↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーンカーネーション・サーガ:極点物理の支配者 〜亡国の王子はルールスペースで世界の理を再構築する〜  作者: 八咫烏


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/40

白亜の講堂、鏡の向こうの面影

僕、ユーリ、ティファ、エリザ、そしてキース。

 全員が同じ「1年Aクラス」に名を連ねていた。魔法の適性や家柄を考慮した結果なのだろうが、この偶然は僕にとって、復讐と再構築のための盤面が整ったことを意味していた。


講堂へと向かう廊下を歩きながら、僕はふと前世の記憶を反芻していた。

 椿真次として生きた時代、中学、高校と、僕の入学式に両親の姿はなかった。仕事に追われる彼らにとって、息子の節目は「形式上の行事」に過ぎず、僕はいつも一人で冷たい体育館のパイプ椅子に座っていた。


(……一人で出席するのが、僕にとっての『当たり前』だったのに)


だが、講堂の重厚な扉が開かれた瞬間、視界に飛び込んできた光景に胸の奥が微かに揺れた。

 魔法学校の入学式。それはこの国において、未来の戦力と指導者を披露する最重要儀式だ。会場の両脇に設けられた貴族専用の貴賓席。そこには、僕の新しい「家族」の姿があった。


義父、エイナス・アルベール侯爵。

 端正な顔立ちに、知性を湛えた緑の瞳と深い緑の髪。彼は僕と目が合うと、宰相としての厳格な面を崩さず、それでいて誇らしげに小さく頷いて見せた。


そして、その隣に座る義母、ミリア・アルベール侯爵夫人。

 鮮やかな青い髪と、透き通るような青い瞳。彼女の顔を見た瞬間、僕は息が止まりそうになった。

 ミリアは、僕の亡き実母メアリの妹――つまり僕の叔母にあたる。その容貌は姉であるメアリと瓜二つだった。温厚で少し病弱な彼女は、無理を押して出席してくれたのだろう。膝にかけた毛布の上で、僕に向かって優しく手を振っている。


「リンネ、お母様がこっち見てるわよ。……泣きそう?」


隣でユーリが茶化すように囁く。

 僕は「そんなわけないだろ」と短く返したが、視界がわずかに熱くなるのを否定できなかった。母を失ったあの日、火の海に消えたはずの面影が、今こうして僕の新しい生を見守っている。


式典は粛々と進んだ。校長の長ったらしい祝辞も、魔導士たちの派手なデモンストレーションも、僕の脳内では単なる物理現象の羅列として処理されていく。

 

 式が終わり、僕たちは割り当てられた教室へと移動した。

 一六〇センチの僕とユーリが教室の扉を潜ると、そこにはすでに先着していた生徒たちがいた。一七〇センチの長身で、金髪を輝かせているキースが真っ先に手を振ってくる。


「おっ、リンネにユーリ! 席、俺の近くが空いてるぜ!」


キースの陽気な声が、緊張感の漂う教室の空気を一気に解きほぐす。ティファとエリザも合流し、僕たちは教室の後方、窓際の席を確保した。


教壇に立った担任の教師が、静かに黒板を叩く。


「さて、今日から君たちは魔導士の卵だ。まずは互いを知ることから始めよう。……出席番号一番。自己紹介を」


いよいよ、偽りの「風属性」を纏った僕の、学園生活という名の「ハッキング」が始まる。

 僕は椅子から立ち上がり、一歩前へ出た。

本日もお読みいただきありがとうございます!

14年前に書いた思い入れのある作品を、今の全力で毎日リメイク投稿しております。

もし「面白い」「続きが気になる!」と思ってくださましたら、ページ下部にある**【ブックマークに追加】や、『☆☆☆☆☆』を★★★★★に**ポチッと染めて応援していただけると、執筆の物凄い励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。