和菓子の日(六月十六日)
和菓子の日は、全国和菓子協会が昭和54年に制定した記念日で毎年6月16日だ。平安中期に国内に疫病が蔓延して、仁明天皇は年号を嘉祥と改め、その元年の6月16日に、16個の菓子や餅を神前に供えて、疾病よけと健康招福を祈ったとされるようだ。天皇って、何か悪いことがあったりすると年号を改めることが多いよね。あんまり、使われているのを見ない、嘉くんの漢字が出てくるので、嘉祥って言う言葉は覚えた。
これを起源として、6月16日に厄除けや招福を願って菓子を食べる『嘉祥菓子』の習俗が、形を変えながら、平安期から中世、近世まで存続したみたいです。江戸幕府においては、6月16日を嘉祥の日とし、お目見え以上の身分のものには大広間で和菓子が与えられた。全国和菓子協会は、こうした故事にちなみ、日本の食文化を後世に伝え残すために努力を積み重ねることを目的として、この記念日を制定した。後世に伝えたられているのが、このお菓子になるわけだね。
「少しでもうちの店が役に立っているといいね」
「遥くんもおじいさんからお父さん、そして、光さんに受け継がれているじゃん」
「ああ、多分、理人も継ぐの考えているみたいだしな」
「へぇ、そうなんだ。そっか、理人くんも和菓子作りするんだね」
「ずっと手伝っているし、見て覚えるものだろ」
「うわ、職人さんだ、すごいな」
「それ言うなら、麻衣ちゃんもだろうが」
「ん? なんの職人??」
思いつかないぞ。歌手は職人では無いでしょ、そう言ったら、違うと言われた。歌手ではないのか。それなら、なんだ。
「野菜作る職人」
「農家は職人には入らないかな。それに、ブランクあるし」
「農業でもしばらくやらないとブランクって言うのか」
「多分?」
「適当だな」
やればできるけどね。私と違って毎年やっているうちの実家はいつもお疲れ様と言いたくなる。一番のプロで、職人はうちの父だろう。
遥くんが今日持って来てくれたのは、食べるのがもったいない色鮮やかな紫色の紫陽花がモチーフになった紫陽花餅だ。これは、去年と一緒で、この日になると、遥くんのおじいさんが作ってくれる。私だけのための色だそうだ。普段、お店で販売されるものとは違って、造形がここまで細かくはない。大量生産するものだからね。少しでも、手間がかかるものは避けるだろう。
「遥くんのおじいちゃん、いただきます」
そう言って、私は美味しい和菓子を堪能するのだった。
2026/06/16 活動報告掲載




