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つま先でキス



 憧れるシチュエーションってあるよね。でも、嘉(よし)くんはぴんと来ていないようだった。だって、つま先立ちで伸びをしてキス。すごく可愛いシチュエーションだ。うん、私には無理だけどね。



「俺、同じ目線でキス出来る方が断然いい」

「そうかな」

「麻衣はそうして欲しいの?」

「あ、いや、あー」



 嫌なら嫌だとはっきり言えることが出来ないのは、少し羨ましいと思っているからだ、って言われてしまった。そうなのかな。そう言って、嬉しそうに「どこが良いかな」と言葉を続けた。ちょっと待って。私、して欲しいとは言っていない。



「無言はイエスって言っているものだよ」

「うー」

「階段とか良いよね」

「うちには、ありませんが、外も嫌です」

「そこは、ちゃんと嫌って言うんだ」



 今どきの玄関って段差無いよね。そうだね、うちの実家は結構玄関の上がり口が高い。絵美が昔住んでいたところは、玄関の上がり口の下に収納が付いていてそこに靴を収納していたらしい。


 うちではあまり使われない踏み台。なんかそれに乗る嘉くん可愛いな。嘉くんが可愛いから良いかな。私は、つま先立ち、と言っても踏み台の高さがそれほど高くは無いので少し伸びをするだけだ、嘉くんの首に腕を回して口付けた。



 2026/05/23 活動報告掲載

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