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第2章 23話 ギアリベリオン

グレートランド歴1772年9月20日 PM6:00頃


床から出てきた女性は、


「クロエは、もういます。レイブンは、まだ来てません」


とエドガーに報告しながら、チラッとジョルカとイルブの方を品定めをするかのように見た。


ジョルカは、


(何なんだ、これは?まるで秘密組織みたいじゃないか?)


と困惑していると、イルブも同じ事を考えていたのか、やや挙動不審のように落ち着かない様子だった。


床から出てきた女性は、床の板を片手で持ったまま、エドガーが下に降りていくのを見届ける。ジグルもエドガーについていこうとするが、ジョルカとイルブが躊躇しているのを見ると、


「おい、アッシュ、イルブ!まさかお前達、こんな可愛い女の子にビビってんじゃねーだろうな!?」


と2人が尻込みしているのを見抜いて、そう言った。


「ばっ、バカゆうなよ。俺がビビってる訳ねーだろ!なぁイルブ」


とジョルカは、イルブに同調を求めた。それに、


「も、勿論ですよ!ついていきますよ」


とイルブは同調しながらもジョルカを前に押し出し、下に降りるようにジョルカの背中を押した。


イルブに背中を押されるまま、ジョルカが下に降りようとすると、その女性が間近で見えた。


年の頃は自分とあまり変わらないだろうか。大きなエメラルドグリーンの瞳、童顔の面持ち、本来は長いであろうブロンドの髪を黒いリボンでアップにして束ねていた。


その姿を横目で見やり、下に降りて行った。


ジョルカが地下、というべきだろうか。元々この現場事務所が地下なのだが、現場事務所から1フロア分階段で下に降りると、そこは30m²ぐらいだろうか、割と広いスペースが広がっている。四方は、何も加工されていないドアが1つあるだけの木造の造りだ。


その部屋の真ん中に先ほどと同じような長机が置いてあり、同じように椅子も6脚ほど置いてある。


先ほどと違うのは、壁際に扉と"DANGER"と書かれた物騒な木箱が4箱程積み上げられている事。長机の先頭の壁に大きめの黒板がある事。そして黒板の前に1人、床から出てきた女性とは別の女性が立っていて、黒板に何かを記述していた事だ。


ジョルカとイルブとジグルは、エドガーに階段から離れた側の椅子に座るよう促され、奥からジョルカ、ジグル、イルブの順番で座った。


そうすると、反対側の椅子の真ん中にエドガーが座り、その右隣に黒板に何かを書いていた女性が座る。最後に床から出てきた女性が床を閉め、階段から降りて1番階段から近い場所の椅子の前に立った。


今、この30m²程の空間に6名の人間が揃った。ジョルカは、コソコソとジグルに聞いた。


「親方、会わせたい人ってこの人達なのか?なんか物騒な木箱もあるし怪しいぜっ」


とジグルに聞くと、ジグルが返事をする前に、エドガーが口を開いた。


「狭い場所で、申し訳ない。アッシュ君、イルブ君」


「改めて、挨拶する。私が対王政革命軍"ギアリベリオン"のリーダーを務めているエドガー=ロックハートだ」


と立ち上がって頭を下げた。


「そしてこの左に座る女性が隊長のノエル=サザーランド」


と言うと、先ほど床を空けてくれた女性が立ち上がり、


「ノエル=サザーランドです。よろしく」


と挨拶をした。


「そして右に座っているこの女性が、我がギアリベリオンのサブリーダーのクロエ=カタギリだ」


とエドガーは、クロエと呼ばれる女性を紹介した。


「クロエ=カタギリです。よろしく」


とクロエと呼ばれる女性が立ち上がり短く挨拶した。


ジョルカは、先ほどは後ろ姿しか見えなかったのでクロエと呼ばれる女性を改めて見た。


クロエも、元々はロングであったであろう黒髪を三つ編みにし、それをアップして、さながらギブソンタック風にしている。そこから覗く顔立ちは美しく、あまりこのあたりでは見かけない混血特有のエキゾチックで目鼻立ちがクッキリした顔をしていた。


続いて、ジグル、ジョルカ、イルブの順で3人に自己紹介をしていき、一通り自己紹介が終わった。


そして、エドガーがクロエに声をかけた。


「レイブンから連絡はあったか?」


「まだありませんが、いつもアジトに帰ってくるのは7時ぐらいです」


「そうか、レイブンが戻って来ないと、今後の話も進められないな……」


といった矢先に、コンコンと天井が鳴る音がした。


「レイブンが戻ってきたようだ」


というエドガーの声に、ノエルが天井を開けに行った。


「実働部隊が全員揃ったようだな。最後のメンバーのレイブンだ」


とエドガーが階段を降りている途中のレイブンを紹介した。


「レイブン=アローです」


と全てを察したかのように、階段から降りながらレイブンは挨拶した。


「お嬢さんは、大丈夫か?」


とエドガーは軽く聞いた。


「何も問題ありません。無事家まで送り届けました」


とレイブンはエドガーに報告した。


全員の自己紹介が終わると、エドガーが黒板の前に立ち、空いた席にレイブンが座る。


黒板には、ざっと今後の予定が書かれていた。がそれを無視し、ジョルカとイルブに説明した。


「我がギアリベリオンは、打倒王政を目指す革命軍だ!!リーダーは、俺エドガー=ロックハートだが、組織のTOP、総帥はガルド=カーティスさんだ!!」


続けて言う。


「今、ヴェイン王は、国力を上げる為、地下スラムに酷い税制を敷き、他国との戦争をも視野に入れ国を動かしている。それは、王と一部の貴族が贅を尽くす為だけの、極めて独善的な政治だ!」


「我がギアリベリオンは、我らスラムの歯車(ギア)が反乱(リベリオン)を起こし、打倒王政の為の組織だ」


「アッシュ君、イルブ君、私たちと君たちは利害が一致している。どうか協力してくれ!!」


エドガーが真剣な目を向け、ジョルカとイルブを見た。

毎週 月曜 木曜 18時投稿予定です。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

「続きが気になる」「また読みに来てもいい」と思っていただけましたら、ブックマークしていただけると励みになります。

ジョルカたちの行く末を、ぜひ見届けていただけると嬉しいです。

十条 閃

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