第2章 24話 イルブの決断
グレートランド歴1772年9月21日 AM8:00
ジョルカとイルブは、新しく覚える"弐式"の鍛錬の為、今日からまた、最初に"零式"の鍛錬をした小高い丘に集合していた。
程なく、2人の元にジグルが現れた。またジグルは、2人の前に立ち、
「本日より、"弐式"の鍛錬を始める」
とジグルが言った時、ジョルカは、
「ちょっと待ってくれ!!」
と鍛錬を始めようとするジグルを制止した。
「昨日の話だけど、ギアリベリオン?だったか?あの人達は、どういった人達なんだ?協力とか言ってたけど?」
「なんだジョルカ?王を倒すのに、俺とお前、イルブの3人で王を倒すつもりでいたのか?」
「いや、そんなつもりは……」
ジョルカは、今まで打倒王、打倒ヴェインの事ばかり先走り、詳しい計画などは全く考えていなかった。
「打倒王……」
とイルブが呟いた。
「打倒王ってどういう事ですか?僕は、落盤事故を引き起こした、ひいては自分を落盤事故の加害者にしたドレンが許せないだけ、なんですが……」
と言いかけた時、イルブは思い出した。ドレン邸で盗み聞きしたドレンの会話の事を——
――回想――
「でニクス様、礼の件ですが」とドレンが言う。
「分かっている。お前の仕事は、ヴェイン陛下に報告する」
「お願いしますね」
「ああ。ヴェイン陛下直々の勅令だからな」
「しかし、魔鉱山の落盤事故を起こすなんて、ヴェイン陛下は何を考えられてるんですかね?」
「声が高いぞ!!ドレン!!機密の仕事なのだ!!この内容は、俺とヴェイン陛下、そしてお前しか知らんのだ!!」
まさか……例の落盤事故は、ヴェイン王の命令だった?
イルブに戦慄が走った。
自分に悪意は勿論、故意も何も無かった。偶々、能力が発覚し、ドレン邸で小間使いとして雇われ、能力を開発させられた。それが知らず知らずに運命の歯車が、回り出している!!
自分を人殺しの道具に使ったドレンが許せなかった。ドレンを懲らしめたい、いや、そんな生ぬるいものではない。がそれも全部、ドレンと会談していたニクスと言ったか、あの男!そしてそのニクスに落盤事故の指示を出したヴェイン王!
……
ドレン、ニクス、ヴェイン王……
「先輩がヴェイン王に、命を狙われてる?だから偽名を使ってる?」
(なんで今まで、こんな事に気づかなかったんだ?)
とイルブは自分を責めた。
「イルブ、俺は、ヴェインに命を狙われている。細かい事は分からないが、原因は俺のアルカナ"グランドサイレンス"にあるらしい。お前を巻き込んだ遠因は、俺にあるのかもしれない」
……とジョルカは俯きながら言った。続けてジョルカは言った。
「イルブ、俺は、どちらにせよヴェインに命を狙われてる。今は死んだ事になってるが、いつ、何が原因で生きてる事がバレるとも限らない。それに一生逃げ回って生活をするなんて、まっぴらゴメンだ。だから、俺は、昨日会ったギアリベリオンの人と協力して、ヴェインを倒すつもりだ」
ここで一呼吸置いて、ジョルカは真剣な目をして言った。
「イルブ、お前は、どうする?」
「イルブ、これは、お前自身の問題だ。お前は特に命を狙われていない。お前の動機は、ドレンを倒す事だ。ドレンを倒すだけなら、ジョルカも俺も、ギアリベリオンの皆も決めている事だ。つまりここで戦列を離れても、お前の目的は成就される」
とここで、いつも豪快なジグルが初めて聞くような低いトーンで言った。
「イルブ、強制はしないが……出来れば俺達を助けてほしい」
とジョルカは、最後にそう言った。
「"弐式"の鍛錬は、明日から行う。イルブ、もし打倒ヴェインに協力してくれるなら、明日この場所で、同じ時間にここに来てくれ」
ジグルも最後にそう言った。
そうして今日、9月21日は、何の鍛錬をする事もなく3人は解散した。
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十条 閃




