てる…

 これもバーテンダーの仕事……



「雨宮さん。今回は無理なお願いを聞いて下さりありがとうございました」

「違います。WLP(♡)会長のマンマミーヤ・ハーコルです」

「さっきと名前が微妙に違うじゃないですか」


 ハミ出し銀シャリが黒ずくめのサングラスの事を「雨宮」って呼んだ。

 その時私はピンと来た。遅れてやって来る衝撃。


 この男もしかして…雨宮小春《あまみやこはる》かっ!?


 雨宮小春《あまみやこはる》……またの名を四股俳優《よんまたはいゆう》。

 日本中を震撼させた芸能界のスキャンダルキング。そして今日本を代表する俳優でもある伝説の人。

 大手KKプロダクショングループから子役デビューして、なんか知らん間に中堅事務所のハニープロダクションに移籍して、なんかいつの間にか有名になってたあの雨宮小春か……?


 女優二名を含む4人の女性との四股騒動をはじめ、同じ事務所の女優との熱愛からの高速破局に、関係各所を巻き込んだ死んだふり偽葬式、ふざけ倒した謝罪会見など炎上ネタなら枚挙にいとまがない、日本の恥…


 同時にその演技力はなんか偉い映画評論家も「いいじゃん」って太鼓判を押してるとか何とか…

 私も彼の出演作、映画『若人達』に舞台『人間失格』は視聴済み。


 ただこの男を語る上で最も重要なのは…芸能界でまことしやかに囁かれる伝説…

 業界のあらゆる厄介事を解決する通称『芸能界の便利屋』…大物達のスキャンダルネタを揉み消し、そして握り込む、日本芸能界のあらゆる禁忌を知り尽くした男…と、噂されてる男。


 ……そして前作主人公っっ。


 ……なぜそんな男が明石ミライと一緒に…?


「あなたの事務所とは色々ありましたが…まぁ困った時はお互い様ですからね…ところで早川氏、昨日さる筋から特別なご加護が籠った幸運の壺ってやつを買いまして…おたく今大変そうですしどうですか?ここだけの話、300で…(←前作主人公)」

「あなたがうちにした事忘れてませんよ?」

「……(←前作主人公)」


 ……もしや。なにやらトラブルがあったのか?それで便利屋に助けを求めた…?


 怪しげな会話の横で明石ミライは紗良ちゃんスペシャル(カ〇ピス振っただけ)をお口の方から迎えてる。


「ぴきゃっ!?アルコールの味がするっ!!」


「おいバイト!ソフトドリンクをシェイカーで振るなって言ってんだろ!!酒と混じってんだよ!!」


 ……店長に怒られた。


「……しかし問題はまだ解決したとは言えない(←前作主人公)」


 まだココアシガレット咥えてる便利屋がふぅって…まるでカクテルの余韻を楽しむみたいにオ〇ナミンCの香りを鼻から抜かしつつ…


「キャンドルベリーと揉めるとは、早川氏も厄介な事になってますね。これは運気回復の壺が必要だ(←前作主人公)」

「……後ろに居るのは政財界の大物、御代帝《おだいみかど》ですからね」

「うんうん。お台所。大変な相手だ(←前作主人公)」

「知らないでしょ雨宮さん」

「この雨宮の威光であの場は収められましたが、あのオカマ…あれで引き下がったとは思えない。既に『TRY AGAIN』は3月のライブの仕事を奪われてるそうじゃないですか。壺買います?(←前作主人公)」

「ええ……御代帝が主催のムジテレビに圧力をかけたのだと思われます」


 ……え?『TRY AGAIN』ライブ出ないの?


「しかし分からないな…どうしてそこまで(←前作主人公)」

「業界トップの『TRY AGAIN』を潰せば、自分達のところのタレントが頂点に登れると考えているのでしょう」

「いやそっちじゃなくて……どうしてそんなに頑なに壺を買おうとしないのか…いや、なぜ自分から幸運を遠ざけようとするのか、というところです(←前作主人公)」

「次壺の話をしたらここの代金はあなたに払ってもらいますよ?」


 ……なんか、ヤバそうな話してんなぁ。お台所ってなんだろう…

 明石ミライは大人達の話を聞いてるのか聞いてないのかただ粛々とカ〇ピス飲んでる…


 とにかく『TRY AGAIN』は今ただ事じゃない状況に置かれてるのは間違いなさそうだ。りあちゃんこれ知ってんのかな…?


「お台所とキャンドルベリーはどういう関係なんですか?(←前作主人公)」

「それは私達には分かりません……ってなんですかこの教本は」

「あなたを幸福に導くありがたい教えが書いてます。ここだけの話…50でどうですか?(←前作主人公)」

「なんですか?入信したんですか?それとも買わされたんですか?どっちですか?得体の知れないものを押し付けてこないでください。警察呼びますよ?」

「呼ぶな。ここだけの話だと言ってるじゃないか(怒)(←前作主人公)」

「……とにかく、引き続きよろしくお願いします。私も、瓶社長がこのまま引き下がるとは思えません。必ずまた潰しに来るでしょう」

「え?もう関わりたくないんですけど…(←前作主人公)」

「雨宮さんの家の光熱費、払ってあげましたよね?」

「それっぽちの事で政財界のフィクサーと喧嘩しろと言うんですか?僕は便利屋は引退したって前作から言ってるじゃないですか(←前作主人公)」

「あなたにはありがたいご加護があるから大丈夫です」

「だからそれをあなたにもくれてやろうって言ってんじゃないですか(怒)(←前作主人公)」

「いや」

「いや(←前作主人公)」

「いや結構」

「いやじゃなくて…(←前作主人公)」


 その時、今まで沈黙を守ってた明石ミライが口を開いた。


「これ以上マンマミーヤさんに迷惑はかけられません」

「見ろ、ミライさんの方が分かってるじゃないか(←前作主人公)」

「明石さん違います。雨宮です」


 男達に見つめられる中、明石ミライは微笑みを浮かべながらも意志の強い目のまま続ける。


「社長。マンモーニさんは私達が『TRY AGAIN』を作る時にも助けてくれました。私達はペッシさんには感謝してるんです」

「違うね。マンモーニのペッシじゃないね。雨宮小春だね(←前作主人公)」

「政財界のフィクサーと戦って死ねなんてそんな…」

「死ねって言ってる?(←前作主人公)」

「いいんですペッシさん。私の為にこれ以上…そんな…私の事は放っておいてください」

「まだ何も言ってないね(←前作主人公)」

「……確かにキャンドルベリーはこれからもっと酷い事をするかもしれないけど…え?私が傷つくのを見てられない?」

「言ってないね(←前作主人公)」

「……ペッシさん」

「さっきから僕に頼んでる?ペッシに頼んでる?(←前作主人公)」


 明石ミライは甘え上手なんだなぁ…


「ペッシさん」

「早川さんまで乗ってこないでもらえます?(←前作主人公)」

「まだ何も終わってないんです」

「ダメダメ。もう終わった。話をつけるまでって約束じゃないですか。前作主人公がしゃしゃり出てもなにも面白くないんだから(←前作主人公)」

「私は『TRY AGAIN』を守りたいんです」


 真剣な眼差し…私が想像してるより事態は深刻なんだなぁ。日本最大の芸能プロダクションのトップが頭を下げてるんだもん。


「……それに、いいのかい?百合作品に男が出ても?(←前作主人公)」

「はい。最近はもうタイトル詐欺みたいになってるんでこの作品」


 ……なんの話をしてるんだ?(汗)


「力を貸してください雨宮さん。あなたの所の事務所潰されたくなければ」

「言ってる事キャンドルベリーと変わらないじゃないか(←前作主人公)」


 なんか…よく分かんないけど……とりあえずりあちゃんにチクっとこ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。