第2章 28話 マナの放出・イルブの新たな課題
グレートランド歴1772年9月29日 11:00
ジョルカは、イルブとの再会をひとしきり喜んだ。が、ジョルカはジグルから感じたマナからの感覚を忘れたくなかった。
「イルブ、お前が遅刻していた間に、俺の鍛錬の成果を見せてやる」
とそう言い、スっと目を閉じた。そしてマナを腕に集中させた。
ジョルカは、カッと目を開きジグルを見て、ありったけのマナをジグルに向けて投げた。
ジグルは、
「わっ、馬鹿」
と言って、腕をクロスにし防御して踏ん張ったが、3m程ふっ飛ばされた。
ジョルカとイルブは、慌ててジグルの元に駆け寄った。
「親方、大丈夫か?」
といい、ジョルカはジグルの倒れた体を起こした。
「技術が出来てねぇもんが、見様見真似で危ねぇ事するんじゃねぇ!!」
とジグルは、ジョルカをどやしつけた。
「先輩、今のは?」
とイルブが聞く。
「体内のマナを体外に出す鍛錬だ」
とニヤッとジョルカは笑った。
ジグルは起き上がりながら、
「マナを体外に出し、それを人に預けたり譲る事も出来る。が人それぞれ、マナの許容量ってもんがある」
「じゃー俺がふっ飛ばされなかったのは?」
「俺が手加減したってのもあるが、ジョルカお前のマナの体内に出来る許容量は規格外だ」
とジグルは言った。
「それと、ジョルカお前は、まだ体外に出すマナの量を調節できねぇ。これから、その鍛錬を行う」
「じゃー"弐式"の鍛錬は?」
「合格だ!試しに今のマナを俺にぶつけたイメージをその剣にしてみろ」
と言われ、ジョルカは実際にやってみた。そうするとバリンっと音を立て、剣が脆くも崩れ去った。
フッとジグルは笑う。
「普通の剣じゃー、お前のマナを受け入れられねぇみたいだな」
とジグルは笑った。
「じゃー木の切断出来ねぇじゃねぇか!」
とジョルカは言った。
「その剣が崩れ去る程のマナを放出、それが出来るなら木の切断なんて訳ねぇ。これからの鍛錬は、放出量の調整が出来るようになる鍛錬だ」
とジグルは言った。
その一連の話を聞いていたイルブは、いてもたってもいられず、
「僕は!!僕はどういった鍛錬を?」
「イルブ、お前は、ジョルカのような自分を強化するタイプのアルカナじゃない。どちらかというと俺と同じタイプだ」
「僕と同じタイプ?親方、ジグルさんも"エアノーラ"が使えるんですか?」
「タイプと言っただろ。お前は空気化だが、俺は、土、石、金属などに体を変質出来る。見てろ」
と言うと、ジグルの体がどんどん黒くなっていった。
「イルブ……ちょっ……と体……に触……って……見ろ」
とジグルが言う。イルブが体に触ってみるとイルブは驚いた。体が鉄のように固くなっていた。
イルブが触ったのを確認すると、ジグルの体は元の身体に戻っていった。
「これをすると、喋りにくくなってな」
とジグルは笑った。
「最初、俺も土とか砂とかにしかなれなかったが、今では、イメージすれば何の金属にもなれる。まぁ何でもなれるつもりだが、イメージが出来ない金属は無理だけどな。つまり今まで触った事が無い金属には変質できねぇ」
「なら、僕は、酸素とか窒素とかそういった感じに?」
「ああ、出来る。がイルブ、お前は空気を操れる事をイメージしろ」
「空気を操る?」
「そうだ。"エアノーラ"は、索敵、隠密などには無類の強さを発揮出来るが、攻撃力と言えば疑問が残る。だから、空気を操れ。それが可能になれば、衝撃波、あるいは真空波のような超攻撃的なアルカナを身に着けられるかもしれない」
「衝撃波、真空波?」
その言葉と、自分が凄い戦力になれるかもしれないという思いに、イルブは体が震えた。
怖いから震えたんじゃない。
イルブは悟った。この震えが武者震いなんだと。
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十条 閃




