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リーンカーネーション・サーガ:極点物理の支配者 〜亡国の王子はルールスペースで世界の理を再構築する〜  作者: 八咫烏


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特別編:学園祭の迷メイド、現る?

魔法学校が一年で最も活気づく「秋星祭」。

リンネたちのクラスで決まった出し物は「メイド喫茶」だった。

クラスメイトたちが「僕たちの猫耳を活かさない手はない!」と盛り上がる中、リンネは机に突っ伏しながら心の中で絶叫していた。


(僕たち、本物の猫耳なんだから……『リアル猫耳メイド』って、そのまますぎないか!? ひねりも何もなさすぎるだろ!)


しかし、そんなリンネの心の叫びも虚しく、クラスの女子たちの「本物の耳をピコピコ動かしながら給仕すれば、魔法学園始まって以来の売上になるわ!」という野望に押し切られてしまった。


―当日の異変―


学園祭当日。自宅から一緒に登校するはずだったユーリは、玄関に現れなかった。

前夜までメニューの清書を頑張りすぎたせいか、知恵熱を出して寝込んでしまったのだ。


「悪い、ユーリは今日は欠席だ。自宅で寝てる」


リンネが教室でそう伝えた瞬間、クラスに衝撃が走った。学園一の美少女にして看板娘の欠席。

それは売上1位の夢が潰えることを意味していた。

絶望に暮れるクラスメイトたちの視線が、ユーリと瓜二つの顔を持つリンネに集中する。


「……嫌だぞ。絶対に嫌だからな」


「頼む、リンネ! 君がユーリの身代わりになってくれないと、僕たちの努力が水の泡だ!」


「断る! 僕は男だ!」


だが、魔法学校の執念は恐ろしい。多勢に無勢、逃げ場を失ったリンネは、結局フリルたっぷりのメイド服へと「換装」させられる羽目になった。


―てんやわんやのホールスタッフ―


黄緑色の髪をユーリと同じ水色に染め、頭にホワイトプリムを付けたリンネがホールに出ると、客席は一瞬で静まり返り、次の瞬間には歓喜の渦に包まれた。


「見て、あのユーリ様そっくりのメイドさん……! 少し不機嫌そうに注文を取る姿が、たまらなくクールだわ!」


リンネは内心で「なぜ僕が……」と呪文を唱えるように繰り返しながらも、持ち前の器用さでトレイを捌いていく。しかし、災難は続く。


「メイドさん、『萌え萌えキュン』の魔法をかけてくれないかな?」


(ふざけるな! ルールスペースの物理攻撃なら今すぐ叩き込んでやるのに!)


顔を引きつらせながらも、クラスメイトの「あとで高い肉を奢るから!」というジェスチャーに屈し、リンネは人生で最も屈辱的なポーズを披露する羽目になった。

さらに、他校から来た男子生徒に本気で口説かれそうになり、制服の胸にある「竜の紋章(国章)」に誓ってコイツを仕留めようかと本気で悩む場面もあった。


―自宅での愚痴大会―


学園祭が終わり、精根尽き果てたリンネが自宅の玄関を開けたのは、日が完全に沈んだ頃だった。

屋敷の二階へ上がり、少し熱が引いてベッドで休んでいるユーリの部屋に、リンネは着替えもそこそこに飛び込んだ。


「ユーリ! 起きてるか!」


「あ、リンネ……おかえり。ごめんね、今日はお休みしちゃって。学園祭、どうだった……?」


申し訳なさそうに、でも少し興味津々といった様子で首を傾げるユーリ。

その無垢な表情を見た瞬間、リンネの堰を切ったような愚痴が始まった。


「どうだったも何もない! ユーリ、君のせいで僕は今日一日で一生分の恥をかいたんだぞ! 3回も告白され、5回も猫の鳴き真似をさせられ、挙句の果てには『ミステリアスな看板娘』として学園新聞に載りそうなんだ!」


「えっ、猫の鳴き真似……? ふふっ、リンネ、似合いそうだね」


「笑うな! あの重いトレイを持ってフリフリのスカートで走り回るのがどれだけ大変か、君にだって分かるだろ!? それに、僕をユーリだと思い込んだファンが勝手に『ユーリ様が今日は少し男らしくて素敵……』なんて変な噂を広めてるんだぞ!」


リンネの剣幕に、ユーリは「ごめんね」と言いつつも、自分と同じ顔をした兄(のような存在)がメイド姿で奮闘する姿を想像して、布団に顔を埋めて笑いを堪えるのだった。


「……もう絶対に二度とやらない。次は、君が僕の格好をして剣術の試合にでも出てくれ。交代だ」


「それはちょっと難しそうだけど……でも、リンネが頑張ってくれたおかげで、みんな喜んだんだね。ありがとう」


ユーリの穏やかな感謝の言葉に、リンネは毒気を抜かれたように「……フン」と鼻を鳴らした。

魔法学校の嵐のような一日は、こうして兄妹の穏やかな(?)団欒で幕を閉じた。


挿絵(By みてみん)

本日もお読みいただきありがとうございます!

14年前に書いた思い入れのある作品を、今の全力で毎日リメイク投稿しております。

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