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『死んだ俺が1977年に転生して、君へ繋がる人生をやり直す』  作者: れいじ


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■ 第2話 「同じ場所、違う人生」

赤ん坊として目覚めてから、数ヶ月。


 できることは少しずつ増えてきたが、

 それ以上に増えたのは――考える時間だった。


 この世界はどこなのか。

 なぜ自分はここにいるのか。


 そして、もう一つ。


 もし本当に“あの時代”なら――

 俺は、どこにいるのか。

泣くことしかできなかった日々も、少しずつ変わっていった。


 首が座り、視界が広がり、

 抱きかかえられるだけだった体も、少しずつ自由を取り戻していく。


 赤ん坊の生活にも、慣れてきた。


 正直、慣れたくはなかったが。


 外に連れ出されることも増え、

 そのたびに俺は、必死に周囲を観察していた。


 看板。建物。車。


 そして――


 ある日、部屋の壁にかかっていたそれを見つけた。


 カレンダー。


 視界を凝らし、数字を追う。


 1977年9月。


 その瞬間、背筋がぞくりとした。


 ――同じだ。


 俺が生まれた年と。


 偶然か?

 いや、そんなはずはない。


 これは、意図された“やり直し”だ。


 だとしたら――


 俺は、この世界のどこにいる?


 それからというもの、外に出るたびに意識を研ぎ澄ませた。


 そして、ある日。


 病院へ連れていかれた帰り道。


 車窓から見えた景色に、息を呑んだ。


 ――ここ、知ってる。


 見慣れた通り。

 昔、何度も歩いた道。


 間違いない。


 ここは――俺が生きていた場所の近くだ。


 ということは。


 このどこかに――


 “俺”がいる。


 まだ幼い、もう一人の俺が。


 思考が一気に加速する。


 会えるのか?

 いや、会っていいのか?


 自分自身と。


 だが、その答えはまだ出ない。


 今はただ、確かなことが一つだけあった。


 この人生は、確実に“前と繋がっている”。



 長浜家は、ごく普通の家庭だった。


 母、由香里。


 優しく、よく笑う人だ。

 まだ若い。二十代だろうか。


 抱かれるたびに、不思議と安心する。


 父、泰造。


 夜遅くまで働くサラリーマン。

 あまり家にはいない。


 正直、子供が好きなタイプには見えない。


 だが、それもまた“普通”だ。


 姉、優子。


 四歳。幼稚園に通っている。

 よく面倒を見てくれる、いい姉だ。


 ――そして俺、長浜徹。


 中身は五十年生きた男。


 外見は、ただの子供。


 なんとも歪な存在だ。


 だが、この家族の中で過ごすうちに、

 少しずつ実感が湧いてきた。


 ――俺は、この人生を生きるしかない。



 やがて、体が自由に動くようになってくる。


 歩けるようになり、手も器用に使えるようになった。


 その頃にはもう、やることは決めていた。


 勉強だ。


 前の人生では、正直、ろくにやってこなかった。


 だが今回は違う。


 時間はある。

 そして、知識もある。


 ならば、やらない理由はない。


 本を読み漁った。


 最初は絵本。

 やがて文字の多いものへ。


 親に気づかれないよう、こっそりと。


 この体でどこまでできるかは分からない。


 だが、やる価値はある。


 ――いい学校に入る。


 そして、もっと先。


 ぼんやりとだが、考えていることもあった。


 競馬。


 前世での知識は、まだ残っている。


 G1の勝ち馬くらいなら、かなり覚えている。


 二十歳になったら。


 貯めた金を、そこに突っ込む。


 そして――


 その資金で、何かを始める。


 芸能事務所、なんてのも面白いかもしれない。


 理由は、まだはっきりしない。


 だが、どこかで繋がっている気がする。


 この人生の“目的”に。



 そんな日々を過ごしながら、時間は流れた。


 そして――


 幼稚園に通う年齢になった。


 新しい環境。


 新しい人間関係。


 だが、俺にとって本当に意味があるのは、そこじゃない。


 俺は、ずっと考えていた。


 この世界には、“俺”がいる。


 ならば――


 いつか、必ず出会う。


 そして、その瞬間は。


 思ったよりも、あっさり訪れた。


 教室の中。


 ざわつく子供たち。


 その中に、一人。


 視線が、止まる。


 ――いた。


 間違えるはずがない。


 あの顔。


 あの雰囲気。


 幼い頃の――


 「……恒一」


 無意識に、名前がこぼれた。


 その瞬間、少年がこちらを振り向く。


 目が合う。


 時間が止まったようだった。


 ――俺が、そこにいた。

第2話を読んでいただきありがとうございます。


 今回は、徹がこの世界を理解し始め、

 そしてついに――“自分自身”と出会うところまで描きました。


 ここから物語は大きく動き始めます。


 ・自分とどう関わるのか

 ・この人生の本当の目的とは何か

 ・そして、まだ見えていない“繋がり”


 次回は、初めての接触。

 そして、違和感の正体に少しずつ近づいていきます。


 引き続き、よろしくお願いします。

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