↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/48

第2章 16話 伸び悩み・能力の指向性

グレートランド歴1772年8月25日

「はぁはぁ」……

「はぁはぁ」……

ジグルと別れてジョルカとイルブで鍛錬を始めて、そろそろ1ヶ月の時間が過ぎようとしていた。

2人とも最初の2週間程は、順調に成長しているという自信と自覚があった。しかし、その頃から徐々に成長スピードが落ちているのを2人とも自覚していた。

「イルブ、少し休憩しよう」

ジョルカが言った。

「はい。そうしましょう……先輩」

と息を切らせながらイルブは返事した。

2人は、魔鉱山の土にまみれた地面に腰をかけ、2人並んで岩場を背もたれに休憩する。

「なぁ、俺達ちょっと足踏みしてないか?」

とジョルカが言った。

「はい。そう思います」

「鍛錬、鍛錬っていうけど、なんていうか親方も鍛錬のヒントが少ないよな……」

「はい。そう思います」

「なぁ、このまま同じような事をルーティンでやってていいと思うか?」

「はい。そう思います」

「……」

「イルブ……俺ってイケメンだと思うか?」

「はい。そう思います」

「……」

ジョルカは、何を聞いても同じ返答のイルブに、

(こいつ、心ここにあらずだな……)

と少し危機感を感じた。

ジョルカは場所を少し移動し、イルブの正面に向かって言った。

「イルブ、お前少し、鍛錬休め!!」

とイルブに提案した。

イルブは今やっと我に返り、

「そんな、ダメですよ。"壱式"の鍛錬の期間は、ジグルさんに2ヶ月って言われてるんです。休んでる時間は、ありません」

とイルブらしい真面目な返答をした。

「イルブ、俺は、何も長期間休めとは言ってない。それに、俺も、お前も今少し伸び悩んでる。このまま同じルーティン、単調な作業をやってても、多分2ヶ月後も今のままだ。それなら、少し、そうだな2日間ほど、2人とも休んで家に帰って、現状打破の手がかりを探そう!!」

「そうしますか?」

「そうしようぜ!ってゆうか、俺が偶には羽を伸ばしたいってのもある」

とジョルカは悪戯っぽく笑う。

「いいですね。僕も久しぶりに地上に戻れば、何かヒントを得られるかも知れませんし……」

「決まりだな」

と2人は合意し、休憩を終わらせ、残り時間はいつものように魔鉱夫としての時間を過ごした。

そうして定刻のチャイムが鳴り、2人は居住区まで一緒に上がると、そこからは別々になり、それぞれの家路についた。


帰り道、ジョルカが歩いていると、

「アッシュさーーん」

と後ろから声をかけられた。振り返るとベルだった。

「先日は、お世話になりました」

とベルはかしこまって挨拶をした。

「そんなにかしこまらなくてもいいよ」

とジョルカが言うと、

「ホントですか?」

と急にくだけた感じになり、

「私も敬語とかガラじゃないんですよねぇ」

とカラカラとベルは笑った。

「ところでイルブさんは?」

「イルブなら家に帰ったぞ。明日から俺もイルブも少し休むからな」

「え?2人ともどこか悪いんですか?」

「どこか悪いように見えるか?」

「ですよねぇ」

とまたベルはカラカラと笑った。

「で、仕事はどうなんだ?あれから体調は?」

とジョルカが聞くとベルは少し顔を赤くし、

「べ、別になんともありませんよ」

と答えた。

その様子を見て、

(なんで俺に赤くなるんだ?)

とジョルカは首を傾げた。

「でも、なんていうのかな?漠然と、もっと別の仕事をしてみたいとか……そういった思いはありますね」

……とベルは言い、少し間が空いた後、

「なぁんて。ちょっとセンチなベルちゃんでした」

とまたいつものベルに戻る。

(掴みどころが無い子だな)

とジョルカが思った時、また後ろから

「お兄ちゃん」

と声がかかった。振り返るとソラがいた。ソラは、ジョルカに追いつくなり、

「お兄ちゃん、今日はうちに帰るの?」

と聞いてきた。

「ああ、ちょっと親父に相談があってな」

と話していると、ソラがベルを少し不審そうに見ている。

「お兄ちゃん、この人は?」

「ああ、最近知り合ったベルさんだ。ソラ挨拶して」

と言うと、

「ソラ=カーティスです。アッシュの妹です」

と顔を引き攣らせながら、満面の笑みを作って挨拶した。

「ベル=スターリングです。よろしくね」

と簡単にベルは挨拶した。

「じゃー私は、この辺で」

と別れの挨拶をし、ベルは自分の家路についた。


家に帰ると突然の帰宅だったので夕食は用意されていなかったが、リアが簡単な物を作ってくれた。

その食事を食べながら、ソラが本格的に魔鉱医学の進学を考え始めた事をソラから聞いた。ソラは、将来の夢を楽しそうに話していた。

そうしているとガルドが帰ってきた。

「帰ってたのか?大方、鍛錬が行き詰まったから相談に来たってトコか?」

と鋭く聞いてきた。

「まぁそんなトコだ。よく分かったな」

と返事をする。

「俺も昔、静心流の鍛錬を受けたからな。みんながだいたい何処で行き詰まるかは察しがつくわ」

とガルドが言った。

「なぁ親父、なんかヒントか何か教えてくれよ。親方が何も教えてくれないんだ」

「何も教えてくれんだろうな……それは、アルカナが人それぞれ違うように、鍛錬の仕方も人それぞれ違う。でもなジョルカ、1つだけ言っておく」

「1つだけ?何だそれは?」

「それは能力の指向性だ!!」

毎週 月曜 木曜 18時投稿予定です。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

「続きが気になる」「また読みに来てもいい」と思っていただけましたら、ブックマークしていただけると励みになります。

ジョルカたちの行く末を、ぜひ見届けていただけると嬉しいです。

十条 閃

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。