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Heart〜急に他人の心の声を聞けるようになった俺は、色々と企むことにした  作者: くろくまくん


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21/25

なんでも食べろ。今日は大盤振る舞いだ!

神様ホトケ様、サチ様〜!!


危うく百万円消えるところだったのを、サチの名前の馬が助けてくれた。


俺たちは早めに退散し、梅田駅近くで寿司を食べることにした。

 俺は思わず、サチを抱きしめた。


「シュウジ、苦しい……。でも良かったね」


「あ、ごめんごめん。いやマジで助かったぞ……これで帰りに美味い寿司が食えるぞ! やるな〜、サチ!」


「うんうん。あ、でもね。私はこのシュウジにもらったやつのほうが、嬉しいよ」


 サチは手に持っていたガンバレ馬券をぴらぴらした。あはは、欲がないやつだな。まぁそれだから当たったんだよ、きっと。


「あ、そのガンバレ馬券。もし大事にするんなら、百均かどっかでアクリルのキーホルダーみたいなケース買ってやろうか?」


「うん、大事にする」


「わかったよ、じゃあそれまで折れ曲がらないようにしておけな」


 サチはにっこりと笑った。競馬場に来てからサチが割と笑ってる気がするな。まぁそれはよかった。最後のレースまでいると帰りの電車が絶対混むので、俺たちは先に引き上げることにした。阪急電車で帰り道の梅田うめだまで向かう。


「寿司食うぞ〜! サチはどんなとこに行きたいんだ?」


「ん〜、なんでもいいけど、茶碗蒸ちゃわんむしが私は好き」


 それ寿司じゃないんだけど。まぁどこでもいいか。阪急梅田の高架下にある、二階建てになっている食堂街に行く。ここだと寿司だけでなく、だいたいなんでも食えるからだ。


「茶碗蒸しでもウニでもトロでも、なんでも食べろ。今日は大盤おおばん振る舞いだ!」


「それ、私のおかげじゃなかったっけ」


「あ、そうそう、サチ様のおかげだよ。えーと……ゴチになります!」


 食堂街に行く前に、サチのガンバレ馬券を駅前の電気屋で売っていたアクリルケースのキーホルダーにいれてあげた。なんで気に入ってるか聞いたら、なんとなく、


『ガンバレ! サチ!』


 と、書いてるように見えるからいいんだそうだ。まぁ喜んでるならそれにこしたことはない。


挿絵(By みてみん)


「あっ、ここだここ。前に来たけど確かそこそこ美味かったはず。おっちゃん二人ね〜」


 大阪のキタ付近はだいたい大学時代から遊んだりでよく行ってるので、庭みたいなもんだ。まぁ店だったり建物もコロコロ変わるから、実際詳しいわけじゃないんだけどな。


 でも、この阪急の食堂街は俺が大阪に来たときからすでにあって、今も変わらず続いている。一応なじみの場所という感じだ。


「茶碗蒸し二つと……俺は瓶ビールね。サチは何飲むんだ?」


‐お茶。昼から呑むなよおっさん


 はいはい。もう慣れてきたぞ毒舌どくぜつハートボイス。


「温かいお茶ひとつと……ウニとイクラください。あ、カズノコある?」


「カズノコは今はないんやわ。あ、今ちょうどサヨリとマダイがあるで〜、彼女はなんか好きなやつあるんかな?」


「お、じゃあそれ頼みます。サチ、食べたいやつあるのか?」


「んー、サーモンとイカとハマチがいい」


「わかった。大将、んじゃそれで」


「あ、今の時期はハマチはないんやわ。代わりにブリがちょうどええとこあるから、それ握ったるわな」


 ビールとお茶と茶碗蒸しを貰い、各々食べる。


 こういうところは人が良いのと、なんというか注文と提供されるタイミングというか、すごく絶妙なタイミングで出してくれるんだよな。計算してるのか、長年のかんなのかわからんけど、自然に心地よくさせてくれる間合いというのは、とても良い。また来ようってなるのは、そういうことなんだろうな。


 「はい、ウニイクラサヨリマダイお待ち〜、サーモンとイカとブリはちょい待ってな」


 2かんずつ握ってくれたのを一つずつサチと分けた。


「美味しい」


「お〜そうだろそうだろ。三年くらいここは通ってるから間違いないぞ。なんか温かい汁とか頼むか?」


「今日は赤だしと済ましがあるで〜。汁物はサービスでええで今日は」


「マジか! じゃあ俺は赤だしにするわ。サチはどうする?」


「私も赤だし」


「はいよ〜、サーモンイカブリね。こっちにわけておいとくで」


 こういうとこは木の板? みたいなやつで出してくれるから、見た目からして美味しそうなのだ。


「寿司のあとどうする? 俺一階のパフェ食べるとこで食べたいんだけど」


‐パフェ好きおっさんキモイ。でも今回は乗ってやる


 とても優しいサチちゃんだね〜。でもキモイは余計だね〜。


 まぁとにかく。寿司をそれから何個か食べて、ちょうどいいくらいのお腹になった俺たちは店を出た。と、その時…


「!!!」


 サチが急に俺にしがみつく。


「なんだよサチ。なんか虫でも見つけたの……」


 明らかに表情が違う。この表情は確か……初めてサチと出会った時だ。


 近くにはサラリーマン風のスーツ姿の年配のおじさんがいるだけだ。ほろ酔いなのかふらふら歩いている。


「どうした? サチ。大丈夫か?」


「うん……大丈夫」


‐違った……よかった……


 違った? もしかしたら……わからんけども、サチを襲っていたヤツに似ていたとか、かな……。


 んー……今すぐに聞くのはやめておこう。帰ってからでも聞いてやるか。


「人たくさんいるから、ちゃんとくっついとけよ〜。迷子になるぞ」


 サチはさっきよりは少しマシになったが、やはり表情は少し暗かった。



梅田の食堂街でふいに固まるサチ。


サラリーマン風の年配の男性。


サチの怯えよう。


人違いだったみたいだが、この意味は……?


※作中のイラストのガンバレ馬券は、実際のサイズ、デザインとは異なります。

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― 新着の感想 ―
お寿司いいですね〜! お! 馬券の挿絵が作中のどまんなかに! ⁽⁽◝(•௰•)◜⁾⁾ 確かに、良い所の寿司屋は提供タイミングが抜群ですよね。 (*´ω`*) サチが震える相手とは……何か関係がある…
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