表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heart〜急に他人の心の声を聞けるようになった俺は、色々と企むことにした  作者: くろくまくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/25

急に他人の心の声を聞けるようになった俺は、こう思う

サチは、


急にあらわれた黒ずくめの男に刺されてしまった……


俺の……完全に俺のせいだ……

 『私、遠くに行きたいかも。私のことを誰も知らない遠く』


 そうだ、お前がこう言った瞬間にすぐに遠くへ行っていれば……俺のせいだ。全部俺の……


 その瞬間、全ての時が止まった。



◇ ◇ ◇



 それから5年後の2003年。


「シュウジさん。これチェックしてもらっていいですか?」


 俺は会社を辞めていたが、友人のツテでまた新たなIT関係の仕事を始めていた。少人数ではあったが経営をその友人がやり、俺はシステムの構築やたまに友人についていき商談に加わったり。そして経理やサポートをする人員数名という具合。


 あれから、あまり仕事をする気も起きなかったが、結局は金がいる。生きている限り食べていかなければいけない。


 あれだけ自分の力に過信し、色々なことを試したいと願っていたが、一気にその意欲は失われていった。


 俺はもう二十八歳になっていた。まだ二十代ではあったが、なんというか、怖いもの知らずのような年齢は過ぎてしまっていたと思う。


「ん……まぁこれでいいんじゃない? そのまま続けといて」


「はい、わかりました!」


 どうでもいい。心底どうでもいい。


 そういえば、あの五年前の事件で、あの男は捕まった。まぁ当然か。今となってはどうでもいいことだが、自分のじつの娘のことを、誰か他の男とできた子供と思いこんでいたらしい。まぁまぁの錯乱状態だったのと、その少し前に妻を刺して大怪我を負わせていることもあり、余計に罪が重くなるようだ。


 まぁ、そんなことはどうでもいい。


 そういえば、弟のシンジの子供が少し変な様子らしい。何が変かと言うと、あまり笑わないということだ。何度かシンジからも相談を受けた。


『シンがね……全然笑わないんだよね。なんというか周りをキョロキョロして怯えてる感じだったり。あとは人が多いとこだと、耳塞いでうずくまったり』


 そんなことを言っていた気がする。


『あ、でもね。知り合いに相談してみたら、シンが好きなこと、ライダーごっことかを全力でしてみたらどうか、って言ってたから、それをしてみようかなと考え中なんだよ』


 キョロキョロして怯えたり。


 耳を塞いでうずくまったり。


 もしやそれは……いや、まぁそんなことはどうでもいい。


 あのあと少ししてからだけど……京都のキヨ婆ちゃんに一度連絡をしてみたんだ。起こったことを伝えただけだけどな。


『言わんかったか。力を使ったことで歪んでしまった現実は、いつかお前のところへ帰ってくるって言うたやろ』


 そんなこと覚えてねぇよ……というかなんでもっと。もっとしつこいくらいに言ってくれなかった。もし、しつこいくらいに言ってくれてたら……


「シュウジさん、そろそろメシ行きませんか」


「あぁ、俺はまだいいや。先にみんなで食ってこいよ」


「わかりました。じゃあ行ってきますね」


 俺は特にやる気もなかったので、ふと胸ポケットのタバコを探る……


「あ、タバコやめたんだった……」


 あれから、そういやタバコを吸っていない。吸っていないというか、吸えなくなった。いや、まぁ体にも悪いしちょうどよかったんだと思う。


 その時、俺の携帯が震えた。


「おぉ、どうした。もう着いたのか」


 電話の相手は俺の職場の近くの駅に着いたことを知らせてきた。


「うん、うん。わかった。じゃあそっちまでいくから待っとけな」


 俺は駅まで数分の道をゆっくり歩いていく。


 ある時に、急に降って湧いてきた心の声を聞く能力。


 その力は京都の婆ちゃんが言ったように、良いことに使おうが、悪いことに使おうが、周りの様々なことを歪めてしまう。


 その歪めてしまうことはその時によりけりだ。


 だからこそ、慎重に使わなければいけなかった。


 俺はその危機感が足りなかったのだ。


「シュウジ〜〜!!」


 だからこそ、これからは充分に気をつけなければいけない。


 今、俺の元に走ってくるソイツのカバンには、透明のテープでぐるぐる巻きに補強されたアクリルのキーホルダーが付いていた。


「よっ、メシ何食いにいくんだ?」


 ソイツは走ってきて、俺に全力で飛びついてきた。そして、俺はしっかりと抱きとめる。


「オムライスと牛丼と、チョコレートパフェ食べる!」


「相変わらず、よく食うよなぁ〜! サチ!」


 サチはにっこりと笑った。そして俺の体を強く抱きしめ返してきた。


 

 急に他人の心の声を聞けるようになった俺は、こう思った。


 あまり、色々と企み過ぎるもんじゃあないな。


 


短い間でしたが、連載にお付き合いしていただき、ありがとうございます。


これで本作は完結となります。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
サチが無事で良かった。 (*´ω`*) 最終話は色々とダイジェストでしたね。 (・∀・) ばあちゃんにしつこく言われたとしても、シュウジは反発して、同じような失敗をしていたと思いますよ。 (「`・…
完結お疲れ様でした。 本編と違う雰囲気があり、こちらはこちらで楽しませていただきました。 本編に繋がる作品だと思うと興味深いものがありますね。
完結おめでとうございます! これから、シンの話へとつながっていくのですね〜(*^^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ