帰路に着く 7
ムクノキでの夕食はあまりの美味しさにエトワールが『もっと食べたい』とハムスターのように頬を膨らませながら次々と食べ物を口に入れては飲み込んでいくもので、ムクノキのウエイターは忙しなくパンやスープを運んでいた
クリュッセルとロゼール以外は唖然としてエトワールを見つめるか、見ない振りをして食事を続けていた。クリュッセルとロゼールは苦笑いしながらエトワールの暴食を止めると一足先に食事を終えて部屋へと戻った
扉を閉めて部屋の奥、窓辺へとクリュッセルは近付き、窓を上げる。雲のせいで今日は星を見る事も叶わないようだ。ノースフィールよりも温い、季節が変わっていくことを自覚させるような風が肌を撫でていく
入り口で固まっていたエトワールはロゼールに手を引かれてクリュッセルの近くに歩み寄るとキュッと目を瞑った。その様子にロゼールは目を瞬かせ、クリュッセルは呆気にとられる
(……えっと、これは多分怒られるか注意されると思ってる……のかな?)
10秒程の沈黙の後、クリュッセルはクスリと笑うとエトワールの額に手を伸ばすとデコピンをする
額に片手で触れながらフリーズするエトワールにクリュッセルは口を開く
「今日の夕食はとっても美味しかったから、あまりこちらの食事に慣れていないエトワールの口にあったなら暴食してしまっても仕方がないわ。でも、ここは宿屋なのだから少しは抑えて欲しいの。今日のお説教はまだ慣れていないんだからこれくらいで充分でしょう?」
その言葉にエトワールは笑顔になるとクリュッセルを抱き締める
「ありがとうございますわ!やっぱり契約者様は素敵な方です!」
「……なっ!エトワール様!?いきなり抱擁するのは幾ら契約関係であってもよろしくありませんわ!クリュッセル様から離れて下さい!」
エトワールの行動に驚いて何とかして引き離そうと服の裾を掴んで引っ張るロゼールにエトワールは悪戯を思いついたかのように笑うと、クリュッセルから離れて今度はロゼールを抱き締めた
いきなりの事に固まり、行き場の無い手が空中に留まるロゼールと、エトワールと仲の良さそうに見えるロゼールを微笑ましく思い、笑う
意識が戻ってきたロゼールは顔を真っ赤にしながら手をバタつかせながらエトワールの抱擁から逃げ出すと指をピシッと向ける
「エ、エトワール様!契約者であるクリュッセル様ですらダメだと言うのにな、なぜ、わ、私をほ、抱擁したのですか!?」
その問いかけにエトワールは笑いながら答える
「……ん〜。ロゼールが構って欲しそうだったからね!」
ロゼールに1歩、また1歩と近付きながらそう答えるエトワールに対しロゼールは1歩、また1歩と後ろへ下がりながら逃げ始める
その後、ロゼールとエトワールの静かなる鬼ごっこ(但しエトワールが有利)が終わるまでの間、クリュッセルは眠る準備を進めた
鬼ごっこも無事に終わった夜、3人は繋げられた2つのベットで手を繋ぎながら目を閉じて王都に戻ったら3人でしたいことを語り合って眠りについた
翌日、荷物を纏め直して馬車へと積み、ルメットの街─ムクノキ─を後にして王都へと向かった
これからの道は行きと同じ。王都に着く頃には夕方になっているだろう。そんな事を考えながら流れる景色とラスティークの絵画的な美しさに見惚れて遠回しな愛の言葉をラスティークに紡いで怒られるクリュッセルと、猫の姿ですっかり寛ぐエトワールとその姿に癒されるダリアとロゼールは行きよりも時間の流れを早く感じながら王都へと戻ったのだった
お久しぶりです。今回は予定通りに王都に戻れました(*´꒳`*)
来週は謁見……とまでは行かなくとも報告系のお話になる予定です
ちなみにエトワールちゃんは、王都のスイーツブッフェでフルーツタルトを食べ尽くすことになるでしょう(近い未来)
↓↓↓作者のグダグダコメント
最近暑いですね。こちとら東北(内陸部)にいるのに暑くてたまりません。冷房は最高です
この作品を読んでくれている皆様には是非とも体調管理をしっかりして頂いて、この作品を楽しんでいただけたら嬉しいという事と、夏が近いので西瓜が美味しいということを伝えようと思います
この時期の小玉スイカは美味しいのでとってもオススメですよ




