帰路に着く 5
「ただいま〜!」
「ただいま帰りましたわ」
2人が髪飾りや小物などが入った袋を手に部屋の扉を開くと、エトワールの姿がパッと見て見えなかった。2人は不思議に思い、出る前に寝ていたベッドを見に行くと不自然な膨らみがあった。クリュッセルが近付き、ブランケットに触れようとする
「エ、エトワール……?」
「ピクリともしませんね。まだ寝ているのでしょうか?」
ロゼールも近付いて心配そうに覗き込むと、ブランケットは捲り上がり、エトワールが姿を現し、口を開いた
「もう!なんで私だけ仲間外れで置いていくの!!酷い!!私だって2人と一緒に街の観光したかったのに!」
涙目でそう訴えるエトワールに2人は顔を見合わせてそっと頭を撫でる
「ごめんなさい。エトワールが気持ちよさそうに寝ていたから起こすのが少し可哀想だったの」
「私も、申し訳ありませんわ……エトワール様がそんなに街観光を楽しみにしていらしたなんて……」
それでも落ち込むエトワールを見て2人は紙袋をひとつ手渡す
「これ、貴方へのお土産よ。お店でとても綺麗だったからプレゼントしたくて……ね?ロゼール?」
「えっ、あっ!はい!エトワール様の白群色の髪と月白色の瞳に似合うかと思って……」
そう話すと、エトワールはそっと紙袋から檸檬色の宝飾が付いたヘアピンを取り出した
「綺麗……!」
エトワールは前髪を左へと寄せてヘアピンで留めると微笑んだ
「ありがとう……!……でも、私だけを置いていったのはまだ許してないんだから!」
その言葉に笑うとロゼールが提案する
「ふふっ!……それでしたら今度王都のおすすめのお店をお教え致しますわ。クリュッセル様もそちらでよろしいでしょうか?」
「えぇ、勿論。それならカフェや本屋も見に行きませんこと?」
「まぁ!とても素敵ですわ!」
聞いたことの無い単語、契約者の記憶でしか見た事のない場所の名前にエトワールが心躍らせ、キラキラと目を輝かせているとロゼールはもう1つの紙袋から可愛らしい包装がされた焼き菓子を取り出すと、微笑んだ
「お2人とも、よろしければクッキーを食べながらティータイムを過ごしませんか?」
その魅惑的な誘いに乗ると、フロントに紅茶を頼み、机と椅子の準備をした
簡単にではあるがティータイムの準備が終わると、タイミングを見計らったかのように紅茶が届く
銀のスプーンを使い、陶器のティーカップに紅茶を淹れると茶葉の良い香りがふわりと鼻に届く
3人がトライアングルを描くように座ると、ロゼールはハニーポットから1杯のはちみつを。クリュッセルはミルクポットから適量のミルクを。エトワールはよく理解してはいなかったが真似をするようにシュガーポットから2つほど角砂糖を取り出して入れた
くるくるとティースプーンでカップをかき混ぜて1口飲むと、優しい甘さと茶葉の香りがより強く届く
クッキーへと手を伸ばし、薔薇の形のものを口にすると、程よい甘さと軽い食感に加えてふわりと薔薇の香りがする
「美味しい……!」
クリュッセルがそう零すとロゼールも大いに頷いた。一方でエトワールはあまりの美味しさに無言で1枚、また1枚と口へと運んでいた
頬がハムスターのように膨らむも、気にせずに頬張り続けるのを目の当たりにした2人はついに笑いが堪えられなくなり吹き出した
その後、エトワールに全てを食べ尽くされる前に2人もクッキーを食べると、談笑しながら楽しい時間を過ごした
こういうほのぼの空間で友人と過ごしたい日々を送ってます(現実は甘くなかった)
次回、久しぶり(?)のラスティーク様登場です!
また、来週は作者の都合により金曜日投稿ではなく月曜日、または火曜日の投稿を予定しております




