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Heart〜急に他人の心の声を聞けるようになった俺は、色々と企むことにした  作者: くろくまくん


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13/25

ホントにめんどくせぇなぁ

知人に教えてもらった、小規模な賭博場で、ついに博打に参加しはじめる俺。


なんとなく雰囲気は楽勝。


さてさて、どうなるかな?



◯登場人物


松岡まつおか 修二しゅうじ 23歳

IT企業勤務、システムエンジニア

人付き合いが苦手

急に他人の心の声を聞くことができるようになった。ボリューム調整可能


ゲームマスター

博打の親のことな


盛り上げ役

両隣にいる強面のやつ、合力ごうりきというらしい。ゲームの司会進行みたいなこともする


見張り

場の見張り役、雑用みたいなこともするらしい

 まぁまぁみんなやられている中、一人だけ当たったようだ。あ、スイチでの配当が4.5倍らしいが、十万かけて、それでも配当は四十五万。んで、他のみんなが外れたら、もちろん親の総取りだから、まぁまぁたいがい親が勝ちそうだな。


 それにしても……当たったな。俺はドキドキというか、楽勝過ぎて呆れてしまったくらいだ。あとは度胸と、張り方だな。目立たないように目立たないように。


「次から参加しまーす」


 一応ひと言いっておいた。ゲームマスターと、両側の盛り上げ役の二人がちらりと俺の方を見た。客も一瞬は俺の方をみたが、それよりも次のゲームのほうが気になるようだ。


 さっきは三、そしてその前も三だったようだ。こういう単純な博打は心理戦というか、親にしたら多少当てられても、その分他の外れた客からの分でプラスであれば結局は問題ない。ということは、大勝ちしそうなやつを外すことに専念すれば、結局は小さな勝ちがいくら集まろうが、そんなの関係ねぇ、という感じなのだろう。


「では、入ります……」


 ゲームマスターが神妙しんみょうな顔をしながら、まぁそれも演技なのかもだが、どの数字にするかを選んでいる。


‐次もまた三いったるか……んー、いや次は六やな


 ちょっと、もう完全にダダ漏れだな。俺は笑いを必死にこらえる。こらえるために、眉間にシワを寄せ、真剣な眼差しを作ってみた。


 ゲームマスターは選んだ札を先ほどと同じ布に包み、場に置いた。それ以外の札もきちんとしまう。


「はいりました」


‐今度は三の倍数の六やで……


 思い思いの額を皆かけているようだが、だいたいひと口ずつのようだ。十万だな。んー……もたもた稼ぐのもあれだしとりあえず五十で行ってみるか。行ってみるというか、計算ができん。俺は五つのズクの束と六の数字の札を裏にして、場に置いた。俺は全く緊張もせず、なんというか逆に拍子抜けしている感じ。


「さぁ、大丈夫ですか……では、勝負っ!!」


 盛り上げ役のひとりが大きな声で盛り上げる。さっき気づいたが、この二人の盛り上げ役は、客の張り札を見たり、負けた客の金の回収や、勝った客への払い戻しなど、ゲームマスターの補助みたいなこともしているようだ。


 ゲームマスターが……札をゆっくりと布から出し、場に出す。


「ろく!!」


 来た……


「今度は六かいな〜!! もう全然当たらんやないか」


さっきも外れたおっさんがごねている。俺はこれを見せればいいのかな。


「当たったよ〜」


 俺は出していた張り札の六を返し見せた。んーと、五十万の4.5倍ということは……?


「!!!」


 ゲームマスターが俺の方を見てびっくりした顔をしている。え、イカサマはしてねぇよ。


「えーと、いくら貰えるのかな?」


 盛り上げ役のひとりが俺を見ながらも、配当を数えて俺の前に無造作に出す。えーと、いちにぃさんしぃ……全部で二十二個と五枚はバラか……


「おぉっ、凄いやんか。兄ちゃんスイチでなかなか思い切った賭け方するねぇ!」


 割と身なりの良い、おっさんが俺に話しかけてきた。てか、4.5倍の配当って、元金は引かれずなのか。ということは実際はプラス1だから、5.5倍のオッズということだな。いきなり二百七十五万になったぞ……。


「あ……たまたまっす……すんませ〜ん」


 俺はあえて控えめに言っておいた。あまり目立ちすぎると良くないからな。とりあえず、一千万くらい今晩はいっとくかな。



◇ ◇ ◇



 それから何回か参加して、俺はわざと外したりもした。まぁ外す時はひと口(十万)だけなんだが。というか、このゲームマスターだいぶ下手くそだな。俺が大口当ててからかわからんが、どんどん他の客にも当てられてるし、あまり負けられ過ぎると、俺の取り分が無くなってしまうぞ。


 二回目は外して、三回目は三十万で勝ち、四回目は外して、五回目は四十万で勝ち、六回目は外して、七回目は五十万で勝ち。チマチマすんのもダルくなってきたな……。てかこれ今いくらだ。札がまあまあ散らばっているが、一応ある程度カバンに詰めながらやってるから、何束かこぼれてもわからなくなっている。


 確かマンガでも三百万とか一気に賭けたりしてたよな……ん〜……百万くらいならいいか。


「はいり……ました!」


 ゲームマスターもちょっと疲れてるのか。なんかセリフがぎこちなくなってきてる気がする。


‐この兄ちゃん次はまきあげたるで……次は……次は……ピンや!


 ん? ピンてなに? なんかわからんから参加したくないけど、とりあえず適当にひと口だけしとくか……出てない数字の二にしておくかな。


「さぁ、さぁさぁ……勝負っ!!」


 ゲームマスターが札を出す。ん? 一かよ……


「ぴんっ!!」


 あ、一のことをピンって言うんだね。オッケー、もう大丈夫。俺は外れた札をさっさと回収して、置いたズクを回収させた。ゲームマスターが明らかにニヤニヤしている。お前顔にめちゃくちゃ出てるぞ。まぁいいや、次くらいでデカく勝って帰るか。


‐次も同じピンや……あの兄ちゃんはピンに弱いと見たでぇ〜


「入りました……!」


 ピンに弱いてなんなの。まぁいいか、俺は全部でもいいんだけど、控えめに十束をまとめて一の札を裏にして、場に置いた。


‐おいおい……あいつスイチで百万賭けよったで……何もんやあいつ??


「ではでは……勝負っ!!」


 ピンちゃん(ゲームマスターのこと)は札を出して置いた。


「ぴんっ!!」


 なんとなく盛り上げ役の背筋もピンとしている。俺は手札を裏返し、宣言した。


「当たったぞ!!」


 百万の5.5倍だと五百五十万だな。これは計算しやすい。もういいか、そろそろかーえろっと。


「ありがとうございました。そろそろ帰りますね〜」


 俺は礼儀正しく、帰る旨を伝えた。何やらゲームマスターが盛り上げ役に耳打ちをしている。


 他の客は俺の方をジロジロ見ながらも、あまり騒いではいない感じだ。さっきの身なりのいいおっさんが、俺の方をちらっと見ていた。


「おつかれさまです」


 俺は一声だけかけておいた。


‐大丈夫か……


 え、何が大丈夫? 誰のつぶやきかもわからなかったが、そんな心の声が聞こえた。まぁいいや、たぶん一千万は超えたはず。目標の一億までは少し遠いけど、まぁすぐいけるだろう。


 俺は玄関で靴を履いて、外に出て階段をゆっくり降りた。


 すると、来たときにもいたやつか、交代したのかはよくわからないが、団地の入り口辺りにいたやつが、声をかけてきた。


「すみません。最後に身体検査しんたいけんさだけあるんで、少し待ってもらえますか」


 え、そうなの。そんなのって初めにやるんじゃないのか、あるとしても。


「あ、わかりました……タバコ吸ってていいですか?」


 聞きながら、返事を待たず俺はタバコに火を付けた。


 二口ふたくちほど吸い煙を吐いていた時……


‐めんどくせぇなぁ……


 え。俺がその心の声に振り返ろうとした時。


——ゴッ!!


 頭に物凄い衝撃と痛みがきて……俺はタバコを落とし、その場にたぶん倒れた……というか感覚がなくなった……


‐ホントにめんどくせぇなぁ……


 俺が意識のある時に聞いた最後の心の声だった。


楽勝ムードで稼げたのは良かったんだが……


出る時に身体検査って、なんか怪しいと思ったんだよ……


俺、これからどうなる?



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― 新着の感想 ―
助かるのは分かるけど、どうやって助かったのかは分からないので、今後の展開は気になります。 (´・ω・`)
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